【2010ジュネーブショー】 フェラーリ、ハイブリッドカー「HY-KERS」を開発 F1技術を活用したハイブリッド実験車 |
メルセデス・ベンツCEOのディーター・ツェッチェ博士は3月2日のプレスカンファレンスで「私たちはF1だけでなく、フォーミュラ“グリーン”にも勝ちたい」と言ったが、その気持ちはフェラーリも同じなのだろうか。同じジュネーブショーでフェラーリは、初のハイブリッドカー「HY-KERS(ハイ・カーズ)ヴェットゥーラ・ラボラトリオ」を公開した。
ヴェットゥーラ・ラボラトリオ、つまり実験車という名称が表すとおり、量販モデルではなく開発のためのテストベッドという位置づけ。しかしベース車両は「599GTBフィオラーノ」で、既存のモデルにハイブリッドシステムを搭載することが、同社のハイブリッド開発の目標の1つに含まれていることは注目に値する。
F1のイメージをロードカーに重ねることでステイタスを高める同社だが、ハイブリッドカー開発でもテーマは「F1技術の移転」であり、車名には「KERS」が入る。
既存モデルのハンドリングとパッセンジャー・スペースを犠牲にしないために、ハイブリッドシステムは軽量コンパクトであることが求められた。このため、599GTBフィオラノはトランスアクスルレイアウトを持つFR車だが、モーターは車体後部のトランスミッションに取り付けられ、モーター駆動用のリチウムイオンバッテリーは車体底部、パッセンジャールームの下あたりに取り付けられた。このレイアウトは、低重心化にも役立っている。
軽量コンパクトなハイブリッドシステムは、2つめの目標「パワー・ウェイト・レシオの改善」にも貢献するが、さらに、モーターからは100PS以上の出力を発生させていることで、ハイブリッドシステムによる重量増をカバーしている。これにより3つめの目標「全回転域でのトルクの改善」が可能になった。
このハイブリッドシステムは、フロントエンジン、リアエンジンのどのフェラーリにも適用できると言う。
フェラーリブースのグリーンはちぐはぐなように思えるが、実際には意外とハマっている。「カリフォルニア」にアイドリングストップシステムを搭載するなど、環境面への配慮を打ち出し始めた同社だけに、ハイブリッド・スーパー・スポーツの登場も遠い未来の話ではないようだ。
(編集部:田中真一郎)
2010年 3月 5日