【2010ジュネーブショー
フォルクスワーゲン、一足早くワールドプレミア

2018年に向けたEVロードマップを公開、ポルシェのハイブリッドスポーツも登場

3月1日(現地時間)
スイス ジュネーブ
Espace Secheron Hall



 フォルクスワーゲン・グループは3月1日夜(現地時間)、スイス ジュネーブのEspace Secheron Hallで、「フォルクスワーゲン・ナイト」を開催。同グループのワールドプレミア車を紹介するとともに、同グループのマルティン・ヴィンターコルン会長が「2018年までにEモビリティのマーケットリーダーになる」との目標を宣言し、そのロードマップを明らかにした。

 また、スズキの鈴木修会長兼社長が来場し、同グループとの提携についてスピーチした。

ピックアップトラックからハイブリッド・スパイダーまで
 フォルクスワーゲン・ナイトは、ジュネーブ・モーターショー開幕前夜恒例の報道関係者向けイベントで、同グループの各ブランドが、ワールドプレミアを一足早く公開する。

 この夜、紹介されたのは、シュコダ「ファビアRS」、アウディ「A1」、ベントレー「スーパースポーツ・コンバーチブル」、ブガッティ「16Cガリビエ」、フォルクスワーゲン商用車部門の「アマロック」、ランボルギーニ「ガヤルドLP-570 スーパー・レッジェーラ」、セアトのEVコンセプトカー、ポルシェ「918スパイダー」フォルクスワーゲン「シャラン」の9台。それぞれの詳細は写真を中心に紹介する。

トップバッターはシュコダのファビアRS。180PSエンジンを積むファビアのトップモデルにしてスポーティモデル。同エンジンのワゴンボディーもある。クルマから降りてきたのはシュコダのCEO。このように、各ブランドのヘッドが各々のワールドプレミアを披露した
予告どおり登場したアウディのエントリーコンパクト「A1」。「このクラス初のプレミアムモデル。プレミアムにサイズは関係ない。A8やA4、A3で証明したことを、A1でも証明する」と言うルパート・シュタートラーCEOと、A1のイメージキャラクターを務めるジャスティン・ティンバーレイク氏が降り立った
ベントレーの「スーパースポーツ・コンバーチブル」。フレックスフューエル仕様のW12エンジンで最高速300km/hを叩き出す。ベントレーはすべての12気筒エンジンをフレックスフューエルにする
ブカッティ100周年記念イベントでお披露目されたコンセプトモデル「16Cガリビエ」。ボディーの真ん中を貫くクロームのモール、バタフライ構造のボンネット、8本のテールパイプなどが印象的。パルミジャーニ フルリエと開発したセンターコンソールの時計は、取り外して腕時計として持ち出せる
フォルクスワーゲン商用車部門の大型ピックアップトラック「アマロック」は、同社が未参入の市場を開拓するミッションを帯びる。エンジンは2リッター直噴ディーゼルターボで、この分野でも同社流のダウンサイジングを図る
ランボルギーニの「ガヤルドLP-570スーパー・レッジェーラ」は、カーボンなどを多用して通常のガヤルドから70kgも軽量化に成功。5.2リッターのV10エンジンは10PSアップで、0-100km/hを3.5秒で加速し、最高速は325km/hに
セアトのEVコンセプトカーはスポーティーモデル
ポルシェ「918スパイダー」は3.4リッターV8エンジンとモーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッド・スポーツカーのコンセプトモデル。バッテリーはリチウムイオン。0-100km/hが3.2秒以下、最高時速320km/h、ニュルブルクリンクを7分30秒以下でラップする性能と、100kmを3Lの燃料で走る経済性を併せ持つ。「ハイブリッド」「スポーツ」「レース」の3種のハイブリッド・モードのほか、モーターのみの走行も可能。エンジン音を響かせて登場し、電気モーターのみで退出するという演出。帰りのドライバーはワルター・レール氏。「ポルシェは製品にならなかったコンセプトモデルは作ったことがない」という発言も
トリはフォルクスワーゲンの3列シートミニバン「シャラン」。簡単に多彩なシートアレンジが可能。パワートレーンはもちろんTSI、TDIにDSG

鈴木会長「パートナーというより先生として提携した」
 フォルクスワーゲン・ナイトの冒頭、司会に促され、ヴィンターコルン会長とフェルディナンド・ピエヒ監査役会長とともにステージに登場したのが、スズキの鈴木会長。

 鈴木会長はフォルクスワーゲンとの提携について「世界で好意的に報道していだたいて感謝している。この難しい時代を乗り切るため、いい先生を探していたところに、フォルクスワーゲンからお誘いを受けた。立派なパートナーというか、先生をお迎えすると考えて、提携に踏み切った」「(提携した)12月9日以来、各スタッフが協議を重ね、信頼関係が確立した。言葉も風俗も習慣も異なる両社だが、お互い人間であることに変わりない。“ハート・トゥ・ハート”で信頼を得て、世界とクルマのために一生懸命がんばっていく」と、提携の経緯と抱負を語った。

ピエヒ会長と握手する鈴木会長(写真左)。ピエヒ会長はスズキについて「小型車でトップの技術を持っている。それにオートバイも!」と会場の笑いを取った。ハヤブサ(スズキのバイクのフラッグシップ・スーパー・スポーツ)にはまだ乗っていないとのこと。その後、鈴木会長はステージに一人残り、日本語でスピーチした(中)。写真右はステージ下で報道関係者に囲まれる鈴木会長とピエヒ会長

 

ヴィンターコルン会長

2018年にEモビリティのマーケットリーダーに
 イベントの締めくくりに登場したヴィンターコルン会長は、「Eモビリティ」と名付けた同グループの電動パワートレーン戦略を明らかにした。

 そのゴールは「2018年までにEモビリティのマーケットリーダーになる」こと。まず2011年に電動パワートレーンを持つゴルフ500台をテスト部隊に配属。2012年のジェッタ/ハイブリッドを皮切りに、パサートとゴルフのハイブリッドモデルを市場に投入する。

 2013年には、純粋に電気のみで動く「E-Up!」の生産を開始し、次いで「Eゴルフ」「Eジェッタ」を投入、さらに、「モジュラーEトラクションアプローチ」によりほかのモデルに電動パワートレーンを拡大。2018年にはグループの生産台数の3%を電気自動車にする。

 この構想のポイントは、EVのパワートレーンはモジュール化して適用モデルを早期に拡大しようというところ。また、フォルクスワーゲンを象徴するモデルであるゴルフとジェッタに、ハイブリッドとEVを投入する計画で、パワートレーンの変革期のイニシアチブを取ろうという意気込みが明らかになった。


80th International Motor Show
http://www.salon-auto.ch/en/

(編集部:田中真一郎)
2010年 3月 2日