【2009フランクフルトショー】
トヨタ、「オーリスHSD」などで“フル・ハイブリッド”攻勢

レクサスは「LF-Ch」に注目

オーリスHSDフル・ハイブリッド・コンセプト

2009年9月15日~27日(現地時間)
独フランクフルト
Messe Frankfurt



トヨタとレクサスは隣り合うブースに

 9月15日(現地時間)、フランクフルト・モーターショー(Internationale Automobil-Ausstellung)が開幕した。15日~16日は報道関係者向けのプレスデーで、世界各国の多数の報道関係者が押し寄せた。

 今回のフランクフルト・モーターショーには、日産、ホンダが参加を見合わせ、日本勢の話題が少ないが、そんな中、トヨタは3つのコンセプトモデルを、また隣のレクサスブースでも、コンセプトモデルを展示した。コンセプトモデルはすべてハイブリッドカーで、同社のハイブリッドカーにかける戦略を如実に表現したもの。どちらも自走はしなかったが、多くの注目を集めた。

 同社はここのところ、自らのハイブリッドカーを「フル・ハイブリッド」と呼んでいるが、フランクフルトでもこの言葉を連発。モーターをエンジンのアシストに用いるだけのハイブリッドカーや、アイドリングストップ機構による「マイルド・ハイブリッド」などとの違いを強調した。

ハイブリッドカーとiQのコンセプトモデル、新型ランド・クルーザーを展示
 プレスデーは各メーカーのブースに報道関係者を集め、プレスカンファレンスが開かれる。ここでそのメーカーの姿勢をアピールし、新車やコンセプトカーについて説明するのだが、トヨタがプレスカンファレンスの場所に選んだのは「オーリスHSD・フル・ハイブリッド・コンセプト」の前だった。

 オーリスHSD・フル・ハイブリッド・コンセプトは、欧州市場向けの最量販車種であるCセグメントカー「オーリス」をハイブリッド化したもの。オーリス・ハイブリッドは、2010年から英国で生産することが明らかにされている。

 ハイブリッドカーの海外生産はプリウスなどですでに実績があるが、現行メインストリームモデルにハイブリッドシステムを載せるところに、ハイブリッドカーで覇権を築こうというトヨタの気合いがうかがえる。カンファレンスでも、先代社長の渡辺捷昭氏が打ち出した「2020年までにメインストリームモデルをハイブリッドカーにする」というロードマップが引き合いに出された。

オーリスHSDフル・ハイブリッド・コンセプト
青と白で統一された車内には、現行プリウスと同じような操作系が見える

 エンジンルームは見せてもらえなかったが、ハイブリッドシステムは3代目プリウスと同じものと発表されており、1.8リッターの排気量や、モーター駆動バッテリーにニッケル水素充電池を使っていることなどから、スペックも同様のものになりそうだ。

 車内も、離れた場所から開けられたドアの中を見ることしか許されず、ハイブリッドシステム搭載による車室への影響、とくにトランクルームの容量などは確かめられなかった。が、インテリア、特にシフトレバーを中心とした操作系は3代目プリウスによく似たものになっているようで、会場で表示されたプレゼンテーション画面からは、ハイブリッドシステムの状況を表示するエネルギーモニターも装備されていることがうかがえた。

 このほか同社は3代目プリウスのプラグイン・ハイブリッド・コンセプトと、iQにエアロパーツを装着したスポーツモデルのコンセプトカー、さらに発表されたばかりの新型ランド・クルーザーを展示した。

「プリウス・プラグインハイブリッド・コンセプト」。ニッケル水素充電池に代えて容量の大きなリチウム・イオン充電池を積み、EVモードでの航続距離を伸ばした
トヨタブースで供されたオリジナルのプリウス・ドリンク。中身はレッドブルのようなエナジードリンク
迫力のエアロパーツで武装した「iQ」。インテリアにはそれほど手を加えられていないようだ。トランスミッションがCVTであることが分かる
発表されたばかりの新型「ランドクルーザー」も展示された
欧州ではレクサスの半分以上がハイブリッド車

レクサスもハイブリッド
 レクサスブースでは、コンセプトカー「LF-Ch」に注目が集まった。4300×1790×1400mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2600mmの5ドアボディーを持つ“プレミアム・コンパクト”で、BMW 1シリーズやアウディA3と同じ市場に切り込む。

 こちらも車名に「h」が入るとおり、ハイブリッドシステムが搭載される。ハイブリッドシステムの詳細については明らかにされていないが、車体サイズや形状から、オーリス(とそのプレミアムモデルであるブレイド)などがベースになっていることがうかがえる。

 インテリアはオーリスHSDとは異なり、プリウスのような操作系は採用しない。シフトレバーはステアリングコラム部にあり、センタートンネル部にはカーナビやエンターテインメント機器を操作するコマンダーが置かれる。

 欧州で販売されたレクサスの半数以上がハイブリッドモデルとのことで、レクサスブランドでも好調なハイブリッドをフルラインで主軸に据える構えだ。

レクサスLF-Ch
ショーカーらしく20インチで扁平率35%のタイヤを履くドアミラーの代わりにビデオカメラが付いているようだ
シックな室内。操作系はプリウスと異なり、シフトパドルなどを備える。エネルギーモニターは2眼メーターの間に置かれているようだ

(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 16日