【2008LAオートショー】
やじうまLAオートショー(2)

ロスアンゼルス周辺の自動車名所めぐり

ピーターセン自動車博物館に展示されている「タッカー・トーピード」。フランシス・コッポラの映画でおなじみ
11月19日~30日(現地時間)
Los Angeles Convention Center



 ロスアンゼルスは“車社会”とよく言われる。たしかにロスアンゼルスに移住する人のためのガイドブックなど見ても、「車がなければロスアンゼルスでの生活は成り立たない」といったような記述がある。

 このように車が生活に密着しているロスアンゼルスなので、道路のシステムもよく整っていて、レンタカーを借りれば、車好き、運転好きには過ごしやすい都市といえるのではないか。筆者の米国での運転経験は、ハワイや東海岸で合計しても5時間に満たないが、ロスアンゼルスにいた6日間、レンタカーでの移動を楽しめた。

 ロスアンゼルスから郊外に2時間ほどドライブするだけで、広大な砂漠、荒々しい自然、ゴーストタウンといったような、日本にはありえない光景を味わえるのも魅力の1つだ。郊外へのドライブに使うインターステート(州間高速道路)のようなフリーウェイは、長距離移動についてよく考慮された、走りやすい道路だ。

 もちろん交通ルールは日本と異なるところが多々あるし(そもそもアメリカは右側通行だ)、治安の点で心配なところもある。積極的にはお勧めしないが、ガイドブック類はたくさん出ているので、事前にきっちり情報を仕入れて、車社会を体感するのもいいと思う。

 さて、車好きならやはりロスアンゼルスでも車にかかわる見物をしたいものだ。手近なところでは「Pep Boy」「Auto Zone」のような自動車用品店がある。日本のオートバックスなどと同じように、用品売り場と整備ピットがあることに変わりはないが、ファイアパターンのデカールや、きらびやかでゴージャスなパーツ類など、アメリカならではの自動車用品が見付かる。

 それから、訪れておきたいのは「ピーターセン自動車博物館」だ。さまざまな旅行ガイドにも載っている有名スポットで、よくある自動車博物館だろうと筆者も期待していなかった。が、各年代の車が、その時代に合わせたセット(たとえば1920年代のカーディーラーや、1900年代の田園風景など)に置かれ、その車と時代の関連性をより立体的に体感できる展示がされていて、非常に楽しめる博物館だった。そのほかの展示も工夫がされていて、ユーモアやウィットが感じられる。

 

各年代の車が、その時代を物語るセットに飾られる「Street scape」コーナー。左から1910年代の自動車屋(ほぼ村の鍛冶屋)。中央は1920年代のフォードのショールーム。現代のカーディーラーとあまり変わらないように見える。右は50年代のドライブイン
電気、バイオエタノールなど、ガソリンエンジン以外を動力とする車の「Alternative Power」コーナー。左はサンディエゴのDutcher Industriesが1974年に作った蒸気エンジン自動車。右はStudebaker-Packardの核融合エンジン車のモックアップ「Astral」キャンピングカーの歴史を展示する「Autocamps to Airstreams」コーナー
1948年に米国で作られたスリーホイーラー「Davis」新旧フォードGT40。新旧ブガッディなど、マニア心をくすぐる展示もある駐車場にも楽しい展示があるので、車以外の手段で出かけた人も忘れずに駐車場を見学しよう。この博物館の創設者であるピーターセン氏(2007年没)専用駐車スペースには、なぜかいすゞのコンセプトカー「VX-02」が


バストウのメインストリートが旧ルート66。ルート66のサインの下には「レーダーで速度監視中」の標識が

 運転に自信があるなら、ロスアンゼルス北東へインターステート15号線180kmほど走ったところにあるバストウという町に行ってみてはどうだろう。ここはアウトレットモールでも有名だが、「ルート66」のある町でもある。

 ルート66は1926年に作られた、東海岸のイリノイ州シカゴから西海岸のカリフォルニア州サンタモニカ間の約4000kmを結ぶ、アメリカを横断道路だ。通過する州はイリノイ、ミシシッピ、カンサス、オクラホマ、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、カリフォルニアと8つに及ぶ。

 その道筋には旅行者に便宜をはかるモーテルやカフェなどの施設と街ができ、スタインベックの「怒りの葡萄」に描かれたり、「Get Your Kicks Route 66」などのスタンダードナンバーが生まれたりた。その後、インターステートなどのより新しい道路の登場により廃れてしまったが、今でも「アメリカのメインストリート」「マザーロード」といった呼び名で郷愁とともにしばしば語られ、旧道は観光資源となっている。

 バストウには、ロスアンゼルスからインターステート15号線で着く。バストウの町のメインストリート(そのものずばり、Main Streetという名前の道路なのだが)がルート66で、「Histric Route 66」という看板や路面のサインが見られる。

路面のルート66サイン。バストウ以外のルート66でも見ることができる町をちょっと出るとこの景色


 ここバストウには「Route 66 "Mother Road" Museum」がある。博物館というよりは資料室のような規模ではあるが、ルート66とバストウの町にまつわる物品や写真、資料が展示されていて、ルート66が人々の生活や思考に深くかかわっていたことが、痛いほどよく分かる。

 時間があればルート66を走ってバストウを出てみよう。町と町の間のルート66はまさに砂漠の中の1本道で、これまた日本では味わえない環境だ。さらに、モーテルやカフェ、ガソリンスタンドの廃墟も点在していて、ルート66が“廃道”であることが実感できる。バストウから30kmほど離れたニューベリースプリングスという町(併走するインターステート40号線で行くこともできる)には、映画「バグダッドカフェ」のロケに使われたカフェが、ずばり「バグダッドカフェ」の名前で営業している。

 このほかにも目的地はいくつもあると思うが、数日間の短い滞在で手軽に楽しめるところをざっと紹介してみた。

バストウのRoute 66 "Mother Road" Museum。裏は広大な貨物駅Route 66 "Mother Road" Museumの内部。往事のルート66での苦労が忍ばれる写真などが見られる
往事のガソリンスタンドで扱っていた品々ニューベリースプリングスのバグダッドカフェバグダッドカフェの隣にある、モーテルの廃墟。ルート66を走っていると、ガソリンスタンドやモーテル、カフェの廃墟をよく見かけ、ここが(州間国道としては)廃道であることを思い出させる
こちらはバストウとロスアンゼルスの間のビクタービルにある「California Route 66 Museum」。他の州でもルート66には随所にこのような博物館があるそうなこちらはバストウとロスアンゼルスの間のビクタービルにある「California Route 66 Museum」。他の州でもルート66には随所にこのような博物館がある

URL
2008 Los Angeles Auto Show(英文)
http://www.laautoshow.com/
ピーターセン自動車博物館
http://www.petersen.org/
Route 66 "Mother Road" Museum
http://www.route66museum.org/
California Route 66 Museum
http://www.califrt66museum.org/

(編集部:田中真一郎)
2008年11月27日