東京オートサロン2014

東京オートサロンの主役はやはり「86/BRZ」

500PSオーバー車やコルベットV8エンジン換装車など、カスタムが本格化

コルベットのV8エンジンを換装した86
2014年1月10日~12日開催

幕張メッセ 国際展示場ホール1~11/イベントホール

 東京オートサロンのハイライトとなるベース車両は、やはり今年もトヨタ「86」とスバル(富士重工業)「BRZ」になった。

 販売開始から1年半が経過した86/BRZ。2013年は登場してから1年弱ということで、主要アフターパーツメーカーや自動車メーカー系のワークスブランドが、こぞって力を入れたカスタマイズやチューニングの提案を行っていた。2014年はさらに裾野を広げ、多くのアフターパーツメーカーやカスタマイズショップなどが勢力的にデモカーを製作して出展していた。

 86/BRZの出展車両は計70台を超し、今年からホールを移動したトヨタGAZOO Racingのブースや86&BRZ WORLD in TAS2014のブースが設置された北ホールには、特に多くのデモカーが展示されていた。

 これほどまでに台数が増えた理由としては、ナンバー付きワンメイクレースのGAZOO Racing 86/BRZ Raceや全日本ラリーの参戦マシン、スーパー耐久やニュルブルクリンク24時間レースなど多くのモータースポーツシーンにマシンが送り込まれたことも影響しているが、やはりオートサロンの主役であるカスタマイズやチューニングが浸透していることが挙げられる。

 エクステリアを彩るエアロパーツやインテリアをグレードアップさせるパネル類、シートカバーなどのカスタマイズ用品が多く見受けられた昨年に対して、今年はターボキットやスーパーチャージャーキットを始めとする出力性能を引き上げる機能系パーツがリリースされ、これらを装着した車両も目立っていた。

 排気系に大きく手を加える必要のないスーパーチャージャーキットは、86/BRZの登場からしばらくしてリリースされたが、エキゾーストマニホールドを変更するターボキットはパイピングのレイアウトが複雑になることや、排出ガスの規制をクリアすることが必須となるため市販化へのハードルが高かった。だが、今年はブリッツやトラストといった大手アフターパーツメーカーは、キット化された参考品や販売モデルを展示していた。

 どちらもエンジン内部には手を加える必要のないポン付けターボキットなので、コストも比較的安く抑えられ、今後のチューニングシーンでは注目されるアイテムとなるだろう。

 また、スーパーチャージャーキットに関しても、複数のブランドから選べるような状況になってきている。ラインアップが増えたことで、ユーザーの要望にあった出力や特性に対して、スーパーチャージャーの大きさやブランドを選択できるようになってきた。これらの機能パーツに加え、もちろん多くのモディファイ用のカスタマイズパーツも展示されている。

 86/BRZのチューニングとカスタマイズは大幅に多様性を増していて、ユーザーに取っては選びたい放題といった状況にある。

 ここでは86/BRZのカスタムモデルを写真で紹介していく。

メーカー系コンセプトカー/コンプリートカー

トヨタGAZOO Racing

GRMN86コンセプト。外装ではカーボン製のボンネットやルーフ、トランクを装備し軽量化を図っていて、専用のエアロパーツで空力特性を引き上げている。エンジン内部ではピストンやコンロッドを専用の軽量タイプに変えることで、フリクションを低減
86×style Cb。トヨタ社内の女性チームがデザインを手がけたコンプリートカー。フロントフェイスを大幅にイメージチェンジしているのが特徴
86×style Cb spider。Cbをコンバーチブル化したマシン。レザー張りのインテリアなど質感が大幅に向上している
ニュルブルクリンク24時間レースに参戦しているマシン
スーパー耐久のST4クラスに参戦したレースカー
昨年の全日本ラリーでJN3クラスチャンピオンに輝いた86のラリーカー
TRDラリーチャレンジに参戦したモリゾー号

TRD(トヨタテクノクラフト)

86 TRD Griffon Concept014。TRDのノウハウを集結させたタイムアタックカー。FA20エンジンの性能をどこまで引き出せるかがキーポイントで、自然吸気エンジンのままで筑波サーキット1分以内を目指している
86 TRD Customize Concet。2013年公開したパフォーマンスラインにアイテムを追加。リアのウインドウルーバーは新たに追加された空力パーツ
TRDのエアロパーツをまとったオープンモデル
トヨタの関連会社であるJ-TACSがカスタマイズしたサイオンFR-S。大人が乗るシックなFR-Sをコンセプトに車両をモディファイ。コンプリートカーとしての販売が待たれる
限定モデルとして販売が始まっているBRZ tS
内装の質感をアップさせたBRZプレミアムスポーツパッケージ

ディーラーデモカー

ネッツトヨタ兵庫がプロデュースした「hachiroku」。大人の86を意識して内外装ともにセットアップしたモデル
チームネッツがプロデュースする「86スーパーチャージャー」。トムス製のスーパーチャージャーキットを装備する
スーパーフォーミュラにも参戦しているINGINGが製作した86。キャラクターの山口美羽ちゃんのグラフィックが目を引く

GAZOO Racing 86/BRZ Race参戦マシンとジムカーナマシン

初代シリーズチャンピオンを獲得した山野直也選手がドライブしたプロジェクトμ号を始め、多数のレース車両が展示されていた
2013年の全日本ジムカーナでシリーズチャンピオンを獲得した山野哲也選手が駆るBRZ

アフターパーツメーカー/ショップ

BRITZ(ブリッツ)

FA20エンジンにターボを装着したタイムアタックカー。筑波サーキットで58秒台を記録している
D1GPに野村謙選手がドライブして参戦しているドリフトマシン。直列6気筒エンジン「2JZ」に換装されている
ブリッツはエアロパーツのリリースに積極的で、タイムアタック号と同様のワイドボディーキットも販売予定。過給器キットはスーパーチャージャー(写真左)とターボ(写真右)の両タイプを設定することになっている

TRUST(トラスト)

エンジン内部のピストンやコンロッドを強化パーツに変えターボ化したマシン。ターボのみの最高出力は411.3PS。そこにNOS(ナイトラス・オキサイド・システム)を追加することで最高出力を513.9PSまで高めている
Rocket Bunnyの新エアロキットを装着した86

SARD(サード)

オリジナルのワイドボディーキットにターボ化したエンジンをセットするサードのデモカー

ゼロスポーツ

スバル車を得意とするゼロスポーツは、メインコンピュータとスーパーチャージャーをセットにした商品をリリース予定

レイズ

レイズブースに置かれていたFR-Sは、オートサロンのためにアメリカから運搬してきたタイムアタックカー。バリスのエアロパーツやアミューズが手を加えたターボエンジンなど国内メーカーやショップの技術が集められている

エンケイ

ワイドボディーキットにネオクラシックホイールを履いた86

カンサイサービス

カンサイサービスは、ターボとスーパーチャージャーそれぞれをセットした車両を展示。ターボはトラストのキット(写真上段)、スーパーチャージャーはHKSのキット(写真下段)を使用している

C-WEST

フロント開口部を大きく開けたC-WESTのエアロキット。サーキット走行などを想定した機能性を持たせている

データシステム

フロントノーズを伸ばし、デザインはどことなくヨーロッパを感じさせるデータシステムのボディーキット。大型のリアウイングもオリジナルアイテムとなる

テイン

テインブースでは、2013年の全日本ラリーに参戦したBRZを展示。足まわりは別タンクを装備した専用のラリー仕様

エクセディ

展示していた「ハイパーシングルVFクラッチ」は、素材にメタルとオーガニックを使い半クラッチの使いやすさを持ちつつ、サーキット走行などのハードユースにも対応するモデル

Kuhl名古屋

ド派手なラッピングとカラーリングを施した86を展示しているKuhl(クール)名古屋。メタリックの86は、塗装で模様を表現するという高度な技術を用いている

ラスティ

筑波サーキットのタイムアタックで86最速を誇っているラスティ。エンジンはターボ化され、フロントに大型のディフューザーを装備

WELD(ウェルド)

サイオンFR-SをベースにしたWELDのデモカー。エンジン上部にAE111用の4連スロットルをセット

Dream project 轟自動車

コルベットに搭載されているV8 LS1エンジンを搭載した86。自然吸気の5.7リッターエンジンから出力されるパワーは388PSにもなる

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。