長期レビュー

高橋敏也のトヨタ「86(ハチロク)」繁盛記

その7:「1年点検してきました」

 今年の夏は暑かった。不肖・高橋、北海道生まれ、身体の基礎ができ上がるまでは北海道で育った(考えみれば東京暮らしの方が長いけど)。それが理由なのか、はたまた単に軟弱なだけなのか、基本的に暑いのは苦手だ。そんな私も含めて、おそらくすべての日本人を情け容赦なく襲ったのが今年の猛暑である。灼熱のアスファルトのお陰で犬の散歩は深夜限定、パソコンは熱暴走寸前、クーラーの使いすぎで体調はわるい。なんとも困ったこの猛暑、もちろん平等にハチロクをも直撃している(ハチロク本体にトラブルは無いのだけど)。

 まあ、ハチロクで行った猛暑対策は後ほど紹介するとして、先日珍しいものを見てきたのでその話を。そう、我らが東京トヨタ井草店に、あの、ピンクのクラウンがやって来たのである! 担当営業の太田さんから「ピンクのクラウン来ますけど、見ます?」と連絡あり、二つ返事で「行きます、見ます、触らせて!」と叫んだ。で、いそいそ出かけていったら、そこに鎮座していたのはあのピンクのクラウン。

 正直な話、新型クラウンアスリートのグリルにドカンと配置された王冠(クラウン)エンブレム、ちょっと大きすぎじゃないかと思っていた。そしてこのピンクのクラウン、テレビなどではよく見ていたが、ちょっと派手すぎじゃないかと思っていた。はい、ここで微妙に方向修正します。まずグリルの王冠エンブレム、あのサイズは正しかった。確かに大きいとは思うが、あの迫力あるグリルには、あれぐらいのサイズが似合うのだ。

いた、ピンクのクラウン! その存在感たるや、ピンクの象並である
何はともあれ記念撮影。何となくおっさんがくすんで見えるのは、黒いTシャツというだけでなく、隣にど派手なピンクがあるから
どうよ、この迫力。「いつかはクラウン」という時代でもないだろうが、「いつかは乗ってみたいクラウン」に変わりはない
ドアノブもピンク。ただしこの車両はプロトタイプであり、実際のモデルでは変更個所があるかも知れない
リアビューも大迫力、というかピンク。ベースとなるクラウンはアスリートG(ハイブリッド)とアスリートG i-Fourになる
ノーマルのアスリートもいた。こちらもアスリートだけあって迫力ある面構えなのだが、ピンクの後に見ると、大人しく感じるから不思議

 次にピンク。ちなみにこのピンク、トヨタ的には「サクラ色」なのだそうだ。まあ、サクラの花もピンクな訳で、そう言われれば「なるほど」と納得する。そして派手すぎだと思った点に関してだが、こちらも方向修正が必要だろう。「派手」じゃなくて「超派手」である。いや、目が覚める色というか、派手とかなんとかを突き抜けたカラーリングだと思う。新型クラウンでは「権力より、愛だね。」というキャッチコピーが使われているのだが、このピンクはその「愛」の象徴でもあるらしい。

 ちなみに私が見たピンクのクラウンは、都内に数台しかないものらしく、あくまで展示のためにやって来たという。このため触ることはおろか、内部を見ることも出来なかった。なお、内装に関してはテリー伊藤さんが監修したものになるとのこと。

1年点検異常なし!

 正確には「12ヶ月 定期点検」と言うそうな。まあ、ぶっちゃけ1年点検である。我が愛するハチロクも無事に1年を過ごし、節目の点検を迎えたということである。この1年で最も大きなトラブルは、アルミ製の脚立が強風で倒れ、トランクルーム部分を強打したぐらいなものだ。小さなトラブルとしてはVSCランプ、ABSランプが2度ほど短時間点灯するという現象があった。しかしこのランプ点灯に関しては、コンピュータのログ(記録)では異常がなく、センサーの誤動作ではないかとのこと。もちろん現在ではこの現象、一切発生していない。

 実際、ほぼ12カ月目に車両を持ち込んだのだが、その時点で走行距離は約5700km。もっとアグレッシブに走れればいいのだが、いかんせんポニョ嫁の妨害だの、荷物運びだのがあって別の車両(トヨタのポルテ、別名ポニョ嫁カー)を使うことも多い。別車両の方も1年で5000km弱を走っているので、私の年間走行距離は約1万kmということらしい。

 ちなみにこの12ヶ月点検は、サスペンションスプリングをCHUHATSU PLUS SPORTYに交換する前に行ったものだ。CHUHATSU PLUS SPORTYの取り付けに関しては前回の記事を参照していただきたい。

 今回の点検ではウインドーウオッシャー液の補充、エアクリーナー清掃、ワイパーのラバー交換、クリーンエアフィルタの交換などを行った。そのほかタイヤの空気圧調整は当然として、タイヤに関してはローテーションが行われた。約5700kmの走行でタイヤローテーションというのは、少し早い気もした。しかし、ローテーションは5000kmから1万kmごとに行うのがいいらしい(トーヨータイヤのサイトで見た!)。さらにハチロクはスポーツカーなので、前後タイヤの減り方に偏りがあるとのこと。早めのタイヤローテーションは、タイヤの寿命を延ばすことに繋がるのである。

 一方、こちらからお願いしたのはオイル交換だ。前回の半年点検の時もオイル交換を行ったのだが、今回もリクエストして交換してもらった。通常、オイル交換は点検時に汚れ具合を確認して実施する。汚れが少なければ、もちろん交換する必要はない。しかし、畳とオイルは新しいに限るというのが私の主義である。特に新車の場合は、機会があればオイル交換、できればオイルフィルターも交換したいのである。古い世代のバイク乗りなら、なんとなくこの気持ちに共感してもらえるのではないかと思ったり、思わなかったり(昔のバイク、特に新車は慣らし運転の際に、結構な金属カスが出たものなんですよ)。

 そのほか、点検ついでに小ネタを1つ仕込んでみた。「カラーナンバープレートビス」、要するにナンバープレートを固定するためのビスを、市販のものに交換したのである。このビス、名称からも分かる通り塗装されている。しかもアルミ製なので、腐食がほとんど発生しないのである。よくナンバープレートを固定するビスが錆びて、その錆がナンバープレートを汚している車両を見かけるが、このビスならそれが発生しない。

 担当営業の太田さん曰く「このビスに交換するのがナウいヤングの間で大流行中です!」とのこと。「えー、本当ですか?」と疑ったら「もちろん冗談です」との答え。なんとなく不安を感じつつも、ナウいヤングが愛用しているなら私も、ということで840円なりで購入、交換してもらった。いやあ、これがまあ小さい幸せというかなんというか。要するに言われなければ気がつかない、オーナーだけの小さな幸せというヤツである。ある意味、正しい小ネタと言えるだろう。

 車両持ち込みやら、オイルのボトルキープやらで割引きが入り、最終的には約2万5000円で1年点検終了。我がハチロクは相変わらず絶好調である。

点検中でタイヤを外されたハチロク。タイヤローテーションも実施した
リアディスクブレーキまわり
フロントのディスクブレーキまわり、よく分からないのでただ見るだけ。それよりタイヤハウジングの中が、結構汚れているのが気になった
下から見た車体後部。意外と迫力のあるマフラーカッター、そして巨大な消音器(だよね?)。後輪駆動の構造にも注目
ハチロクの腹。意外とスッキリしていることが分かる。エキゾーストとドライブシャフトが目立つ
点検は続く。結果的にはまったく異常なし! 元気一杯のハチロクであった
今回のエキストリーム小ネタ、アルミニウム製ナンバープレートビス。3本しかないのは……
リアのナンバープレートを固定するネジの一方は封緘されている。だから交換ネジは3本でよいのである
実際にナンバープレートネジを取り付けた状態。ボディーが赤ならネジも赤!

人も暑けりゃ、犬も、ハチロクも暑い!

 犬も歩けば棒に当たる、ではなく肉球をヤケドする。真夏の散歩は基本的に夜以降、それも素手でアスファルトに触れ、温度を確認してからである(犬は汗腺がなく、体温調整が苦手なので充分注意する必要がある)。しかも今年は猛暑、まさに灼熱地獄となった。そんな中、我がハチロクは野外駐車場と、屋根のある駐車スペースを行ったり来たりしている。もちろん屋根付きの駐車スペースにある時は、何の心配もない。日陰にいるハチロクは涼しげな顔をしているし、車内の温度も「むっ」とするぐらいで済む。

 だが、野外駐車場に置いておくと、ハチロクは大変なことになる。まず間違いなくボンネットで目玉焼きができるし、ダッシュボードに生卵を置いておけばゆで卵の完成である。真夏の晴天、昼ぐらいにハチロクへ行けば、車内はフィンランドのサウナを凌駕する。「むっ」とするどころではなく、「うえっ」となる訳だ。もちろんこの高温がダッシュボードであったり、内装パーツにいい影響を与えるとは思えない。そこで慌てて買ったのが、折りたたみ式のサンシェードである。

 ネットで「ハチロク サンシェード」などと検索してみると、高価なものから安価なものまで、さまざまなタイプが見つかった。ここは一発、ハチロクが「カーズ」顔になるサンシェードを選ぼうかとも思ったが、版権物はいろいろあるので避けた。しかもハチロクはスポーツカー、ならばスポーツカーらしいサンシェードが欲しい。という訳で選んだのがTRDの「TOYOTA 86専用」サンシェードだ。

 あなた、TRDですよTRD。TRDといえばあなた、Toyota Racing Developmentですがな。そんなTRDからはハチロク用のカスタマイズパーツ、アクセサリが多数リリースされており、そのうちの1つがサンシェードという訳だ。ハチロクのサイズに合わせて作られているので、大きすぎたり小さすぎたりすることは無い。シルバーでシンプルなデザインだが、TRDのロゴがワンポイントで入り、いいアクセントになっている。

 そのほかの特徴としては、捻るようにして畳むとコンパクトになり、付属のケースに収納できることだ。実際に使ってみると、これがかなりいい感じ。多少慣れは必要だが、ハチロクの狭い運転席でも展開、畳むことができる。専用タイプなのでサイズはフロントウィンドウにピッタリだが、支えとしてサンバイザーを使うようになっている。だが、私のハチロクはサイバーナビで、運転席のサンバイザーはHUDになっている。また、ルームミラー周辺にはクルーズスカウターユニットのカメラが取りつけられている。サンバイザーと干渉するかもと心配したが、そんなこともなく普通に使える。

 とりあえずこれで、天井なしのスペースに駐車する時の日よけができた。実際に使ってみると炎天下、ダッシュボードや車内の温度が明らかに違う。夏は強烈な日差し除け、そのほかの季節は紫外線除けとして活躍してくれました。

 さて、今回は小ネタ集になってしまったが、その裏で着々とネタ仕込みが進んでいる。サイバーナビをバージョンアップしたのもその1つだが、ほかにもあれやこれやと進行中なのでお楽しみに。

カーズの誘惑に打ち勝ち、ゲットしたTRDのサンシェード。TRDのロゴがうれしい
サンシェード本体は、コンパクトに畳まれている
灼熱地獄が続いていたので、さっそくハチロクに持っていく
広げてみる。捻るように畳まれており、まずはこの段階まで広げる
フルオープン! やっぱりTRDのロゴが入っている。さすがハチロク専用、サイズ的にはピッタリ……か?
実際に取り付けた状態。サンバイザーで固定するのだが、私のハチロクの運転席はHUD。これがちょうどサンバイザーの代わりになってくれた
室内もいい感じで暗くなる。車内での展開、折りたたみも慣れれば問題なし!

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、最近10年は真面目なレビュー記事というより、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はオートバイをこよなく愛していたが、体力の衰えと共にクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのハチロク、オートバイはカワサキのNinja 1000とZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。インプレスジャパン、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかにImpress Watchでインターネット動画「パーツパラダイス」を配信中。