【2010ロサンゼルスオートショー】トヨタ、ホンダ、日産編 次世代を示すコンセプトモデルとEVの競演 |
国産メーカーが今回のロサンゼルスオートショーにかけた意気込みは、ホスト国のビッグ3から見ても引けを取らないほど充実していた。と言うのも、今回のLAショーでワールドプレミアされたモデルが6台、北米での初披露が2台の計8台が発表されたからだ。
中国市場が成長を止まない現在でも、北米市場は国内メーカーにとって重要な地であり、こと西海岸においては日本車のシェアも大きい。そのことから、必然的に国産メーカーも力が入るというわけだ。
トヨタとホンダは新しいEVモデルを公開し、日産とマツダはミドルサイズセダンの今後を示す意味でも重要なデザインコンセプトを発表した。
そして、スバルは事前情報としてコンセプトカーを出展することは分かっていたが、「スバル インプレッサ コンセプト」の名称とともにアンヴェールされた。三菱自動車も北米でのi-MiEVの販売開始をアナウンスした。プレスカンファレンスでも、ホンダとスバルは社長自らがプレゼンテーションを行う力の入れようだった。
それでは、国産メーカーを2つのコンテンツに分けて、発表されたコンセプトカー、新型車を紹介していこう。今回はトヨタ、ホンダ、日産ブースの模様をお伝えする。
■トヨタ自動車
1998年から2003年に掛け、トヨタはRAV4をベースとした電気自動車(EV)をカリフォルニアで販売したことがあった。6年間で1484台がオーナーの手に渡り、現在でも746台のRAV4 EVが走っていると言う。
その第2世代となる「RAV4 EV」が、ここLAショーで発表された。この車両は、5月に資本業務提携を結んだテスラ・モーターズのシステムを搭載しているのが特徴で、単独開発だった第1世代とは異なるアプローチとなる。
今後、35台のテスト車両をテスラ・モーターズと共同で製作し、実走テストを開始する。2012年の市販化を目指していると言い、1回の充電での航続可能距離を100マイル以上に設定し、開発・性能テストを行っていく。
また、EVの開発と平行して燃料電池車(FCV)のテスト、開発も力を入れていくとし、2015年までに製品化したいとの考えを示した。
RAV4 EV |
RAV4 EVを発表するトヨタ・モーター・セールスのジェームス・レンツ社長 | 記者に囲まれるテスラ・モーターズのイーロン・マスク社長 |
プレスカンファレンスでスピーチする伊東孝紳代表取締役社長 |
●本田技研工業
ホンダはフィットベースのEVコンセプトモデルを発表。プレスカンファレンスで登壇した伊東孝紳代表取締役社長は、フィットをベースにした理由を「世界戦略車である車両をベースにした方が、各国で受け入れやすいから」と語っていた。
フィットEVはリチウムイオン電池を搭載しており、モーターは燃料電池車両「FCXクラリティ」と同型のギアボックスと同軸タイプを採用。航続可能距離は100マイル以上で、充電時間は120Vなら12時間以下、240Vなら6時間以下で満充電となる。
また、フィットEVとともに発表されたのが、次世代プラグインハイブリッドモデル。エンジンは、2リッター i-VTECが積まれていて、2つの高出力モーターが組み合わせられる。インサイトやCR-Zと異なり、10~15マイルのEV走行を可能にしたと言う。このプラグインハイブリッドモデルはミドルサイズの車両と組み合わせ、今冬にもテストが開始される。
フィットEVと次世代プラグインハイブリッドモデルは、ともに2012年の市場導入を予定している。
フィットEV | ||
フィットEVのインテリア | ステアリング横には「スポーツ」「ノーマル」「ECON」の3モードスイッチが付く | |
次世代プラグインハイブリッドモデルのエンジンとモーターも展示されていた |
●日産自動車
日産は、3モデルのワールドプレミアを行った。
まず、チーフ・クリエイティブ・オフィサーの中村史郎氏が解説したのが、次世代ミドルクラスセダンのデザインコンセプトとなる「エリュール」。4ドアセダンながら躍動感ある面構成やスポーティなデザインが特徴と言える。
中村氏によるとデザインで重要なのは何からインスピレーションを受けたかということで、今回は日本固有の美的なものとして「鳥居」や「裃」からヒントを得て、グリルやリアまわりをデザインしたと語っていた。
流麗なデザインも気になるが、アナウンスによると搭載しているエンジンは直列4気筒2.5リッターで25kWのモーターを組み合わせたハイブリッドモデル。現在は、フーガにしか使っていない日産の1モーター2クラッチだが、今後は2WD(FF)の横置きモデルにもハイブリッドモデルをラインアップすることが予測される。
次世代ミドルクラスセダンのデザインコンセプトモデル「エリュール」 |
「エリュール」に続いて公開されたのが、2台の新型モデル。
まずは、SUVとコンバーチブルを組み合わせたニューカテゴリーの「ムラーノクロスカブリオレ」。4ドアだったサイドビューは2ドア化されるとともにAピラーの傾斜は強くなり、かなり個性的なデザインとなっている。それでいてベースとなっているムラーノの力強さも残っている。
幌はソフトトップを採用し、3分割で自動収納される。コンバーチブルになり2ドアとなっているが後席の居住性は考慮していて、4人乗車でも圧迫感を感じさせないスペースを確保する。
ムラーノクロスカブリオレ |
もう1台の新型モデルは、北米仕様のミニバン「クエスト」。リアからサイドへのデザインは、日本でフルモデルチェンジしたエルグランドと共有している部分が多いのが分かる。両側自動スライドドア、多彩なシートアレンジなど、こちらもエルグランド譲りとなる。
エンジンはV型6気筒 3.5リッターのみで、トランスミッションはエクストロニックCVTを採用する。
クエスト |
(真鍋裕行)
2010年 11月 22日