東京オートサロン2013

超ハイパワーGT-RからNAチューンのスイフトまで、見逃せないチューニングの世界

1000PSオーバーのマシンも多数展示

ジュンオートメカニックのGT-R
2013年1月11日~13日開催

 東京オートサロンの前身となる、エキサイティングカーショーの時代よりショーのメインとなってきたのがチューニングカー。セダンやSUV、ハイブリッドカーのカスタマイズなど展示される車両や方向性の幅は広くなってきたが、まだまだチューニングカーやチューニングパーツメーカーが存在感をなくした訳ではない。しかも、今年の東京オートサロンは、「86」「BRZ」が大量に展示されることもあり、チューニング熱が近年よりも上がっているとも言える。86とBRZのチューニング事情はすでに掲載(http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2013autosalon/20130112_581549.html)しているので、ここでは86とBRZ以外のチューニングカーを紹介していく。

 チューニングメーカーやショップが連なる西ホールで、86とBRZを除き目立っていたのがGT-Rだ。発売開始から5年が経過し、各メーカーやショップが製作するチューニングパーツはほぼ出揃っている状態。ただ、昨年と同じマシンを持ち込んでいるショップでもパーツやセットアップの熟成を行っているので、まったく同様の仕様というところは少ない。

 数多くのパーツがリリースされたということは、それだけ開発テストを繰り返してきたことになる。そのためパワートレーンやシャシーなどのウィークポイントは、メーカー、ショップともにほぼ把握しているようだ。サーキットやタイムアタック仕様ならば冷却対策を入念にすることが求められ、パワーを引き上げていくとトランスミッションなどの駆動系が根を上げてしまう。これらの対策部品も用意されているので、今では1000PSをオーバーするエンジンスペックを持つ車両も珍しくない。ハイパワー仕様以外では、ユーザーの目線に合わせて仕立てているモデルやシャシーなどのセットアップも含め完成度の高いチューニングを求めているマシンも多い。

 このようにGT-Rがチューニングカーの筆頭となるが、RX-7をベースにしたデモカーもまだまだ健在。RE雨宮をはじめ、数軒のショップが展示を行っていた。RX-7はエンジンの仕様を見せるというよりもボディーを含めたトータルチューニングで個性を示すところが多いようだ。

 そのほかでは、フェアレディZやシルビア、スイフトスポーツ、ランサーエボリューション、インプレッサといった定番のチューニングベースカーも数多く見受けられた。そのため、ここで紹介しきれないマシンも会場には多くある。東京オートサロンの会場では、バラエティに富んだチューニングカーやチューニングパーツに注目してみよう。

エアロパーツメーカーVARISのキットを装備したGT-R。フロントにはワイドフェンダーを装着しワイドトレッド化を図っている
レイズブースに置かれたGT-Rは、トップシークレットのフルカーボンワイドボディーキットをまとっている。ホイールはVOLK RACING G25。サイズはフロント20×10.5J+40、リア20×11.0J+15
老舗チューナーのKansaiサービスが製作したGT-R。出力アップはもちろん、楽しく乗れるように耐久性や安全性を追及したチューニングを施す
AbflugとPentRoofのコラボレーションで製作したコンプリートカー。排気量を4.1リッターにアップして最高出力は1200PSという究極のハイパワーマシン
内燃器パーツを数多くリリースするジュンオートメカニックのGT-R。4.0リッターカスタムキットやカムシャフト、ターボキットを装着。ボディーキットはBen Sopra製をセット
ハイパワーチューニングを得意とするトップシークレットが製作したGT-Rデモカー。使用するタービンやエンジンパーツはモデルこどに異なり、最高出力1000PS以上のマシンも展示されている
フェニックスパワーが製作したGT-Rのデモカー。オリジナルエアロやコンピュータセッティングを施している。タービンやエンジンパーツも変更していて最高出力997.6PSを発揮する
ブレーキメーカーDIXCELブースに展示されているGT-R。フロントローターはオリジナルに変更。2ピースで400mmの大径タイプとなる
ガレージ八幡がチューニングしたGT-R。トラスト製のタービンやHKS製のピストンに変更しピークパワーは850PSを出力。サーキットを周回できるように冷却系にも手を入れている
ワンオフでボディーを製作したSCHWARZERブランドのコンプリートカー。搭載されるエンジンはトヨタの直列6気筒「2JZ」。タービンやエンジンやカムなどの補器類にも手を入れている
フェアレディZ(Z34)をベースにしたカーメイキングレビューのデモカー。VQ37VHRエンジンにスーパーチャージャーをセットし、エンジン内部パーツを強化品に変更することで、最高出力800PSまでアップしている
BBSブースに展示しているZ34。フェアレディZの専門店として知られるセントラル20のデモカーになる。装着しているホイールは超超ジュラルミンの素材で作られたRI-D。サイズはフロント19×9.0J、リア19×10.0J
Ben Sorpraが製作した180SXベースのデモカー。エクステリアはオリジナルのワイドボディキットを装着。注目すべきはGT-RのVR38DETTエンジンを装備したエンジンルームで、4.0リッターキットをセットし最高出力1100PSを発生する
ロータリーの老舗チューナー「RE雨宮」が製作したロータスヨーロッパ。エンジンはRE雨宮らしく3ローターの20Bに換装している。トランスミッションはレガシィ用の5速MTで足まわりはロードスターのものを使用している
RE雨宮が製作した「幻気-7」と名付けられたデモカー。専用のオリジナルボディーキットやエンジンチューンなど現代のクルマにも負けないパフォーマンスを誇る
K.R.C japanが製作したコンセプトカー。デザイン会社ならではの独創的なエクステリアが特徴的。ガンダムや戦闘機などをオマージュすることで生まれたデザインという
FD3Sをベースに欧州のスーパーカーを彷彿とさせるデザインに仕上げているマジックのコンセプトカー。片側100mmもワイド化できるボディーキットが注目のポイント
Mad Mike選手がドライブするD1参戦マシン。エンジンはペリフェラルポート仕様にした4ローター。NAながら最高出力は550PSをマークする
KAKIMOTO RACING製作の柿本改Super NSX。タイムアタックマシンなのでエンジンパワーを引き上げることはもちろん、パイプフレームを組むなどシャシーにも手を入れている
オーストラリアで開催されたタイムアタックに参戦した三重トップフューエルのS2000。エンジンはターボ化され最高出力を712.5PSまでアップさせている
ウェッズのKranzaブランドからリリースされたホイールを装着するIS-C。フロント、リアともにワイドフェンダーを装着し迫力あるサイドビューを構築。装着しているホイールは、フロント20×9.0J、リア20×10.5J
MR-SをベースにワイドボディーキットをセットしたSHORINのデモカー。外装のデザインは、一見するとベースモデルが分からないほどのオリジナリティさがある
MONSTERが製作したスーパースイフト。ラリーカー並みのボディーメイクを施し、エンジンは1.9リッターにスープアップ。さらにタービンを組むことで最高出力を421PSまでアップさせている
大人でも楽しく乗れる質感や遊び心を意識して製作しているCARTISANのスイフトスポーツ。フロント、サイド、リアと外装はすべてオリジナルパーツで構築されている
三重トップフューエルのスイフトスポーツはNAのままメカチューンを施している。カムシャフトやハイコンプピストンを組み込むことで、高回転域までしっかりと出力がリンクするようになっている

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。