【東京オートサロン2011
国内自動車メーカー「日産/ホンダ/スズキ」編

日産はサーキット専用モデル「GT-R RC」、ホンダCR-Z、スズキソリオのコンセプトにも注目

日産ブースでは「NISMO GT-R RC」の発表にあわせて開発陣らによるトークショーを開催

2011年1月14日~16日
入場料
15日、16日:2000円(大人)/1500円(中・高校生)



 1月14日に幕を切った「TOKYO AUTO SALON 2011 with NAPAC」(東京オートサロン2011)には、多数の自動車メーカー、タイヤメーカー、部品メーカー、チューニングショップが出展し、会場を盛り上げている。

 国内自動車メーカーに目を向けると、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、富士重工業(スバル)、スズキが大規模なブースを構え、コンセプトモデルや市販車の魅力を存分にアピールしている。

 ここでは日産、ホンダ、スズキの各ブースの模様をお伝えする。

日産自動車
 日産ブースで注目を浴びているのは、「NISSAN GT-R(R35)」をベースに、徹底した軽量化が施されたサーキット専用モデルの「NISSAN NISMO GT-R RC(以下GT-R RC)」だ。14日にはGT-R RCの概要が発表されるとともに、車両開発を担当したレーシングドライバーの影山正美選手と、NISMOで商品開発部 ジェネラルマネージャーを務める岡村潤平氏によるトークショーが行われ、GT-R RCの魅力をアピールした。

アンヴェールされたGT-R RC
開発ドライバーを務めた影山正美選手NISMO ジェネラルマネージャー 岡村潤平氏

 GT-R RCは、ベース車両となるNISSAN GT-Rのエンジン、トランスミッションはそのままに、カーボンファイバー製のバンパー、ボンネット、トランクリッド、リアウイングなどを装着するほか、室内のアンダーコートやリアシートなどを取り払い、さらにリアウインドーにアクリルを採用するなど徹底した軽量化が施される。ホイールも専用20インチのものを装着する。その車重は1520kgとされており、標準モデルよりも200kg以上軽くなる計算だ(Pure editionと比較した場合)。

 また、フロントブレーキに外径410mm、リアブレーキに外径380mmの大型ローターを採用してストッピングパワーを高めている。岡村氏によれば、とくに力を入れたのはブレーキの冷却性能で、これはGT-R RCが世界各地で販売されることから、こと暑い国でのブレーキ性能を維持するためだと言う。

 開発ドライバーを務めた影山氏は、GT-R RCはただ単にテストを行って開発したのではなく、十勝24時間レースやスーパー耐久レース(富士スピードウェイ)といった実践の場でも試すことで、その性能を突き詰めたと述べたほか、標準モデルよりも圧倒的に軽い車重やスリックタイヤ装着などにより、「レーシングの部分が強調された」「サーキットを走る上での安定感はノーマルよりも当然上」と、その圧倒的な能力について紹介した。

 GT-R RCは本日から発売されており、価格は2079万円。スペックを見ると最高出力は357kW(485PS以上)/6000rpm、最大トルクは588Nm(60.0kgm以上)/5200rpmとなっており、このことから2010年モデルをベースにしていると思われる。

 なお、2010年10月にサーキット専用車「GT-R Club Track edition(クラブトラックエディション)」が発売されているが、Club Track editionはサーキット走行をこれから楽しみたい人向けの車両であり、GT-R RCは世界各国で開かれるプロダクションカーレースに出場するのに最適な車両、つまり本格的にレースに参戦したい人向けの車両という位置づけになる。

 ちなみにClub Track editionは、新車取得後3年目以降であればナンバー登録が可能だが、GT-R RCはナンバー登録は不可となっている。

GT-R RCのボディーサイズは4650×1895×1370mm、ホイールベース2780mm。専用車高調整式サスペンションや大型化されたブレーキディスク、専用ホイール(10.5J×20 +25mm)、ADVAN専用スリックタイヤ(290/710 R20)などを装着
EVの未来のスポーツドライビングをイメージしてデザインされたと言う電気自動車(EV)「リーフ」のコンセプトカー「リーフ エアロスタイルコンセプト」。リーフの特徴を際立たせるロー&ワイドなエアロを装着する
ストリートで気持ちよく走るためのカスタムパーツ「S-tune」と純正オプションパーツを組み合わせた「エルグランド S-tune」
現行フェアレディZの運動性能を高めることに主眼を置いてつくられた「フェアレディZ バージョン NISMO」
「贅沢さ」と「上質感」を極限まで追求したと言う「エルグランド Rider プレミアム コンセプト」。「エルグランド ライダー」をベースに、従来では2列目に備わるキャプテンシートを3列目の位置にレイアウトした4名乗車仕様のラグジュアリーモデル。アームレストなどを含めると従来よりもシート幅が広くなるため、内装も設計し直していると言う。後席向けの機能として、クーラーボックスなども備わる

本田技研工業
 ホンダブースでは、インディカーやSUPER GT参戦車両のHSV-010 GT(ウイダー ホンダ レーシング)、フォーミュラ・ニッポン参戦車両のFN09といったレース車両が展示されている。

 一方、ひときわ来場者の目を惹いていたのは、CR-Zをベースにしたコンセプトカーの「TS-1X」。ホンダの純正用品メーカーを担うホンダアクセスが開発したモデルで、マットブラック仕上げのボディーには、50:50の前後リフトバランスを目指したエアロ類を装着。とくにワインディングでの旋回性能を追求したと言う。

 そのほかモデューロエアロを身に纏ったフィット ハイブリッドや、無限ブランドからリリースされているエアロやサスペンション、ブレーキ、スポーツマットといったインテリア用品を装備したフィット RSなども展示中。

HSV-010 GT(ウイダー ホンダ レーシング)
フォーミュラ・ニッポン参戦車両FN09
インディカー
CR-Zをベースとしたテストスタディーモデル「TS-1X」。50:50の前後リフトバランスを目指したエアロパーツを装着。このエアロパーツの発売は未定だが、オートサロンでの反響次第で発売を視野に入れているとのこと
純正用品を装着する「スポーツモデューロ NSX」。装着製品は5月末に発売予定だそう
モデューロエアロを装着したフィット ハイブリッドスポーツ用品メーカーのアシックスとコラボレーションしたフリード スパイクのキャラバンカー「ランニングステーション ASICS×Honda」。バックドアを開くことで更衣室に変身
無限の各種製品でドレスアップされたフィット RS
モデューロ ステップ ワゴン

スズキ
 スズキブースでは、1月7日に発売されたばかりの新型「ソリオ」のコンセプトカー3台が並べられる。いずれもアウトドア色の強いデザインがボディーに施され、1台はフィンランドのスポーツ機器ブランド「SUUNTO」と、2台はフランスのマウンテンカンパニー「SALOMON」とのコラボレーションモデルとなる。

 また、参考出品として「MRワゴン CONCEPT」も展示されており、1月20日に発表予定の新型MRワゴンは、もしかしたら同コンセプトモデルのデザインをベースにしているのかもしれない。

SALOMONとのコラボレーションカー「SOLIO×X-Adventure SALOMON」。アドベンチャーレースをモチーフにしたデザインがボディーに施される
同じくSALOMONとのコラボモデル「SOLIO×SALOMON」。スキーやスノーボードといったウインタースポーツを想起させるエクステリア/インテリアデザインとなる
クルマとマリンスポーツの新しい関係を提案する「SOLIO×SUUNTO」
MRワゴン CONCEPT

(編集部:小林 隆)
2011年 1月 14日