長期レビュー

高橋敏也の“帰ってきた”新型プリウス買ってみたレビュー

第1回 またプリウスに戻りました

 −さよなら、ハチロク。こんにちわ、新しいプリウス−

 クルマを乗り替えるということは、ある意味において家庭内戦争の火種となる。それでなくても3年と少し前、私は「1度でいいからスポーツカーに乗りたいの!」とワガママを言いつつ3代目プリウスを「86(ハチロク)」に乗り替えた。どうしても平べったいクルマ、すなわちスポーツカーであるハチロクに乗りたかったのは本当の話、事実である。だがそれは我が家の支配者であるポニョ嫁の機嫌を損ねる行為でもあった。

 そして2015年、再びの悩みが私を襲う。どうしても気になるクルマの情報をチラホラ見聞きするようになったからだ。いやいや、乗りたくて乗ったハチロクは絶好調だし、乗り続けたい気持ちは強い。だが、あのクルマの情報も気になって仕方がない。せっせと水面下で情報収集していたところ、ついにその全貌が明らかになった。新しいプリウス、4代目プリウスがそれだ。

 思えばハチロクの前に乗っていた3代目プリウスは、実に興味深いクルマだった。私が雑に運転してもそれまで乗り継いで来たクルマたちとは比べものにならないほどの省燃費性能を発揮し、いざという時はそこそこのパワーを出してくれる。静かで快適なドライブフィーリング。荷室もしっかり確保されていて後席空間にも大きな不満はない。まあ、私の3代目プリウスは初期モデルなので、後期モデルが登場した時はかなり嫉妬したものだが(後期モデルはテールランプの点灯パターンが違っていたり、ボディ剛性が向上していたりした)。

3代目プリウスの納車式

 その3代目プリウスの次に選んだのがスポーツカー、ハチロクである。1度は乗ってみたいスポーツカー、手の届くスポーツカーということでハチロクを選んだ訳だが、これがもう大正解。私も半世紀ほど生きてきたおっさんだが、それまでの人生にはなかった貴重な体験をハチロクはもたらしてくれた。スポーツカーに乗るという、まったく新しいことにチャレンジして本当によかったと思っている。

 3年が過ぎ、記憶が正しければ注目に値する情報がチラホラ流れ始めたのは確か2014年からだったと思う。「トヨタが新しいプリウスを準備している」。ぼんやりとした情報はやがてはっきりとした姿を見せ始め、トヨタ自動車は2015年9月9日(日本時間)、米国ラスベガスで新しいプリウスを世界で初めて公開した。同時に2015年年末から日本でも販売を開始するというアナウンスもなされた(トヨタ、4代目となる新型「プリウス」世界初公開)。

実はハチロク連載の最終回、ハチロクの背後にあったのは新しいプリウスの試乗車だったのだ

 私の目にはその新しいプリウスが相当に格好よく見えた。好みのデザインであるし(すべてとは言わないが)、低く構えたスタイルもいい。ハチロクのようなスポーツカーではないにしても「結構走ってくれるんじゃないの?」と思わせる雰囲気がある。さらにそのクルマにはいろいろと新しい機能が搭載されるという。また、北海道出身者である私のハートを撃ち抜いたのは「4駆モデル」が用意されるということだ。これは……もしかしたらいい機会かも知れない。

 愛犬と遊んでいる時、ポニョ嫁は比較的機嫌がいい。好物であるラーメンを食べて帰宅、愛犬と遊んでいる時は特に機嫌がいい。そんなタイミングを狙って私は切り出した。

「あのさ、新しいプリウスが出るんだけど……いいかな?」

「ふーん。勝手にすれば?」

 ポニョ嫁、もはや興味も示さず! 面白くなく思っていることは確かなのだが、反対もせず賛成もせず。「勝手にすれば?」ということは、ハチロクから新しいプリウスへ乗り替えてもいいということなのだろうか? いや、そうであってくれ、いやいや、そうに違いない! ポニョ嫁の顔色をうかがいつつではあったが、一応お許しが出たと判断した私は、さっそく東京トヨタ井草店の太田さんに電話を入れる。

「許可をもらいました! 新しいプリウス、行きましょう!」

 こうしてまた、私のプリウス生活は幕を開けるのだった……。

なぜまたプリウスなのか?

ここまでわざとらしいと、むしろ清々しいような気がする。ハチロクとの別れを悲しむおっさん

 まず最初に断っておくが、ハチロクに飽きたからとかそういった理由でプリウスに乗り替える訳ではない。実際、新しいプリウスに乗りたいと思った時、ハチロクとプリウスの2台持ちも考慮した。しかし我が家にはすでにポニョ嫁用の「ポルテ」があるため、実質3台持ちとなってしまう。正直な話、それは無理、不可能。費用的な問題もそうだが、そもそも夫婦2人では3台のクルマを「乗り切れない」と判断した。結果、ハチロクを下取りに出して新しいプリウスを導入することにした。

 では、なぜまたプリウスに戻るのか? 説明するのがなんとも難しいのだが、簡単に言ってしまえば「新しいプリウスのデザインにピンと来た」ということである。私はもともと3代目プリウスのデザインが好みだったのだが、この4代目はさらに私好み。もちろんボディのパートによっては「こうなってた方が好みだな」ということはある。まあ、そのあたりはカスタマイズでも対応できるのではと思っている。

 そして新しい機能というか性能というか。まず何より4輪駆動、E-Fourモデルが追加されたのが嬉しい。果たしてどこまで使えるものなのか実に楽しみだ。早く優秀なスタッドレスタイヤと組み合わせて雪道を走ってみたい。次に気になるのが「Toyota Safety Sense P」だ。このToyota Safety Sense Pには4つの先進安全機能が含まれているという。ほかにもT-Connectだって気になるし、省燃費性能がどれぐらい向上したのかも気になる。このあたりに関しては、本連載でおいおい紹介して行きたい。

 デザインと新しい機能、この2つが私に「またプリウス」を決心させたのである。ちなみに以前、プリウスへと乗り替えた時は「燃費のいいクルマに乗りたい」という気持ちが強かった。当時はガソリン価格がえらい勢いで高騰していた訳だが、ご存じのように現在は絶賛値下げ中である。なので今回のプリウスで私は、以下の2つをテーマにしたいと思っている。

「スポーティなプリウスを目指して積極的にカスタマイズする」

「新しい機能を積極的に活用する」

 もちろん、省燃費を無視する訳ではない。実際に新しいプリウスを運転して痛感したのだが「プリウスを運転すると、どうしても燃費は気になる」ものなのだ。納車された時点から「燃費は二の次で行こう!」と心に決めていたのだが、それでも気になるのが燃費。この寒空の下、ヒーターを使いながら少しだけ走ったのだが、トリップAに表示される燃費は20km/Lあたりをウロチョロしている。やっぱりプリウスはスゴかった! しかしまあ、今回は燃費よりもスタイルや機能を優先させたいものである。

注文、発表会、そして納車!

 プリウスのカスタマイズ、主にエクステリアのカスタマイズを夢見つつ、時間は刻々と過ぎていく。予約の打診にOKを出し、グレードとオプションを決める。値段が出たところである程度の交渉、そして注文。このあたりは勝手知ったる東京トヨタ井草店、そして担当営業の太田さん、実にスムーズだ。注文さえ終わってしまえば、あとはひたすら納車を待つのみ。

プリウスについて語る加藤光久氏

 だが納車の前に1つ、心躍るイベントがあった。2015年12月9日、東京 江東区のMEGA WEBにて新型「プリウス」発表会が行なわれたのだ。すでに新しいプリウスの情報は世界を駆け巡っていたのだが、日本国内での正式な「発表会」はこれが初となる。新しいプリウスの実車が展示されるのはもちろん、トヨタの取締役副社長である加藤光久氏の挨拶もあるという。幸いなことにCar Watchスタッフとして参加できるとのことなので、私もいそいそと出かけていった。

おっさん、プリウスの解説に聞き入る
展示されていた新しいプリウスでイメージトレーニングをするおっさん
新しいプリウスのカットモデルは興味深かった
私が注文したのと同じ白いプリウス発見。グレードが異なるのはフォグランプ部分で分かる(次回詳しく)

 その発表会を取材した際、私が持っていたバッグの中には新しいプリウスを注文した際に作成した「商談メモ」が入っていた。別に理由はなく、とりあえず仕事用のバッグに入れておいただけなのだが、実車をいそいそと見ながら自分が注文したグレードと比べてみたり……。個人的には実に有意義な発表会であった。

 発表会を終えてからしばらくして、ついにその時は来た。世の中が仕事納めでざわつく2015年12月28日、ついに私のプリウスが納車されたのである。ちなみに2015年年内に納車された新しいプリウスは少数だったらしく、年末年始に東京都内を納車されたプリウスで少し走ったのだが、同車両とすれ違うことはなかった。「出来れば年内に」という私の願いは、東京トヨタ井草店の頑張りもあって、なんとか達成できた訳だ。

無事納車された新しい「私の」プリウス
新しいプリウスの試乗車、ハチロク、そして納車されたプリウスという印象深い車列
新車なのでカバー付き!
私はシートのカバーは自分で剥ぎ取る派だ
成約記念のミニカー。数量限定なので現時点で入手できるかは不明だ
ハチロクのミニカーと並べてみる。何やらしみじみするなあ

 さて、さてさて。実車を手に入れ、成約記念のミニカーもゲットした。そしてこれから新しいプリウスと私の生活が始まるのである。果たしてこの先どうなるか、現時点では自分でもまったく分からないが、プリウスとのカーライフを精一杯楽しんでみたいと思う。という訳で、次回は私が注文したプリウスのグレードやオプション(まあ、当然のごとくE-Fourなのだが)を紹介したい。

自分の駐車スペースに移動してほっと一息

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、最近10年は真面目なレビュー記事というより、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はオートバイをこよなく愛していたが、体力の衰えと共にクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのハチロク、オートバイはカワサキのNinja 1000とZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。インプレスジャパン、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかにImpress Watchでインターネット動画「パーツパラダイス」を配信中。

Photo:安田 剛