【東京モーターショー2009
スバル、ハイブリッドモデルを2012年目標に発売

「トヨタとの小型FRスポーツの共同開発も順調」と森社長

「SUBARU HYBRID TOURER CONCEPT(スバル ハイブリッド ツアラー コンセプト)」と富士重工業 代表取締役社長の森郁夫氏

千葉県 幕張メッセ
会期:2009年10月21日~11月4日
(一般公開日:10月24日~)



カンファレンスで挨拶を行った代表取締役社長 森郁夫氏

 スバル(富士重工業)は、第41回東京モーターショーでハイブリッドモデル「SUBARU HYBRID TOURER CONCEPT(スバル ハイブリッド ツアラー コンセプト)」を筆頭に、プラグイン ステラの特別バージョン、STIバージョンのインプレッサやエクシーガなどを展示。環境テーマのみならず、同社ならではの“走り”に特化したモデルを出展することにより、個性を際立たせている。

 カンファレンスでは、富士重工業 代表取締役社長の森郁夫氏が登壇。「水平対向エンジンとAWDをコア技術に、自動車の本質である“走ること”を追求し続けている」と述べ、2007年度からの中期経営計画では、快適・信頼の新しい走りと、地球環境の融合をテーマに商品開発を進めてきたと言う。それを具現化した商品の市場投入について、「一昨年のインプレッサから始まり、フォレスター、エクシーガと続き、デックスおよび5代目レガシィで、ラインアップがそろう形になった」と話す。

 新しい技術として、欧州市場への水平対向ディーゼルエンジンの投入、スバルの新世代トランスミッションとなるリニアトロニック、電気自動車「プラグインステラ」の発売など、環境への意識の高まりに対して応えるべく、商品技術の拡充を図っている。さらに安全面においても、世界中で高い安全性能が評価されたとし、「シンメトリカルAWDそのものが持つ安定性、安全性をさらに磨き上げ、“走り”“環境”“安全”面でさらに信頼されるよう開発を行っている」と述べた。先日もアウトバックが米国の自動車専門誌モータートレンドの2010年スポーツ/ユーティリティ オブ ザ イヤーを受賞。これは2009年のフォレスターに続く連続受賞で、「我々の商品づくりの方向性が認められたものだと喜んでいる」とコメントした。

 トヨタ、ダイハツとのアライアンスについては、ダイハツからOEM商品供給、そしてトヨタとの、スバル製水平対向エンジンを搭載する小型FRスポーツの共同開発と、順調に進んでいることをつけ加えた。

 また、東京モーターショーの出展車両の紹介も行った。今回は「人に、心解き放つ瞬間を。」をコミュニケーションメッセージとして、スバルが目指す未来の商品づくりを昇華していきたいと語った。

 具体的には、まずスバル ハイブリッド ツアラー コンセプトの紹介を行った。同モデルは、スバル独創のシンメトリカルAWDを核にして新開発のハイブリッドシステムを組み合わせた。走り、環境、安全、そしてデザインのすべてを高い次元で融合し、将来のグランド・ツーリングカーとして提案するもの。パッケージデザインは、移動空間、移動時間を快適に過ごせる4つの特等席を設けたとし、これを彫刻的なフォルムで包んだと言う。

 パワートレインは、環境と性能を両立する直噴ターボエンジン、フロントとリアに2モーターを用いた独自のハイブリッドシステムを組み合わせ、「走りに加えて高い環境性能を実現している」とした。そして、安全性については、「EyeSight」の進化版を搭載し、車車間、車と交通インフラを結ぶ通信技術の「EyeSight+(アイサイト プラス)」を装備。「このモデルにより、スバルが目指す新しい商品開発の方向性を理解いただけるものと考えている」と述べた。

2.0L水平対向ターボエンジンを搭載し、燃費向上や排出ガスのクリーン化、実用トルクやレスポンスの向上に寄与する直噴機構を組み合わせる。ハイブリッドシステムはフロントに発電・駆動用モーター、リアに駆動用モーターを配置する2モーター方式とした。極低速時などはリアモーターのみで駆動することで、周辺環境への配慮、燃費効率を高める効果がある。フロントモーターは前輪の駆動アシストも行う。モーター出力はフロントが10kW、リアが20kW。

 そして、環境への取り組みとして、今夏より日本市場で展開している電気自動車をベースに、特別なデザインを施した「プラグイン ステラ フィーチャリング ビームス」を紹介した。シティコミューターとして、最適なバランスを持つと言う電気自動車「プラグイン ステラ」を、セレクトショップのビームスがデザインしたもの。デザインコンセプトは「“人にも地球にも優しい電気自動車を使うことの楽しさ”を表現して頂いた」と話した。

1回のフル充電での航続可能距離は約90kmで、急速充電器を使えば、約15分で80%の充電が可能でき約70kmの走行可能。充電は家庭用の100V、200V電源でも行える。走行中の排出ガス量は無論ゼロで、電力を作る際に発生するCO2排出量は、2.0L小型ガソリン車から発生する排出量と比較して約78%低減していると言う

 また、高い性能を持つスバルのモータースポーツカンパニー「STI」の技術を搭載する「STIシリーズ」の紹介も行った。「インプレッサ WRX STI カーボン」は、WRX STIのATモデルである「A-Line」をベースに、「ルーフに我々の航空技術を用いたカーボン素材を使ったことにより、大幅な軽量化と低重心化を図ることに成功し、新しいプレステージスポーツを提案している」とした。また、昨日発表したばかりのエクシーガ「2.0GT tuned by STI」も用意し、「ミニバン市場に7シータースポーツという新しい価値観を提案する」と述べた。

インプレッサ WRX STI カーボン。A-Lineよりも約4kgの軽量化に成功、重心も3mm下がったと言う。これにより運動性能も高まった。同社のテストドライバーによると、切り返しの多い道で特にその恩恵を感じると述べているそうだ。参考出品として展示されているが、市場の反響次第で市販化も考えられると言うルーフがカーボンだと一目で分かる18インチホイールは表面の塗装をダイヤモンドブラックとしている。BBS製のアルミ鍛造品を装着
エンジンはSTI「A-Line」と同じインパネまわりやルーフにはスエード調の素材が施されるA-Lineはファブリック&合成皮革シートが装備されるが、レカロ製レザーシートが奢られていた

 最後に、「これらの快適で新しい走りと地球環境を融合したモデルと、それに続く次世代に向けたスバルの新しい提案を、このモーターショーで展示している。今後も電気自動車やハイブリッドモデルなど、環境と共存できる車を提案していきたい」とし、特にハイブリッドモデルについては、スバルらしいテイストを織り込みながら、2012年の発表を目指して現在開発を行っているとし、「これからのスバルにぜひ期待していただきたい」とコメントして挨拶を終えた。

市販モデルのレガシィB4 2.5GT SI-Cruise(左)とレガシィツーリングワゴン 2.5i S Package(右)も展示されている
スバルブースのコンパニオン

(編集部:小林 隆)
2009年 10月 22日