【2010デトロイトショー
“25万円カー”タタ「ナノ」が米国上陸

デトロイト・サイエンス・センターでの展示を写真でリポート

デトロイトで展示されたナノ

2010年1月14日(現地時間)
米国ミシガン州デトロイト
デトロイト・サイエンス・センター



デトロイト・サイエンス・センター

 「2010 North American International Auto Show」(デトロイトショー)開催中のデトロイトに、インドの“25万円カー”タタ「ナノ」がやってきた。

 タタ・テクノロジーズは1月14日(現地時間)、デトロイトショー会場近くのデトロイト・サイエンス・センターで「ベター・イノベーション」と題したイベントを開催し、ナノを展示した。

 タタ・テクノロジーズは、ナノを発売したタタ・モーターズと同じタタ・グループに属する、エンジニアリングや製品開発の請負会社。

 同社はシンガポールに本拠を置いているが、米国の拠点がデトロイトからクルマで30分ほどのミシガン州ノーヴィにある。

 ナノは、排気ガス規制などの問題から米国で発売される予定はない。ナノの開発でも重要な役割を果たしたと言う同社が展示用に、インドから持ち込んだ。デトロイトでの展示は14日のみだが、米国には11カ月間置いておくことができるので、今後は全米を巡回して展示すると言う。

展示されたのは最上級モデルの「LX」。このモデルのみ前後バンパーがボディー同色になり、ティンテッドガラスの上部に色が入る

 ナノはインドの多くの人に4人乗りの4輪乗用車を提供すべく、コスト削減を第一の目的として、開発された。2003年に開発がスタートしたが、コスト削減のため、例えばドアをバーやビニールにしたり、枚数も4枚でなく2枚の大きなドアで済ませるなどのアイデアが検討されたと言う。

 車体サイズは3099×1495×1652mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2230mm、重量は600~635kg。最廉価モデルのナノのほか、ナノCX、ナノLXの3グレードが用意される。

 パワートレーンは624cc直列2気筒ガソリンエンジン+4速MTのみで、リアに搭載され、後輪を駆動する。エンジンの最高出力は35PS、最大トルクは48Nmで、最高速度は105km/h。

 サスペンションはフロントがロワーウィッシュボーン+マクファーソンストラット、リアがセミトレーリングアーム。ブレーキは前後ともドラム。タイヤサイズは前135/70 R12、後155/65 R12.

 展示されたのは最上級モデルのLXで、エアコンやトリップメーター、ドアポケット、助手席のスライド&リクライニング機構、倍力装置付きブレーキなどを備える(つまり、最廉価モデルにはこうした装備もないということだ)。展示車の詳細は写真でリポートする。

 折しもオートショー期間中とあって、展示会場には多数のジャーナリストが来場。ナノに乗り込み、細部を仔細に検討していた。

ナノのコストダウンの例としてよく挙げられる、1本ずつのミラーとワイパー。ミラーはドライバー側のみホイールは3穴。LXはハーフホイールカバーが付き、LX以外はカバーなしのスチールホイールとなる
フロントスポイラーは全車に付くが、リアスポイラーはLXのみ
エンジンがリアにあるため、リアホイールの前にエアインテークがある。後部はエンジンに占領されており、さらに車室内にはトノカバーもあるため、ラゲッジルームがない。リアにはなんのハッチもないので、エンジンを見るには下から覗くしかない
スペアタイヤをフロントに積む。エンジンオイルやクーラントはフロントから補充する
薄く軽いドアを開けると極めて簡素なコックピットが現れる。シートは前後スライドとリクライニング調整できるが、ベーシックモデルは前後スライドのみとなる。天井が高いため、狭苦しさは感じない。左右の幅は確かに狭いが、大柄な大人が並んで座っても、肩が触れるようなことはない
インストゥルメントパネルは左右対称のデザインになっていて、左右ハンドル車どちらにもこのまま使えるワイパーは2段階の速度切替が可能で、LXのみ間欠モードがあるLXのみ前後フォグランプが付く
4速MTのシフトレバー。LXのみカップホルダーとフロント・パワーウインドーが付くペダルはすべてつり下げ式計器類はセンターにあるスピードメーターとデジタル燃料系のみ
エアコンもLXのみ。もちろんマニュアルルームランプとサンバイザーは全車標準で付く運転席の下にはバッテリーが、助手席の下にはジャッキが置かれる
助手席のアジャスト機能はLXのみに付くが、助手席のリクライニングレバーが右側(運転手側)に付く。運転席も助手席も、同じシートを装着しているのだ
リアシート。後席のシートベルトは2点式で、2人分付く

North American International Auto Show(英文)
http://www.naias.com/

(編集部:田中真一郎)
2010年 1月 18日