東京オートサロン2014

新世代へ移行するスポーツチューンドカーの世界

中古市場での価格がこなれてきたR35 GT-R、フェアレディZ、RX-8などが台頭

ニュービートルにシルビアのSR20DETエンジンを詰め込んでFR化、なんてチューンドカーもオートサロンでは見ることができる
2014年1月10日~12日開催

幕張メッセ 国際展示場ホール1~11/イベントホール

 東京オートサロンは今でこそ幅広いジャンルで展開するカーショーだが、もともとチューニングカーを集めて展示していた。それだけに色々な車種が集まってきても、チューニングカーはやはり存在感を出している。最近のチューニングベースカーで人気の高いのは86&BRZだが、それは別のページにてまとめて紹介している。ここでは86&BRZ以外のクルマについて紹介していこう。

 今年、展示車両で増えたのはNISSAN GT-R(R35)で、初期モデルをベースにするチューニング依頼が増えてきているという。その要因としては、まず中古価格が下がったこと。それにGT-Rだけに大切に乗られていたクルマがほとんどなので程度がいいこともある。その結果「やっぱりGT-Rに乗りたかった」という人がクルマを手に入れ始めているようだ。

 そしてパーツメーカーやチューニングショップも国産チューンドベース車のフラグシップカーだけに、各種パーツは豊富にリリースしているので、自分だけのGT-Rを作れる環境も整っている。会場へ出掛けた際には、パーツメーカーが展示しているGT-R用パーツの数にも注目して欲しい。

Kansaiサービスの35R。ストリートスペックとなっていてエンジン、タービンはノーマルだが、吸排気とインタークーラーの容量アップを図っている。フロントグリル、リップ、サイドステップ等外装パーツにカーボンを使用
エンジンパーツ製作やエンジン加工も自社で行うJUNグループ。そのチューニング部門がJUNオートメカニックだ。パーツメーカーらしく、VR38DETT改3.9リッター仕様とし、出力は800PSとなっている
気持ちよく走れることをコンセプトに製作された35R。排気量を4.2リッター化するとともに、タービン交換で850PSを発生。ミッションはRH9のミッションアッパープログラムで強化している
ボディーパーツメーカー、バリスの35R。エンジンはブーストアップのみ。外装はサーキットでの冷却性、ダウンフォース向上を狙ったバリス製R35'14Ver.を装着している
SUPER GTをはじめ、各レースでの装着率も高いブリッドシート。ホールド性だけでなく安全性も非常に高いので、35Rの豪華な純正シートからブリッドに付け替えるユーザーも多いのだ
かなり変わったテイストとなるラッシュモータースポーツの35R。ワイド化されたフェンダーやワーク製22インチホイールを装備。リアウイングレスというスタイルも斬新。これはカッコいい

 次に目に留まったのはフェアレディZ。現行型のZ34もあるが、会場ではその1つ前のZ33が目立つ。こちらも中古車価格が手ごろになってきているのが魅力なのだろう。それに、何より3.5リッターのハイパワーエンジンを積んだFRマシンであり、MTも選べるとなれば人気が出るのは当然と言える。

 チューニング方法にも特徴がある。フェアレディZのエンジン系はもともとパワフルなのでライトチューンが主流になっているが、内外装はスパルタンに仕上げる傾向。サーキット仕様的な硬派な造りのなかに、アメリカで流行りのスタンス系のテイストを取り入れて、シブくカッコよくという作り込みである。

 このZ33と似たような動きを見せているのがRX-8だ。このクルマもZ33と同時期にデビューしたクルマだが、この年代はスポーティカーの作り方が変わってきた時代で、それ以前のターボ全盛期から見れば新世代とも言える。シルビアやマークII/チェイサー/クレスタのツアラー系、RBエンジン搭載のスカイラインシリーズは、何だかんだ言っても毎年それなりの台数は展示されていたが、今年はいよいよ台数が減り、代わりに上記のようなマシンが増加してきたと感じられる。

 そういう面で見ると、今年のオートサロンはしばらく続いたマンネリ感から脱却して、チューニングの新しい流れを見ることのできる内容と言えるだろう。

吸排気系とコンピュータ、クラッチ、LSDなどの駆動系、足まわり一式などなど、ひととおり手が加えられたHPIのデモカー。写真の仕様はベース車の車両価格込みで約310万円で作ることが可能という
ユーラスのエアロを装着したZ33。フロントバンパーは従来から発売しているタイプで、新作はサイドステップ。レーシーな形状で低さとボリューム感を出す。大きすぎないホイールも雰囲気にあう
RE雨宮製作のRX-8。ストリートからサーキットまで楽しめることを狙っている。エンジンは耐久性も考慮して吸排気系のみの変更。トランスミッションは前期用の6速MTで、クラッチは扱いやすいシングルをチョイス
こちらはオートエクゼのRX-8。このクルマはサーキット走行で油温が上がりやすい傾向なので、対策として開口部の大きいエアロを装着。ブレーキもオリジナルキャリパーで強化済み
かなりイカツイ感じに仕上げてあるドリフト仕様のRX-8。ボディーはつや消し黒で貼ってありステッカーは反射タイプ。光が当たったときだけくっきり浮かび上がるというもの
イングスのNスペックZ34。フロントバンパー、サイドステップ、リアバンパーで価格は24万6750円。スリットが入っているエアロフェンダーは7万5000円となっている
普段は街乗りだけど、たまにはサーキットも走りたい、という大人向けに製作されたZ34。フジムラオート京都からのエントリー。HKSのGTスーパーチャージャーキット付きで462PSを発生
こちらもJUNオートが展示していたZ34。VQ37VHRエンジンはハイコンプピストンに軽量コンロッド、ハイカムが組み込まれていて、NAエンジンながら389PSとすごい出力
オートバックスサンシャイン神戸のZ33。380RSがベースで吸排気と点火系、そしてECUチューン。シートはレカロのフルバケで、車格に合わせてアルカンターラ仕様を使う
HKSのGTスーパーチャージャーを組み、エンジン内部も強化したZ34。作ったのはVQエンジン+スーパーチャージャー仕様の製作実績が豊富なカーメイキングレヴュー
できたてのほやほやがこちら。ブリッツが製作した新型フィット3のボルトオンターボ仕様。エアロもオリジナルでフロントウインカーはローダウン規定に対応して形状変更している
こちらはエアロパーツメーカー、ノブレッセの新型フィット3。3D測定器を使って造形されるクオリティの高いエアロを作ることで知られる。前モデルのGE系フィットでも人気だった
スイフトチューンのカリスマと言われるTMスクエアのスイフトスポーツ。サーキットタイムアタックでもお馴染みの1台。実際に走っている姿は独特の凄味を持っている
ボディー補強パーツメーカーのオクヤマが展示していたスイフト。こちらはダートラ仕様で去年のクラスチャンピオンを獲ったクルマ。補強はボルトオンパーツのみだ
インパルのコンプリートカー。新型ノートをベースにしたチューニングカーはインパルだけが展示。このクルマはスーパーチャージャー仕様で、ECUとスロットルも交換している
DEVISEが出展していたジューク。外装はからくりはうす製のカーボンパーツを組む。サスキットでローダウンし、20インチのホイールを合わせると雰囲気はかなり変わってくる
トヨタ純正のターボチューンであるGRMNターボ仕様。パワーは152PSまで高められ、トランスミッションに5速MTを組み合わせる。そのほかの装備はヴィッツラリーチャレンジ仕様になっている
ブリッツは新型オデッセイにもターボを付けてきた。しかし、こちらも完成したばかりなのでパワーは未計測。新型オデッセイは重量も増えたので、ターボ化によって走りやすさが向上するかも!?
アルミホイールメーカーのCRSブースにあったこのクルマ。ベースはトヨタの200系ハイエース。ボルトオンターボ、オーバーフェンダー仕様となっている。なんとロールバー入り
浜松にあるパワーエンタープライズはエルグランドのスーパーチャージャー仕様を展示。使用するのはロトレックスというメーカー製で、リニアな出力特性が特徴になっている
MTG宮城トヨタが製作したクラウンアスリート(GSR210)。いわゆるピンククラウンである。モデリスタエアロとラッピングでGTマシン風に仕上げている
RE雨宮の新型アテンザ。外装ではオリジナルのフロントスポイラーとフロントグリル、そしてサイドステップを装着。STOPTECH(ストップテック)のキャリパーを組み込む
ランサーエボリューションのチューニングで有名なガレージGフォースが展示していたのは、懐かしいA175Aランタボ。コンピュータを最新のF-CON Vroに変更して乗りやすさも向上させている
ニュービートルにシルビアのSR20DETエンジンを詰め込み、FR化しているクルマがこれ。ニュービートルはもともとFFなので、これはかなりのSPLマシン。現地でぜひ見て欲しい

深田昌之