【東京モーターショー2011】 アルピナ、世界初公開の記念限定車など4モデルを展示 |
11月30日のプレスデー初日のアルピナブースは、並べられた4台の展示車の半数となる2台にベールが掛けられた状態でスタートした。もちろん、この2台がワールドプレミアを控えたモデルだからだ。
アルピナはクルマ好きにとって、憧れのブランドにも挙げられるメーカーだが、実際の企業規模はそれほど大きなものではない。実際にプレスブリーフィングでは2011年の年間総生産台数は1,200台と発表されている。
そんなメーカーにとって、ワールドプレミアという形で発表する車両は数が限られると容易に想像できる。2台のワールドプレミアを東京モーターショーの会場で実施する理由は、アルピナにとって日本が有望で重要な市場だからだという。
プレスブリーフィングで説明を行ったアンドレアス・ボーフェンジーペン社長(写真左)とC.H.ニコ・ローレケ社長(写真右) | ボーフェンジーペン社長 | 通訳なしで自ら日本語で説明するローレケ社長 |
プレスブリーフィングで、アルピナのアンドレアス・ボーフェンジーペン社長は、「日本のユーザーは見た目と本質の違いをよく理解していて、技術を中心に据えたアルピナのテクニカル・オリエンテッドなアプローチにも理解がある」とコメント。また、アルピナの日本総代理店であるニコル・オートモビルズのC.H.ニコ・ローレケ社長は、BMW ALPINA D3ビターボがヒットとなったこともあり、2010年の年間販売台数がそれまでの最高記録だった2008年の190台を上まわり、202台に達したことを発表している。
このほかにボーフェンジーペン社長は、今後のアルピナが目指す方向性についても発言を行った。顧客に対する意識調査の結果、近年ではアルピナ車の購入で重視したファクターに燃費のよさや低CO2排出量という項目が挙げられるようになっており、今後はさらに重要度が上がっていくと予想。アルピナではEV(電気自動車)やハイブリッドカーなどについて調査を進めたものの、日本以外の市場ではハイブリッドカーに対する要望は低いという結論が出ていると言う。
アルピナでは前出のように年間の生産台数が限られる。アルピナ初のディーゼル車であるD3ビターボが2年間で180台を販売する成功を収めたことなどから、近い将来においてもガソリン車とディーゼル車のラインアップを続けていくとのこと。さらに、BMW 5シリーズのディーゼルバージョンで、日本の厳しい排出ガス規制にも適合するBMW ALPINA D5日本スペシャル・バージョンを、2012年末までに日本市場で発売する予定があることも発表した。
■上品さを追求した新しいボディカラーが登場
プレスブリーフィング中にアンベールされたワールドプレミアモデルは、「B6 ビターボ クーペ」と「B3 GT3」の2台。
B6 ビターボ クーペ | B3 GT3 |
B6 ビターボ クーペは、BMW 650iクーペをベースに、4.4リッターのV8エンジンをビターボ(ツインターボ)化して、最高出力を540馬力まで向上させ、0-100km/h加速が4.4秒、最高速度は320km/hまで高められている。また、ボディーはこれまで定番だったアルピナ・ブルーではなく、しっとりとしたアルピナ・マットブルーが基本となり、アルピナ・ブルーはオプション設定。ボディーサイドのデコラインも省かれ、従来のアルピナモデルとは一風変わったシックなモデルとなっている。すでにアルピナのWebサイトにもラインアップモデルとして紹介されており、車両本体価格は19,850,000円。
アルピナ・マットブルーがシックなB6 ビターボ クーペ | ボディーラインにフィットしたカーボン製リアウイングを装着 | |
B6 ビターボ クーペのフロントマスク |
B3 GT3は、今シーズンのドイツ ADAC GTマスターズ・シリーズでアルピナが投入した「BMW ALPINA B6 GT3」がドライバーズチャンピオンを勝ち取ったことを記念して製作された世界限定99台というモデル。優勝したB6 GT3と同じカラーリングの車両も設定され、サーキットで本格的な走行が楽しめるレーシーな装備が調えられているとのこと。日本には30台が輸入される予定となっている。車両本体価格は12,970,000円。
B3 GT3のアンベールシーン |
空気抵抗係数は変えずにダウンフォースを発生させるというカーボンスポイラーなどの特別装備で武装 | ボディーはブラックサファイア色に塗られた上に、ラッピングシートでレーシングルックを完全再現 | アルカンターラ生地をブルーとグリーンの糸で手縫いしたスポーツステアリングホイールを装着 |
軽量チタン製のマフラーは、テールパイプにカーボン素材を使用 | タイヤはミシュランのパイロットスポーツ2を採用 |
また、9月に開催されたフランクフルトモーターショーでクーペより一足先に世界公開されていた「B6 ビターボ カブリオ」が日本初公開され、ほかにも今年7月に日本初上陸を果たした「B7 ビターボ リムジン オールラッド」の展示も実施された。
B6 ビターボ クーペと同様のスペックを持つカブリオ | 電動調整式サスペンションをカブリオ専用で設定する |
B6 ビターボ カブリオのインテリア |
B7 ビターボ リムジン オールラッド | 「Allrad」(4WD)はリムジン仕様のみに設定する | 72.9kgmという強烈なトルクを4輪で有効活用する |
(佐久間 秀)
2011年 12月 2日