STI、インプレッサ「STI 20th ANNIVERSARY」トークイベントを実施
商品企画部長大和氏と車両実験部課長市澤氏が出席

10月26日開催



発表会&トークイベントが開催された東京都立川市にあるCAR DO スバル立川店。すぐ前を新奥多摩街道が走り、「立川八中入口」の信号機が目印
  STI(スバルテクニカインターナショナル)は、「スバル インプレッサ WRX STI」の特別仕様車「STI 20th ANNIVERSARY」の発売を記念して「匠の技」と題した発表会&トークイベントを、東京都立川市にある東京スバル「CAR DO スバル立川店」内STIブースで10月26日に開催した。

  STI 20th ANNIVERSARYは、スバル インプレッサ WRX STIをベースにSTIが数々のチューニングを施したコンプリートカーで、“匠のハンドリング”をテーマに、主に足まわりを中心とした変更が加えられている。

  今回の発表会&トークイベントに出席したのは、STI取締役商品企画部部長の大和正明氏、STI車両実験部課長の市澤眞氏の両名。当初の案内では、車両実験部部長の辰己英治氏が出席する予定だったがどうしてもはずせない急用のため、辰己氏のパートは市澤氏が代わって担当した。イベントは、午前と午後の2回行われたが、本記事では午後に行われたイベントの模様をお届けする。

走りを中心に仕上げたSTI 20th ANNIVERSARY

Let's noteでプレゼンテーションを行うスバルテクニカルインターナショナル株式会社取締役商品企画部部長大和正明氏。氏は車体構造設計のエキスパートで、2008年に富士重工業からSTIに移籍。富士重工業時代は、B9トライベッカの開発責任者でもあったとのこと
  発表会&トークイベントと位置付けられた本イベントは、STIの取締役でもありSTI 20th ANNIVERSARY開発の取りまとめを行った大和氏のプレゼンテーションから開始された。

  大和氏は最初に本来出席予定であった辰己氏が来られなくなったことを来場者にお詫びし、STIの歩みを紹介。「STIはスバルのモータースポーツ部門として2008年の4月2日に20周年を迎えたのですが、2008年はSuper GTでの優勝、そしてニュルブルクリンク24時間耐久レースでのクラス5位入賞とまずまずの年でした。STIのもう一つの仕事として、各種コンプリートカーの制作という部分もあり、今回発表するインプレッサ STI 20th ANNIVERSARYは、5月に発表したレガシィがベースのS402に続いて本年2車種目となります。“曲がる愉しさ~強靱でしなやか~”な走りをテーマに3つの主な改良を加えてあります」と、STI 20th ANNIVERSARYのベース車からの主な変更点である、フロントとリアのSTI製ダンパー&スプリング、STI製フレシキブルタワーバーフロントとSTI製フレシキブルロアアームバー、STI製ピロボールブッシュ・リアリンクについて言及。

  大和氏によると、これらの変更はステアリングの操作に対する応答性をより一層向上させ、路面への追従性を高めタイヤの性能を引き出すためのものであると言う。内外装については、フロントスポイラーと調和を図るためリアのルーフスポイラーの塗色変更(マットブラック化)、STI製プッシュスタートスイッチなど小変更が加えられているが、主に走りの面でのチューニングに注力することで価格上昇を最小限に止めたとしている。絶対的な金額はともかく412万6500円という価格は、ベース車両からサスペンション類が大幅に変更されていることを考えると納得のいく価格でもあるようで、すでに購入したお客さんもこのイベントに参加していた。

大和氏のプレゼンテーションで用いられたスライド。“曲がる愉しさ~強靱でしなやか~”を実現するために投入された3つのチューニングポイントが示されている

辰己氏の弟子を自認する市澤氏がトークイベントに登場
  続いてのトークイベントは、欠席した辰己氏と同じ部署で仕事をし、自ら辰己氏の弟子を自認する車両実験部の市澤氏が登場。スバルのショールームスタッフでもあるスバルスターズの女性とやり取りする形で、STI 20th ANNIVERSARYの開発秘話を披露した。

スバルテクニカルインターナショナル株式会社車両実験部車両実験課課長市澤眞氏。WRCに参戦中のペター・ソルベルグ選手もSTI 20th ANNIVERSARYの操縦性を楽しんでいたと、今回のコンプリートカーの仕上がりの高さを語っていた
  市澤氏によると、STIが言う強靱でしなやかな走りとは、ヒョウやチーターなど野生の動物をイメージさせる走りで、気持ちのよい走りを追求したものであるとのことだ。この実現には4つのタイヤをいかに有効に路面と設置させるかがポイントで、このSTI 20th ANNIVERSARYもそこを意識して仕上げてあると言う。また、昨年STIがリリースした「レガシィ tuned by STI」や本年5月の「S402」では“運転がうまくなる”というキーワードも掲げているが、これはたとえばコーナーや前者のブレーキなど外的要因で運転状況の変化が起きたときに思いどおりの走りができるということで、運転歴の長さにかかわらず誰でも体感でき、“強靱でしなやかな”な走りがそれを支えていると語ってくれた。

  そのほかスバルスターズからの「STI 20th ANNIVERSARYの開発にはニュルブルクリンク24時間レースに参加した車両からのフィードバックが取り入れられていますか」という質問には、「実際にはそれと逆でSTI 20th ANNIVERSARYの開発は昨年から始まっており、STI 20th ANNIVERSARYの開発ノウハウをレース参加車両に取り入れてあります」と開発秘話を披露。STI 20th ANNIVERSARYが高い走りのポテンシャルを持つことを語りつつ、強靱でしなやかな走りを実現することで、助手席に彼女や家族を乗せてもつらくない乗り心地を持っていることをポイントとして挙げていた。

  また、あまり話せないのですがと前置きしつつも、「現在、レガシィやインプレッサ以外の車形でもSTIコンプリートカーの開発を進めています」とさらなる新型車の登場を示唆。具体的なベース車両はまったく明かされなかったものの、現在のSTIが掲げる強靱でしなやかな走りをほかの車種にも広げていくことが語られた。

トークイベントは、スバルスターズの女性とのやり取りで進行。終始和やかな雰囲気でSTI 20th ANNIVERSARYの開発秘話などが披露されたトークイベントの最後には、「ニュルブルクリンク オリジナル ネックストラップ」の抽選会が行われた。60名ほどの参加者に対して30本のプレゼントとかなりの高確率で当選者が出ていた

  午後の回では、およそ60名が参加したこのSTI 20th ANNIVERSARY発表会&トークイベント。普段はなかなか聞けない話が聞けたり、直接STIの開発者と話せたりと、来場者は思い思いに楽しんでいたようだ。会場となったCAR DO スバル立川店には、STI 20th ANNIVERSARYの試乗車も用意されており、イベントの後、早速その強靱でしなやかな走りを多くの方が確かめていたようだった。STI 20th ANNIVERSARYは300台の限定販売となるのだが、すでに80台の受注が入っており(10月26日時点、STI調べ)、購入を検討中の場合、近くのスバルディーラーに早めに相談に行くほうがよいだろう。

STI 20th ANNIVERSARY
  CAR DO スバル立川店は、STI 20th ANNIVERSARYの試乗車のほかに、展示車も用意されていた。STI 20th ANNIVERSARYを写真で紹介する。先週掲載した関連記事とあわせてご覧になってほしい。

STI 20th ANNIVERSARYには、写真のピュアホワイトのほかに、WRブルー・マイカ、オブシディアンブラック、計3色のボディカラーが用意されている
外観の変更は最小限に止められているものの、リアのルーフスポイラーはマットブラックとなり、スパルタンなイメージが強調された。左リアには専用エンブレムが付く
STI製の18インチ鋳造アルミホイールを装備(写真左がフロント、写真右がリア)。フェンダーとタイヤの隙間には、STIカラーに塗られたSTI製チューニング・スプリングが見える(写真中)
エンジン本体のチューニングは行われていないが227kW(308PS)/6400rpm、422Nm(43.0kgm)/4400rpmと十分以上のパワーを持つ。エンジン後方にはSTI製フレキシブルタワーバーを装備
インテリアにも大きな変更点はない。プッシュエンジンスイッチがSTIロゴ&カラーのものに変更されている
センターコンソール部分。シフトノブがSTI製のものに変更されている
RECARO製バケットタイプフロントシートには、チェリーレッドのステッチが入った。わずかな変更だが、室内から受ける印象はずいぶん変わった

 

URL
富士重工業株式会社
http://www.subaru.jp/
ニュースリリース
http://www.fhi.co.jp/news/08_10_12/08_10_23.html
製品情報
http://www.subaru-sti.co.jp/sti20th/
スバルテクニカインターナショナル株式会社
http://www.subaru-sti.co.jp/
ニュースリリース
http://www.subaru-sti.co.jp/event/news2008/080008.html
SUBARU MOTORSPORT MAGAZINE NBR24H
http://www.subaru-msm.com/nbr24h2008/
東京スバル株式会社
http://www.tokyo-subaru.co.jp/
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【2008年10月23日】STI、「インプレッサ WRX STI」に300台限定の特別仕様車
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20081023_37980.html
【2008年10月24日】STI、インプレッサ「STI 20th ANNIVERSARY」のトークイベントを開催
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20081024_37986.html

(編集部:谷川 潔)
2008年10月28日