山陰自動車道の建設現場見学会開催
斐川IC~出雲IC間のトンネルや橋を公開

2010年3月開通予定



 

 

2010年3月開通予定で工事が進められている、山陰自動車道・斐川IC~出雲IC区間
 西日本高速道路(NEXCO西日本)と出雲市役所建設事業部建設企画課は、9月28日に2010年3月開通予定の山陰自動車道・斐川(ヒカワ)IC(インターチェンジ)~出雲IC(仮称)間の建設現場見学会を実施した。見学会には、応募抽選による25名が参加した。なお、今年3月にも同様の見学会が催されており、今回は2回目となる。

 

集合場所は、出雲大社で有名な島根県出雲市の市役所前。見学会に訪れた参加者は市が用意したマイクロバスでここから建設現場へ移動現場へ行く途中で見かけた、出雲ICの建設現場

  山陰自動車道鳥取益田線は、鳥取県鳥取市を起点に、島根県益田市に至る総延長約260kmに及ぶ高速自動車道路。日本海沿岸地域を結ぶことで、交通混雑の緩和、地域経済活動の活性化を目的としている。

  現在は一部区間で開通しており、島根県内では安来道路、松江道路、江津道路などとして供用されている。

  今回、見学が行われたのは、松江玉造IC~斐川ICを結ぶ道路で、2010年3月に開通が予定されている斐川IC~出雲IC間の13.6kmの区間。知谷古志(シッタニコシ)トンネル(全長1431m)の掘削現場と、船津橋(全長275m)の建設現場である。

知谷古志トンネル
  
  斐川IC~出雲IC間は山や谷が多く、全長13.6kmのうち、半分以上となる約7.7kmがトンネル区間、約1.8kmが橋梁による高架区間となる。知谷古志トンネルは東西の両方向から掘削を行っている。今回の見学会ではその西側の現場が公開された。 

最初に案内された、知谷古志トンネル西側の掘削現場入口掘削現場。中央の重機は掘削用のマシンで「3ブーム2ゲージ油圧ホイールジャンボ」というもの。通称は「ジャンボ」掘削途中のトンネル。中央に見えるのが山の岩盤。1回で掘り進められる距離は1~1.5m
ジャンボの掘削ドリル。岩盤に約1.5mほど、百数十カ所も掘削して穴を開け、その後ダイナマイトで爆破し、掘削を進めていくジャンボ全景。3本のアームにドリルが装備され、3人で操作を行なう。アームの自由度はかなり高い爆破時に飛び散る岩石の破片から身や物を守るための防護盾。ちなみに発破(ハッパ)とはダイナマイトのことをいう
掘削でできた岩石は、バックホウやホイールローダー(写真)を使って運び出す。この処理は「ずり処理工」と呼ばれている掘削後は、盤面の強度を保つためにコンクリートを吹き付ける。コンクリートには吹き付け後すぐに固まるよう「急結剤」を添加してある。厚さは約5~20cmで、地山(ジヤマ:天然の地層)の様子によって異なる。ちなみに、写真のくぼみは消火栓や緊急電話機などの設備を設置するためのスペースコンクリートを吹き付ける役割を持つ「エレクタージャンボ 吹き付けシステム」
地盤を安定させるために、長さ3~4mの鋼鉄製のボルトをトンネルアーチに対して放射状に打ち込むロックボルト工法が行われている。打ち込むボルトは1断面あたり10本以上で、岩盤の状態によって本数や長さ、太さを変える。なお、ロックボルト工法にも、先ほどのジャンボが使用される地盤が弱かったり、水が出たりなどで強度に不安がある場合は、アーチ状に加工されたH鋼材を梁として建て込み、崩落の危険性を回避する


船津橋

  次に案内された船津橋建設現場では、PC(プレストレストコンクリート)工法について解説された。PC工法とは、PC鋼材によるワイヤーを使い、「ワーゲン」と呼ばれる移動作業台で橋の張り出し部分を作っていくもの。現場では実際に使われているワイヤーも含めて見学することができた。

建設中の船津橋。PC工法によって橋がかけられていく橋上には作業用エレベーターを利用して行く。通常のエレベーターと違って、人が乗るコンテナがむき出しとなっているため、少々恐怖感がある船津橋の橋上。右に傾いて見えるのは、橋が緩やかに右カーブを描いているため。時速80kmでも安全に通行できるよう、水平方向の遠心力を和らげるためのバンクが付けられている
向かいに見える緑色の建物が「ワーゲン」と呼ばれる作業場。天候に左右されずに作業を行えるなどの利点がある橋の内部を通るPCワイヤー。このワイヤーで橋を支えながら、張り出し部分を延長していく西側には船津朝山トンネル(長さ1961m)の入り口が見られる。こちらのトンネルはほぼ工事を終えている

見学会を企画した出雲市建設事業部建設企画課主任の常松一彦氏。開通予定の今年度末までに、あと1、2回は同様の見学会を開催したいとのこと
  今回の見学会の参加者からは、普段立ち入ることのできない高速道路の工事現場を実際に見られたことが好評だった様子。見学会を企画した出雲市建設事業部建設企画課主任の常松一彦氏によれば、道路工事の進捗具合の確認にもなるということで、今年度中にあと1、2回は同様の見学会を開催したいとのこと。基本的には少人数による見学となり、応募者多数の場合は抽選となるが、倍率は2倍程度とのことなので、興味のある方は次の機会にぜひ参加してみてはいかがだろうか? 

 

(記事初出時に、開通時期を2009年3月としていましたが正しくは2010年3月となります)

URL
島根県出雲市役所
http://www.city.izumo.shimane.jp/
西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)
http://www.w-nexco.co.jp/
ニュースリリース(NEXCO西日本)
http://corp.w-nexco.co.jp/corporate/release/chugoku/h20/0911/
山陰自動車道鳥取益田線 斐川~出雲(NEXCO西日本)
http://corp.w-nexco.co.jp/activity/progress/individual/11/
開通・建設進捗情報(NEXCO西日本)
http://corp.w-nexco.co.jp/activity/progress/

(目黒廣道)
2008年10月1日