【2011フランクフルトショー】
フォルクスワーゲンは「up!」「NILS」で環境性能を強くアピール

多種多様な「up!」ファミリーがサプライズで登場

2011年9月15日~25日(現地時間)
独フランクフルト
Messe Frankfurt



 フランクフルト・モーターショーでフォルクスワーゲンが発表したのは、新たなるコンパクトレンジを担っていく4名乗車が可能なサブコンパクトカー「up!」。ボディーサイズは3540mm×1641mm×1478mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2420mmで、ポロの3995mm×1685mm×1475mm(同)と比べてもかなりコンパクトなのが分かる。

 エンジンは3気筒 1リッターで、最高出力60PSと75PSの2種類が用意される。アイドリングストップ機能や低転がり抵抗タイヤなどの燃費向上アイテムを搭載し、60PSモデルの燃費はハイブリッド車並みの4.2L/100kmをマークする。

 昨日行われたフォルクスワーゲングループによる「グループナイト」で先行公開された「up!」だが、プレスデー初日のプレスカンファレンスではサプライズが用意されていた。これから発売が開始される「up!」だが、すでにファミリーという派生車種が数多く用意されていたのだ。

 2013年に電気自動車(EV)として発売することはアナウンスしていたが、そのほかにもスポーツグレードの「GT up!」や車高を上げた「cross up!」、ジウジアーロにデザインを委託したオープントップモデル「up! azzura セーリングチーム」、2シーター化された「buggy up!」などが発表された。

 これからのフォルクスワーゲンの中核となっていくup!には、遊び心に溢れたファンなモデルから、環境性能を突き詰めたEVやエコモデルがすでに全方位的に用意されており、ポロやゴルフとは違ったラインアップが形成されることが予想される。

4人乗車が可能な都市型モビリティのup!は、エントリーモデル「take up!」、コンフォートモデル「move up!」、トップモデル「high up!」がラインアップ。写真はhigh up!ベースの「up! black」
GT up!。大径ホイールとスポーティなグリルを持つ
EVのe up!。メーターには「チャージ」の文字が見える
走破性が高そうなデザインのbuggy up!
4ドアクロスオーバーモデルのcross up!
ヨットクラブをイメージしたと言うジウジアーロデザインのup! azzura セーリングチーム
天然ガスを動力源とするeco up!のCO2排出量は同セグメントでもかなり低い79g/kmとなっている

 また、フォルクスワーゲンはコンセプトモデル「NILS」も公開した。NILSは、通勤用として同社が新たに提案するEV。5.3kwhのバッテリーを積み航続可能距離は65km。モーターの出力は基本は15kWだが、短い時間なら25kWのハイパワーが使える。そこから得られる最高時速は130km/h。コンパクトな1人乗りの重量はわずか460kgとなっている。0-100km/h加速は11秒。満充電までの時間は230Vで2時間というスペックを備える。

 65kmという航続距離だが、同社の調査によるとベルリンとミュンヘンで仕事をしてる人の通勤距離は25km以内の人が73.9%ということで、NILSの航続距離は多くの通勤者をカバーできることになる。

1名乗車で都市型の通勤を想定したNILS

2013年からのWRC参戦が発表されているポロR WRC

 2013年から世界ラリー選手権(WRC)に参戦することになったフォルクスワーゲンのマシンが「ポロR WRC」。2011年からWRCカーのエンジン規定が1.6リッターターボになり、同社が推し進めるダウンサイジングと同様の方向性を感じたこともあり参戦を決めたと言う。

 ポロRの搭載されるエンジンは、ラインアップの中でメインボリュームとなる直噴ターボのTSIをベースにしている。規定により33mmのリストリクターを装備し、最高出力は300PS、最大トルクは350Nmとなっている。車重も規定に沿った1200kgに収まっている。

(真鍋裕行)
2011年 9月 14日