【東京モーターショー2009
スズキ、発表したての旗艦モデル「キザシ」を展示

GMと共同でハイブリッド搭載も目指す

スイフト プラグイン・ハイブリッドとスズキ株式会社代表取締役 専務取締役 中山隆志氏

千葉県 幕張メッセ
会期:2009年10月21日~11月4日
(一般公開日:10月24日~)



 スズキは、東京モーターショーに「スイフト プラグイン・ハイブリッド」や、燃料電池車「SX4 FCV(Fuel Cell Vehicle)」のほか、21日に発表したばかりの新型セダン「キザシ」を中心に展示を行っている。

 カンファレンスでは、同社 代表取締役 専務取締役 中山隆志氏が登壇。今回の東京モーターショーにおけるテーマは「小さなクルマ、大きな未来。」。この考え方は、「我々が目指すモノづくりの基本であり、皆様に提案し続けてきたメッセージ。省資源、省燃費、そしてCO2削減など、環境との対話と調和は、小さい車づくりを得意とする同社に与えられた使命であり、我々の力を結集し、挑戦を続けていく」と初めに述べた。

 スズキは、2輪車、4輪車を同ブース内で展示する。現在、開発を進めているハイブリッド車、燃料電池車など、次世代のパワートレーンを搭載した参考出品車を中心に、市販を予定している2輪車、4輪車をあわせて展示する。主な展示車両の紹介はスクリーンを使って行われた。

スズキブース。今回は4輪、2輪が1つのブースに同居する中山氏は「環境との対話と調和は、小さい車づくりを得意とする同社に与えられた使命」と力強く話した

 4輪車では、まずスイフト プラグイン・ハイブリッドの紹介が行われた。同モデルは日常生活で必要な最小限の距離を、“電気自動車として走る”ことを基本コンセプトとし、駆動用モーターとバッテリー、発電用エンジンを搭載した、生活密着型のハイブリッドモデル。近場での買い物や、毎日の通勤といった近距離の移動時は、家庭用電源から充電し、電気自動車として走行。バッテリーの残量が少なくなった場合は、発電用に搭載した軽自動車用660ccエンジンにより電力の供給が行われる。同モデルは、「誰もが手軽に、エコロジーに貢献しながら日常的に利用できるもの」としている。

スイフト プラグイン・ハイブリッド充電1回あたりの走行距離は約20kmバッテリーはエネルギー密度の高いリチウムイオン電池を採用した。センターコンソール内にレイアウトされ、ユーティリティと重量バランスを両立していると言う
エンジンルーム内にエンジンとモーターを並列で搭載車体後部にプラグインリッドを設ける

 燃料電池車のSX4 FCVは、心臓部にGM製の高性能燃料電池を採用し、さらにスズキが開発した700気圧の高圧水素タンクと、制動時のエネルギー回収や加速時のアシストを行う軽量かつコンパクトなキャパシターを搭載した。これにより走行性能を向上させ、2008年には国土交通大臣認定を取得し、現在、実用化に向けた開発を行っていると言う。

SX4 FCV燃料電池とモーターを搭載
巡航走行時のエネルギーの流れ。発進、加速時は燃料電池とキャパシターで力強く走り、巡航時は燃料電池のみで低燃費走行を行う最高速度は150km/h、航続距離は250km

 新型「アルト コンセプト」は、世代を超えて受け入れられる愛着のわくデザインとした市販化を予定しているコンセプトモデルの軽自動車。これからの車に求められる優れた燃費性能、クリーン性能など、環境面に積極的に取り組んだと言う。フロントマスクは「可愛く、かしこく」を表現。大型で見やすいスピードメーターや、フロアシフト、操作性を考慮したスイッチ類、収納スペースなど、日常での使い勝手を突き詰めたモデルとしている。

ブースで一番目立つ位置に配置されたアルト コンセプトと初代ALTO。アルト コンセプトの車両サイズは3395×1475×1535mm(全長×全幅×全高)、直列3気筒DOHC 660ccエンジンにCVTが組み合わせられるアルト コンセプトの2WD(FF)+CVT搭載車の10・15モード燃費は24.5km/L初代ALTO。車両サイズは3195×1395×1335mm(同)で、2サイクル3気筒 540ccエンジンを搭載。トランスミッションは4速MT

 さらに、発表されたばかりのキザシの紹介も行われた。キザシは「スズキが新しい車作りに挑戦したモデル」だと述べ、GMと共同でハイブリッドの搭載を目指し、北米市場への投入を見据えて開発を続けてきたと言う。同社でセダンカテゴリーに挑戦するのは初だとし、「スズキの未来を切り開く熱い思いをネーミングに込めた」と話す。

 操る楽しさを体感できるハンドリング性能に加え、力強さを表現したマッシブなプロポーションに、上質なくつろぎを提案する室内空間を実現。開発にあたってはヨーロッパや北米におけるあらゆるシチュエーションで走行テストを行ったと言う。

 心地よい加速をすると言う直列4気筒DOHC 2.4リッターエンジンの最高出力は138kW(188PS)/6500rpm、最大トルクは230Nm(23.5kgm)/4000rpm。これに新開発のCVTが組み合わせられ、最適な変速制御を行うとしている。10・15モード燃費は2WDモデルが12.6km/L、4WDモデルが11.4km/L。駆動方式は2WD(FF)のほか4WDも設定し、4WDには「車両運動協調制御システム」を採用。これは操舵角センサーやヨーレイトセンサーなどにより走行状況を監視するもので、これにより前後輪の横滑りを感知すると、4WDシステムと電動パワーステアリングの協調制御を行い、車両安定性を確保する。

 最後に中山氏は、「ぜひ会場にきてキザシに触れて感想をいただきたい」と述べ、カンファレンスを終了した。

キザシの発表も行った中山氏キザシの2WD(FF)モデル
こちらは4WD直列4気筒DOHC 2.4リッターエンジン
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式を採用。タイヤサイズは235/45 R18インチを採用スポーツスピリットと優雅さを融合したと言うインテリアデザイン。ハンドルにはシフトパドルを装備する。シートはダブルステッチを取り入れた本革仕様メーターは240km/hまで刻まれる。中央のマルチインフォメーションディスプレイには瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、平均車速、外気温、シフトインジケーター、オドメーター、トリップメーター情報などを表示する
ブースで活躍するコンパニオン

(編集部:小林 隆)
2009年 10月 22日