【2010ロサンゼルスオートショー】スバル、マツダ、三菱自動車、スズキ編
スバルは「インプレッサ コンセプト」、マツダは「靭」、三菱は北米版「i-MiEV」を公開

ヴェールに包まれた「インプレッサ コンセプト」の前でプレスカンファレンスを行う富士重工業 森郁夫代表取締役社長

会期:2010年11月17日~28日(現地時間)
会場:米国 ロサンゼルス Los Angeles Convention Center



 先に紹介した国産メーカー編ではトヨタ、ホンダ、日産の展示モデルを紹介したが、ここではスバル、マツダ、三菱自動車、スズキのブースの模様をお伝えする。

富士重工業
 国産メーカーが公開したモデルの中で、もっとも注目を浴びていたのが「インプレッサ コンセプト」。コンセプトモデルなので、次期インプレッサを具体的に示唆しているわけではないが、スバルの新たなブランドステートメント「Confidence in Motion」を表現する。

 フロントフェンダー後端からテールレンズに続くキャラクターラインは斜めに描かれ、エモーショナルな感覚を作り出す。前後フェンダーは、4WDを象徴するために抑揚が付けられ、こちらも躍動感あるサイドビューのキーポイントとなる。フロントとリアは6角形のヘキサゴンデザインを採用し、これにより立体的で力強い印象を演出する。

 インテリアは、エクステリア同様にダイナミックな流れを作りつつ、「安心と愉しさ」を表現した。センターコンソールには複数のモニターが内蔵され、駆動状況などを確認できるようだ。インパネは上下に分割するデザインを用い、メーターは円形の複眼タイプ。シンプルながら、どこか次世代な雰囲気を感じさせる。

 「これが次期インプレッサになることはない」とのことだったが、果たして次期モデルは4ドアで登場するのだろうか。

スバルの新たなブランドステートメント「Confidence in Motion」を表現した「インプレッサ コンセプト」

マツダ デザイン部長の前田育男氏と北米マツダの代表取締役社長

マツダ
 マツダは、9月に発表したデザインコンセプトカー「靭(しなり)」の実車と、「マツダ5(プレマシー)」を北米初公開した。

 靭は、「Soul of Motion(魂動)」を体現した4ドア4シータークーペで、次世代のセダンモデルにデザインを落とし込むために製作されたコンセプトカーになる。

 限りなく低く抑えられフロントセクションや伸びやかなノーズ、4ドアにも関わらずクーペのように見えるプロポーションは、「ためた力を一気に解き放つ瞬発力」や「美しくしなやかな動き」を表現した。また、RX-8から進化し続けるプロミネントフェンダーは、ボディーサイドにエレガントさを醸し出している。

 インテリアは、人とクルマのつながりを意識したデザインとした。シートはRX-8と同様の独立4シーター。シフトレバーは廃されてセレクトダイヤルとなり、ステアリングにはパドルシフトが付く。メーター横のモニターは、エアコンやオーディオ類の制御に使われるようだ。

 靭は、会場での評価も高く、多くの記者がプロポーションを興味深く見ていたのが印象的だった。

「Soul of Motion(魂動)」を体現した4ドア4シータークーペ「靭(しなり)」
「マツダ5(日本名:プレマシー)」のプレゼンテーションは、楽器セットやキャンプ道具などを制限時間内に積みこむというユーモア溢れるものだった

三菱自動車工業
 約40年に渡り電気自動車の開発を続けている三菱自動車。国内ではいち早く電気自動車(EV)の市販化を行い、「i-MiEV」は欧州での生産がすでに始まっている。そして今回、2011年秋より北米市場でもi-MiEVを販売開始すると発表した。

 北米仕様のi-MiEVは、衝突安全性のためバンパーを大型化したため全長が285mm伸び、全幅も110mm広がった。運転席と助手席の間隔は変わりないが、サイドシル部分が左右ともに広くなった。これはアメリカ人の体格に合わせた訳ではなく、サイドエアバックを取り付けるスペースを確保するためのワイド化。サイドエアバックがないと法規的に通らないためで、フレームを真ん中で切断し全幅を広げるという複雑な作業を強いられたと言う。

 モーターとバッテリーは日本の仕様から変更はないが、制御については若干の変更を行っているそうだ。また、タイヤサイズが15インチになったため、サスペンションもリセッティングしている。

 販売価格は3万ドル前後を想定しており、米国では政府からの補助金が7000ドル、加えて州により異なるものの、カリフォルニアではさらに4000ドルの補助金が援助される。そのため、実質は2万ドルを切る価格になるようだ。

北米仕様のi-MiEV

スズキ
 スズキが展示した2台の「キザシ」は、ともに米国自動車誌の企画で使用された車両。

 「MOTOR TREND」誌が使った見た目ノーマルのキザシは、陸路で東京~ロサンゼルス間を走破した車両。東京を出発し、島根県松江市からウラジオストックに渡り、シベリアを通過してロシアを北上。さらに北極海を渡り、アラスカからロサンゼルスまで南下するという壮絶な実行テストに耐えた。

東京からロサンゼルスまで走破したキザシ。エンジンルームの汚れから、かなりの悪路を走ったことが想像できる

 一方、サイドミラーが取り外され、フロントバンパーを限りなく地面すれすれに延長したキザシは、「ROAD&TRACK」誌が最高速アタックに使った車両。

 ボンネビルスピードウィークという速度記録挑戦の大会に出場するために製作したキザシは、ターボチャージャーが取り付けられ最高出力は500PS以上。同大会のクラスレコードとなる204.2マイル(約328km/h)を記録した。

最高速アタック仕様のキザシ。トランクにはパラシュートが装備されている

(真鍋裕行)
2010年 11月 24日