イベントレポート

【デトロイトショー 2019】トヨタ、新型「スープラ」世界初公開。「Supra is Back」と復活宣言した豊田章男社長のプレゼンテーション。22点の車両写真とともにお届け

プレスデー:2019年1月14日~15日(現地時間)

一般公開:2019年1月19日~27日(現地時間)

17年ぶりに復活した新型「スープラ」とトヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏

 トヨタ自動車は1月14日(現地時間)、新型「スープラ」を米国デトロイトで開催中の「デトロイトショー 2019(North American International Auto Show 2019)」で世界初公開。会場では2002年の生産終了から17年ぶりに復活した新型スープラについて、同社代表取締役社長 豊田章男氏がプレゼンテーションを行なった。

 米国では5代目となる新型スープラは、1978年に誕生した初代スープラ(日本では「セリカXX」として登場。国内における初代スープラ[1986年発売]は、グローバルで3代目)以降、どの世代でも直列6気筒エンジンを積んだFR車であることは共通しており、新型でもこの2つを継承。加えて今回は「ホイールベース」「トレッド」「重心高」の3つの基本要素にこだわり、ピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング性能を実現したという。

豊田章男社長が新型スープラで登場した

 豊田氏のプレゼンテーションでは、最初にスープラに対する思いを語り、豊田氏は「皆さんそれぞれの人生において特別な愛着を持ち、あなたの心の中で特別な場所を占めるクルマが1台はあると思います。私にとっては、それがスープラです」と話した。

ニュルブルクリンクなどで行なわれた運転訓練の思い出を話す豊田社長

 続いてニュルブルクリンクなどで行なわれた運転訓練の思い出を話し、豊田氏は「ずいぶん昔ですが……私はマスタードライバーになるための運転訓練で、中古のスープラと数えきれないほど多くの時間を過ごしました。他のメーカーが美しく新しいプロトタイプで走行しているなか、私に向けられた視線や冷やかしは想像できるでしょう。私は、スヌーピーに出てくるチャリーブラウンのクリスマスツリーの様に、何の飾りっけもないクルマを走らせていたわけです」と新型モデルを出せない悔しさを語った。

新型スープラを出せない気持ちを表現したイラスト

 豊田氏は「スープラは素晴らしいクルマでしたが、でも、やっぱりね……。ですから、トヨタは新しいスープラを作る計画はありませんでしたが、世界中の多くの熱狂的なスープラファンの皆さんと同様、私は密かに、このクルマを復活させたいと願っていました」と話した。

 そして、スープラ復活となるきっかけについて豊田氏は「(北米デザインスタジオの)キャルティの少人数のデザイナーグループも、同じことを考えていました。数年前、彼らはFT-1と彼らが呼んでいたコンセプトの図面を私に見せました。そしてさらに彼らは、そのプロトタイプを『グランツーリスモ』のビデオゲームに追加してしまったのです。ここに、私が彼らのスタジオで運転している写真があります。デザイナーの皆さん、上司にコンセプトカーを承認させるには、このアプローチはおすすめしますよ。ゲームオーバーでした。その時私は、私の古い友人がとうとう帰ってくるのだと、心の中で思いました」と、ゲームでの体験が決め手となったことを明かした。

FT-1のプロトタイプをグランツーリスモで体験したことが復活のきっかけに

 こうして始まった新型スープラの開発にあたっては、モータースポーツ活動に取り組むTOYOTA GAZOO Racingが蓄積してきた知見やノウハウを注ぎ込んだといい、豊田氏は「同時に、私はその新しいスープラの期待値は高く、オリジナルよりも、もっといいクルマにしなければいけないことを知っていました。だからこそ、この新しいスープラの運転性能を作り込むために、TOYOTA GAZOO Racingチームの協力を仰ぎました」と説明した。

スープラをもっといいクルマにするためにTOYOTA GAZOO Racingの知見やノウハウを注ぎ込んだという

 その後のプレゼンテーションでは、ガズーレーシングチームについて紹介がされ、デザインやパフォーマンスについては1967年式「トヨタ 2000GT」と強い関連性があることが示された。

トヨタ 2000GTと新型スープラのシルエットを重ねてデザインの関連性を示した

 新型スープラのパフォーマンスについては、フェルナンド・アロンソ選手がゲストとして登場。豊田氏がアロンソ選手に新型スープラを運転してみた感想を聞いた。

フェルナンド・アロンソ選手がゲストとして登場

 アロンソ選手は「日本でスープラを運転して、あなたが作り込んだ“味”をしっかりと感じましたよ、章男さん。あなたとあなたのチームがニュルブルクリンクでチューニングしただけのことはあります。本当にレースカーに乗っているようにハンドルを切れ、コーナリングは素晴らしかった。素早く変速でき、加速が速く、ブレーキの性能もいい。電気系統も洗練されていると感じました。まるで、日常的に快適に運転できるレースカーのようだと思います。みんな、このクルマを愛すると思いますよ。私もぜひ最初の1台が欲しいです!」と感想を話した。

 プレゼンテーションの締めくくりに新型スープラについて、豊田氏は「SUVも素晴らしいです。でも、タイトな後輪駆動のスポーツカーに勝るものはあるでしょうか? ここだけの話ですが、これだけが、将来トヨタから出す唯一のスポーツカーにならないことを願っています」とスポーツカーに対する思いも語り、最後に豊田氏は「今日、レジェンドがついに復活しました。これまで以上にいいクルマとしてスープラが戻ってきました!」とスープラの復活を宣言した。

「Supra is Back!」

 なお、新型スープラの日本での発売は2019年春頃ごろを予定している。

編集部:椿山和雄