大手自動車保険会社に値上げの波
次の更新時は保険会社の見直しがオススメ


損害保険料率算出機構による参考純率が6年ぶりに改定された

 最近、自賠責保険や任意自動車保険の保険料の値上げという、クルマを所有する人にとってはうれしくないニュースが聞こえてくる。これは自動車保険の料率を算出している「損害保険料率算出機構」が、その保険料の基本となる参考純率を全体で5.7%ほど上げたこと、そして、昨今のクルマ社会の状況変化によるものだという。もちろん各社様々な工夫をしているので、一律何%値上げというワケではないが、これまで同じ損保会社で継続していた人も、次の更新時には一度見直してみる価値はありそうだ。

 たとえば、最近のクルマに関する傾向と言えば、まず、年齢層で見ると最近では若者のクルマ離れとともに、ドライバーの高年齢化が顕著であり、さらに、車種で見るとコンパクトカーへの移行が見られる。つまり、これは、保険料が高かった若者の加入が減り、事故を起こすことが多い高齢者の割合が増え、さらには保険料の安いコンパクトカーが増えていることを意味する。そう、各保険会社にとっては収支バランスが崩れてしまい、結果として各社の経営を圧迫していたのだ。

 これまでは各社の努力によって値上げに踏み切らずにいたのだが、いよいよそれも限界に近づき、今回の参考純率のアップをきっかけに、保険料値上げの運びとなったわけだ。

 もちろん、損保会社それぞれによって対応方法は異なるが、様々な形での値上げは避けられないようだ。特に年齢条件などの見直しによる高齢者の値上げは必至だろう。

 すでに、4月1日より改定を行っている損保ジャパンでは、年齢条件区分を変更しながらも、記名被保険者年齢別料率を導入することで、記名被保険者の年齢によって、より細かく保険料を設定している。一方で、ノンフリート等級係数を改定し、ゴールド免許割引、運転者限定割引などで割引率を上げるなどして、保険料値上がりを抑える提案も行われている。

 また、10月1日より、やはり「記名被保険者年令別料率区分」を導入することを発表している三井住友海上でも、そもそも全ての契約条件での保険料値上げ(平均1.9%)もあり、条件によっては値上げを避けられない状況だ。しかし、その一方で、同時に保険期間を長くすれば保険料負担を減らせることも提案している。

 そのほか、保険料改定を発表しているのはあいおいニッセイ同和損保や東京海上日動など。東京海上日動では、震災の影響から7月に予定していた改定を2012年1月へと延期しており、他の保険会社も含め、ここ1年で様々な動きが見られそうだ。

 ただし、全ての保険会社がすぐに値上げを予定しているわけではない。通販型(ダイレクト系)自動車保険などでは、独自の保険料率を算出しているためにこれに追従しないところもあるし、それどころか、インターネット割引の拡大など、さらに割引を充実させている会社もあるほど。もともと値段の安い通販型保険会社にしてみると、この各社の値上げを好機と捕らえているのかもしれない。

 こうしてみると、保険料値上げが世の流れだとしても、ユーザーはただ黙って値上げを受け入れることはないように見える。きちんと調べれば、価格も抑えられてより条件に合った保険が見つけられるかもしれない。いずれにしても、自動車保険は加入したらそのままではなく、機会あるごとに見直してみることが大切だ。そうすることで、よりカーライフを楽しいものにすることができるのだから。

(吉田直志)
2011年 6月 20日