【オート上海2011】 日産「ティーダ」、スバル「XVコンセプト」、ホンダ新型IMAを公開 世界でもっとも注目される中国市場で日本メーカーが存在感を見せる |
2009年にアメリカを抜いて世界トップの自動車販売台数を記録した中国。2010年の販売台数も1500万台を大きく超えて世界ナンバーワンのセールスを誇っている。
各自動車メーカーにおいては、他の地域では苦戦しているところもあるが、中国では前年比で軒並み20%以上の成長を継続。日本メーカーは、中国 上海市で開催された「オート上海2011」において、新型車やコンセプトカーのワールドプレミアを行い、シェア拡大を狙っている。
■日産自動車
事前の発表がなくサプライズで登場した「コンパクトスポーツコンセプト」。「マーチ」をベースとしたデザインコンセプトカーだが、外装はどこを見てもマーチと同様の印象を受けるところはないほどスポーティになっている。現行のマーチは5ドアしかないが、違和感なく3ドアになっているのもポイントだろう。
コンパクトスポーツコンセプト |
なぜ、このタイミングでコンパクトスポーツコンセプトが発表されたかというと、昨年、北京にデザインセンターができ、そのアピールも含まれていたようだ。また、北京のデザインセンターと日本のデザインセンターが共同で開発を行った初めてのクルマでもある。2005年のニューヨークショーでは「ティーダ」をベースとした「スポーツコンセプト」を発表しているが、その流れを汲んだモデルとなる。
トランクには「NISMO」のロゴが付いているので、「フェアレディZ」のようにバージョンNISMOかと想像が沸き立つが、今のところはデザインコンセプトなので、この車両がどのように市販車に活かされるのかは未定だと言う。ちなみに中国でもNISMOはスポーツブランドとして認識されていて、特に「ティーダ」が出場しているCTCCレースでの認知度や人気が高いそうだ。
ボディーサイズは、3482×1726×1444mm(全長×全幅×全高)。搭載されるエンジンは、MR16DDTの1.6リッター直噴ターボ。最高出力は190HP、最大トルクは240Nmと発表されている。組み合わされるトランスミッションはエクストロニックCVTで、マニュアルモードを使えば6速のシフトチェンジが可能。
ホイールサイズは18インチ、タイヤサイズは225/40-18 | ステアリングホイールは下部を直線状とした楕円形 | シートはレッドのステッチがスポーティさを演出 |
新型ティーダの右に立つカルロス・ゴーンCEO |
グローバルハッチバックと位置づけられた新型「ティーダ」も事前発表の通り上海ショーでニューモデルが出展された。もともと、室内の快適性や質感が高かったティーダだが、よりプレミアム感を向上した仕上がりになっている。後席のニースペースは最大で681mmとなりクラストップレベルのスペースを誇る。
ホイールベースも延長され2700mmへと拡大された。これにより直進安定性や操縦安定性も増し、室内空間の質感向上と合わせてハンドリングや乗り心地も大幅に引き上げられていることが予想される。
また注目なのが、日系車では中国市場で初となるターボチャージャー付きモデルを用意するということ。ターボモデルのエンジンを見るとジュークターボに搭載されているDIG TURBOというヘッドカバーが確認できた。補器類のレイアウトから見てもMR16DDTのようだ。ターボエンジンを搭載したスポーツモデルの存在も明らかになったティーダの国内発売が期待される。
新型ティーダ |
ターボモデルのエンジン | 湾曲したダッシュパネルなど、こだわりのデザインが特徴 | |
居住性の高い室内スペース |
■スバル(富士重工業)
スバルのワールドプレミアはクロスオーバーモデルのコンセプトカーとなる「XVコンセプト」。力強いフォルムとファッション性をあわせ持つクロスオーバービークル。現行モデルのインプレッサにもXVグレードがあるが、車高を100mmも高くしているのがポイント。
エクステリアは、スバルのアイデンティティとなるスプレッドウイングを配したヘキサゴングリルや、フェンダーやバンパー下部をツートーンカラーにしているのが目を引く。
センターコンソールには、昨年のロサンゼルスショーで公開したインプレッサコンセプトと同様の大型マルチファンクションディスプレイを搭載。タッチパネル感覚で車両状況やナビゲーションなどの多機能を操作できる。
現時点ではインプレッサの名前は付いていないが、フロントやリアのヘキサゴンデザイン、インテリアのデザインなどを見ると、インプレッサをベースとしたクロスオーバーモデルとして登場することになりそうだ。
インテリアの質感もよく、コンセプトカーにしては完成度が高いので、市販化が近いことが予想される。
XVコンセプト |
インテリアはシルバーホワイトのレザーとメッシュ地を組み合わせる | センターコンソールにはマルチファンクションディスプレイを装備 | スポーティなシルバーホワイトのシート |
広いラゲッジルームも魅力 |
■本田技研工業
プレスカンファレンスで伊東社長は、中国市場に向けて2012年から電気自動車(EV)の現地生産を開始するとスピーチを行った。「CR-Z」と「フィットハイブリッド」のハイブリッド車も国内から輸出して販売を行う。中国向けの販売全世界と合わせて、環境負荷の低い車両がメインとなっていく。
展示されていた「フィットEVコンセプト」は、昨年のロサンゼルスショーで公開されたものだが、技術展示として出展していたハイブリッドシステム「IMA」は、バッテリーがこれまでのニッケル水素に代わりリチウムイオンになっている。ブルーエナジー製のリチウムイオン電池を搭載したバッテリーは、電圧144V、容量100kAhのスペックを持つ。
EV、ハイブリッドともにバッテリーはリチウムイオン電池を採用し、より高効率で長距離の移動を可能にしていく。
フィットEVコンセプト | ||
リチウムイオン電池を採用したIMA | リチウムイオン電池のセル | プラグインハイブリッドのカットモデル |
(真鍋裕行)
2011年 4月 21日