フォーミュラ・ニッポン、第1回合同テストで全チームが走行
2009年シーズンについての記者発表も

記者会見は、JRPの会長である中嶋悟氏の挨拶からスタート

2009年3月3日




 国内モータースポーツの最高峰である全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(以下、Fニッポン)を運営する日本レースプロモーション(JRP)は3日、富士スピードウェイで同シリーズの2009シーズンの記者発表会を実施し、今シーズンの参戦チームとドライバー、レース内容などの概要説明を行った。当日は第1回合同テストの初日。午後は降雪のため走行が中止となったが、今シーズンに参戦する全ドライバーが集結し、午前中は全チームが独自のコンセプトで設計された新型シャシー「FN09」を走行させた。一部チームは、FN09の今シーズンのカラーリングを披露している。

新設計シャシー「FN09」で争われる国内最高峰のフォーミュラレース
 Fニッポンは、F1の次に位置するカテゴリーで(かつてのF3000、F2の流れをくむ)、国内オープンホイール系レースの頂点だ。国際的に行われているGP2シリーズの方が実質的にはF1に近いわけだが、マシン性能やレースのコンペティションのレベルとしては、同等の内容を有し、場合によっては上回ると言われている。

 今シーズン行われる全8戦のスケジュールは以下のとおり。

第1戦4月4日・5日富士スピードウェイ
第2戦5月16日・17日鈴鹿サーキット
第3戦5月30日・31日ツインリンクもてぎ
第4戦6月27日・28日富士スピードウェイ
第5戦7月11日・12日鈴鹿サーキット
第6戦8月8日・9日鈴鹿サーキット
第7戦8月29日・30日オートポリス
第8戦9月26日・27日スポーツランドSUGO


 マシンはワンメイクで、今シーズンは2006年以来となる新型シャシーFN09を使用。今年から最低3年間はFN09が使用されるが、昨年まで使用されたF1のヨーロッパ系の流れをくんだローラ製FN06とは異なり、日本独自のコンセプトを持って設計されているのが特徴だ。開発を手がけたのは、日本人初のインディ500参戦ドライバーであるヒロ松下が経営する米スウィフト・エンジニアリング。前走車の生み出す乱流に影響されにくいように設計されており、ダウンフォースがFN06の1.5倍に増加している。FN06よりも前走車に張り付いてコーナーに侵入することができ、ドッグファイトを展開しやすいのが大きな特徴だ。ボディーデザインの特徴としては、下のスペックを見てもらえば分かるが、ワイド化が図られている(FN06の全長が発表されていないため、全長の変化は不明)。

FN09の走行時の様子

●FN09主要スペック

FN09FN06

備考

全長4775mm
ホイールベース3000mm3000mm
車両最大幅2000mm1800mm

車両中心線からタイヤ外側までの実測1000mm以内

車体最大幅1600mm1450mm

ウイングを除いたボディーワークの最大値

フロント
ウィング幅
1800mm1450mm
リア
ウィング幅
1220mm1000mm
燃料タンク
容量
115リットル135リットル

車体サイドに設ける給油口から給油可能な最大値

ギアボックスリカルド社製
6速/バトルシフト
ヒューランド社製
6速/パドルシフト
ブレーキPFC社製6ピストンブレンボ社製4ピストン
フロント
タイヤ
235/55R13235/55R13
リアタイヤ340/620×13340/620×13
メーカースウィフト・エンジニアリングローラ
FN09トヨタのテスト用車両「ひまわり号」。プレス向けエンジン始動体験の様子特異な形状のフロントウイングフロントサスのスプリングダンパーユニット
ステアリングユニットリアまわり真後ろから


 エンジンは、トヨタ製「RV8K」およびホンダ製「HR09E」の2種類がある。V型8気筒 3.4リッターで、通常時は回転数が1万300rpmに制限されているが、600馬力以上を有する(主要スペックは下に記載)。新システムの「オーバーテイクシステム」(詳細は後述)を利用すると、短時間ながら回転数が400rpm上昇し、より前走車を抜きやすくなるという設計だ。タイヤに関しては、ブリヂストンの2009年型タイヤが使用される。

 

●09年型エンジン主要スペック

2009年2008年

備考

排気量3400cc3000cc
出力600/hp+α550/hp
気筒数8気筒8気筒
レイアウト
・バンク角
V型90度V型90度
吸気自然吸気自然吸気
重量120kg127kg

エアボックス及びエアフィルター込み

回転数制限1万700rpm1万300rpm

2009年型はオーバーテイクシステム使用時の数値

回転数
制限方式
ECUECU
メーカー
及び名称
トヨタRV8K
ホンダHR09E
トヨタRV8J
ホンダHF386E
トヨタRV8K
ホンダHR09E

2009年は8チーム13台で争われる
 今シーズンのエントリーだが、昨今の経済状況が少なからず影響し、昨年よりも参加チーム数、マシン数ともに減って、8チーム13台で争われることとなった(昨年は11チーム20台)。エントリーリストは以下のとおりだが、まだ一部でスポンサーの正式発表がない関係か、チーム名がレーシングチームの名称となっている。

●LAWSON TEAM IMPUL(監督:星野一義)
1号車:松田次生(29歳:07・08王者)
2号車:ブノワ・トレルイエ(32歳・フランス人:06王者)
エンジン:トヨタ RV8K

●Team LeMans(監督:土沼廣芳)
7号車:国本京佑(20歳:新人・08F3マカオGP優勝者)
8号車:石浦宏明(27歳:06GT300王者)
エンジン:トヨタ RV8K

●HFDP RACING(監督:田中弘)
10号車:塚越広大(22歳:新人)
エンジン:ホンダ HR09E

●TEAM IMPUL(監督:黒澤琢弥)
20号車:平手晃平(22歳:08年ルーキー・オブ・ザ・イヤー)
エンジン:トヨタ RV8K

●NAKAJIMA RACING(監督:中嶋悟)
31号車:ロイック・デュバル(26歳・フランス人:08年シリーズ2位)
32号車:小暮卓史(28歳)
エンジン:ホンダ HR09E

●TEAM TOM'S(監督:舘信秀)
36号車:アンドレ・ロッテラー(27歳・ドイツ人:08年シリーズ3位)
37号車:大嶋和也(21歳:新人)
エンジン:トヨタ RV8K

●DOCOMO TEAM DANDELION RACING
40号車:リチャード・ライアン(29歳・イギリス人)
41号車:伊沢拓也(24歳)
エンジン:ホンダ HR09E

●CERUMO/INGING(監督:竹内浩典)
48号車:立川祐路(33歳)
エンジン:トヨタ RV8K

 今年のドライバーラインアップの特徴は、大幅な若返り。30代はトレルイエと立川の2名のみとなり、あとはみな20代。平均年齢は昨年の28.2歳から26.1歳に下がった。2代目“日本一速い男”こと本山哲選手や、かつてF1にも参戦した井手有治選手といった知名度のある選手たちは参戦せず、代わりにフレッシュな顔ぶれが加わっている。

 その最たる注目株が、昨年のF3マカオGPで優勝を飾った国本京佑選手(全日本F3選手権からのステップアップ)と、欧州帰りの塚越広大、大嶋和也の両選手(ふたりともF3ユーロシリーズからのステップアップ)。ちなみに、08ルーキー・オブ・ザ・イヤーの平手晃平や、石浦宏明、伊沢拓也の3選手もまだ2シーズン目。チャード・ライアン選手も久しぶりの復活ということで、ここ数年で顔ぶれが大きく変わってきたのがドライバーラインアップの大きな特徴である。

 チームに関しては、昨年の王者チームで元祖“日本一速い男”星野一義監督率いる「LAWSON TEAM IMPUL」、日本人フルタイムF1ドライバー第1号の中嶋悟監督率いる「NAKAJIMA RACING」の2強に加え、名門「TEAM TOM'S」などは変わらないが、日本人初のF1表彰台獲得者である鈴木亜久里監督率いる「AUTOBACKS RACING TEAM AGURI(ARTA)」や、マッチこと近藤真彦監督率いる「KONDO RACING」などは撤退の模様。ARTAとKONDO RACINGは、SUPER GTに集中する旨を発表している。新チームとしては、ホンダのドライバー育成プロジェクトであるホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトがチームを結成して参戦。ドライバーも、ホンダ系の若手である塚越選手が所属するという形だ。

ドライバー13名によるフォトセッションルーキー3名。左から国本、大嶋、塚越の3選手優勝トロフィー

会見では全選手の紹介も行われた
 会見では、2007年、2008年の2年連続王者となり、星野監督、本山選手に続き、3代目“日本一速い男”を襲名したといっていい松田次生選手以下、全選手がコメントを述べた。
 王者として、LAWSON TEAM IMPUL1号車を駆る松田次生選手。これまで、Fニッポンを牽引してきた選手たちが次々と抜けていき、今年はレースだけでなく、Fニッポン自体を牽引する立場ともなる。プレッシャーのかかる中、3連覇が期待される。

松田次生選手。今シーズンは、Fニッポンの顔としてシリーズを牽引する役目も担うLAWSON TEAM IMPULカラーに塗られたFN09。赤ランプは08王者の証サーキットサファリでバス内から撮影。雪の舞う中を走る、非常に珍しい光景

 LAWSON TEAM IMPUL2号車のブノワ・トレルイエ選手は、松田選手とのコンビも3年目。フランス人版“日本一速い男”といわれた男は、2回目の王座奪取を狙っている。

ブノワ・トレルイエ選手。06年の王者獲得時の速さを取り戻せるか!?LAWSON TEAM IMPUL2号車テストでは、6位のタイムを出したトレルイエ選手

 Team LeMans7号車の国本京佑選手は、マカオウィナーとして、海外への遠征もあったと思われるが、Fニッポンを選択した。TDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の一員。久しぶりにFニッポンからF1に進出できそうな器だけに大きな期待がかかっている。

国本京佑選手。Fニッポンでブッチギリの速さを見せてF1、という出世を実現できるか国本京佑選手のTeam LeMans7号車は、まだ未塗装で、カーボンブラック地のままTeam LeMans7号車を別角度から

 Team LeMans8号車を駆る石浦宏明選手。まだ2年目だが、今シーズンは本山哲選手の跡を継ぐ形でチームリーダーを務めることになる。しかし、チームメイトにマカオウィナーの新星を迎え、キャリア的には年齢差ほどはないため、チーム内対決が白熱しそうだ。8号車はTeam LeMansをスポンサードする日本サン石油のブランド「SUNOCO」カラーに塗装されていた。

2年目にしてチームリーダーの重責を任せられた石浦宏明選手Team LeMans8号車は、SUNOCOカラーをまとってテスト走行を行ったTeam LeMans8号車を別角度から

 ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト レーシングから参戦する塚越広大選手。2007年のF3マカオGPで日本人選手最高位の2位(この年は全日本F3組が5位まで独占した)に入り、2008年はF3ユーロシリーズに参戦、シリーズ7位となったが、そのまま海外遠征を続けず、Fニッポンへの参戦を選んだ形だ。新チームで、しかも1台体制ということもあり、苦戦も予想されるが、本番に強いその強心臓ぶりでそれを跳ね返す活躍も期待される。10号車に乗る。

塚越広大選手。ホンダの日本人選手育成プロジェクトのトップ選手であるHFDP RACING10号車もカラーリングが施されていた1台HFDP RACING10号車を別角度から

 2年目も、2チーム体制のLOWSON TEAM IMPULのセカンドチームから20号車で参戦することになった平手晃平選手。昨年は、リバースグリッドの恩恵があったとはいえ、本山選手を抜き去っての優勝を獲得、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した若手イケメンドライバーのひとり。

平手晃平選手。国本選手や伊沢選手らとともに、今年も女性観客動員に貢献すること確実TEAM IMPUL20号車。スポンサーは昨年同様、開幕直前に発表されることと思われるTEAM IMPUL20号車を別角度から

 2006年からNAKAJIMA RACINGに在籍し、小暮選手とのコンビは3シーズン目となるロイック・デュバル選手。昨年は2勝し、シリーズ2位となった。31号車を担当するが、マシンは3日の時点で小暮選手の32号車もあわせてカラーリングがされていなかった。例年、現役時代から中嶋監督を支えてきたPIAAがスポンサードしているのだが、2人のレーシングスーツは昨年と同じ白地に黒のラインの入ったPIAAのものだったので、おそらくマシンもPIAAカラーになるものと予想される。

NAKAJIMA RACINGで4シーズン目のロイック・デュバル選手。中嶋監督も非常にお気に入りの様子NAKAJIMA RACINGもカラーリングはなし雪の舞う中を走る31号車

 2003年からFニッポンに参戦し、その大半をNAKAJIMA RACINGで過ごしている小暮卓史選手。昨年は振るわなかったが、2007年は最終戦でほんのわずかなチームのミスで失格裁定、チャンピオン獲得が幻となった、松田選手の最大のライバルのひとりである。一時は日本人最速といわれたそのスプリンターの輝きを取り戻せるかがポイントだ。今年もNAKAJIMA RACINGのエースナンバー32号車を走らせる。

小暮卓史選手。今年はぜひ復活してもらって、松田選手とのガチンコバトルを見たい32号車。31号車とはフロントウィング前端のカラーが異なる。31号車は白で、32号車はオレンジ32号車を別角度から

 アンドレ・ロッテラー選手は、名門TEAM TOM'Sのエースとして2006年から活躍しており、昨年はシリーズ3位を獲得。TEAM TOM'Sで4年目となるが、それ以前も2003年から3シーズンをNAKAJIMA RACINGで過ごしており、日本でのレース活動が長い。なお、マシンは今年もマレーシアのペトロナスがスポンサーを務める模様(まだ公式発表はされていない)。その証拠として、ロッテラー選手の36号車と、大嶋選手の37号車のサイドには、同社のロゴが既に描かれていた。

アンドレ・ロッテラー選手。松田選手のライバルのひとりだ36号車。サイドにPETRONAS、SYNTIUMなど、マレーシア系企業のロゴが既に描かれている36号車を別角度から

 2006年にSUPER GTのGT300クラスで優勝し、2007年は塚越選手のパートナーとして、マノー・モータースポーツからユーロF3に参戦していた大嶋和也選手。ユーロF3では塚越選手に水を空けられ、シリーズ19位と振るわなかったものの、その潜在能力の高さを買われてTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)に所属している若手だ。今年は、準トヨタワークスともいえるTOM'Sのセカンドドライバーとして、37号車を駆ってFニッポンを闘う。

大嶋和也選手。ヨーロッパで揉まれてきた経験を活かせるか37号車。昨年同様、白とライトグリーンのペトロナスカラーになると思われる37号車を別角度から

 2002年から2005年まで、「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」からFニッポンに参戦していたリチャード・ライアン選手は、4シーズンぶりに同チームから選手権に復活した。2004年には2勝を上げ、シリーズチャンピオンとなっている。今年は40号車に乗り込む。

4年ぶりに選手権を走るリチャード・ライアン選手40号車。NTT DOCOMOのスポンサードは今年も継続され、例年と同じ紅白カラーがFN09にも施されたテストセッションで、7号車を1コーナーでパスする40号車

 昨年はARTAに新人として抜擢された伊沢拓也選手は、ARTAがFニッポンに参戦しないことから、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGに移籍することとなった。41号車を担当。同チームは、昨年からドライバーを一新した形だ。ただし、昨年まで出走していた土屋武士選手がアドバイザーとして、会見場にも姿を見せていた。なお、伊沢選手は昨年、Fニッポンの公式Webサイトでのファン投票で、「デートしたい選手」第1位を獲得している。

伊沢拓也選手。イケメン軍団のひとり41号車。TEAM DANDELION RACINGは、電気メーカーのスポンサードが多い41号車を別角度から

 元祖イケメンドライバーの立川祐路選手も33歳で最年長となった。昨年は「CERUMO」と「INGING」が合併し、2チーム3台体制で出走していたが、今年は1台体制となり、立川選手の48号車のみ。マシンはブリヂストンのロゴマーク以外はエンジンメーカーロゴさえ描かれておらず(実際にはトヨタエンジンを搭載)。テストでは、最も真っ黒な1台であった。

立川祐路選手。富士マイスターと呼ばれるだけに、開幕戦は暴れそうな予感48号車。昨年も冠スポンサーのないCERUMO/INGINGで挑んでいた48号車を別角度から

レース内容の昨年からの変更点
 レース内容に関して、昨年よりいくつか大きな変更があった。まず、1レースの最長走行距離が昨年よりも50km短くなり、最長250kmとなっている。そして、昨年は一部のレースで行われていた2レース制およびリバースグリッド方式は中止となった。ポイントシステムも、13台による争いとなったことから、上位8台までにポイントが付与される。1位10点、2位8点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点だ。なお、現在JAF(日本自動車連盟)と調整中ということだが、予選1位の選手に1ポイント付与されることも検討されている。

 予選はF1でもおなじみのノックアウト方式が、今年も継続される方向で調整中だ。予選を3回に分け、上位タイムから順に規定台数のみが次のセッションに進めるというルールだが、Q1では11~13位が決定、Q2では9~10位、Q1でポール~8位が決定する方向で進められている。レース中に関しては、タイヤ交換を義務づける大会が設けられる方向。どの大会で義務づけられるかは、未決定のため、後ほど発表する形だ。レース中の燃料給油に関しては、特に発表されなかった。

 新システムのオーバーテイクシステムは1レースで5回まで使用できる。コックピット後方のロールバーに5つのライトがあって、何回使用したが分かる上に、使用時は点滅することで観客にアピールする。また、ポイントリーダーのマシンのみライトが赤くなる仕組みで、その点でも観客にアピールするようになっている。

 そのほか、経費節減につながる対策として、昨年までの金曜日を合同テスト、土曜日を公式予選、日曜日を決勝レースとして3日間に渡って開催していたところを、土曜日にフリー走行と公式予選、日曜日にフリー走行と決勝という2日間に短縮。そして、3レースで1エンジンのところを、今回の新エンジンの性能向上により4レースで1エンジンに。つまり、トラブルなどで交換が生じない限りは年間1台で2基しか使わないという計算である。さらに、プライベートテストも禁止だ。テストは、今回の3月3日・4日に富士スピードウェイで行なわれた第1回合同テストと、13日・14日に「ツインリンクもてぎ」で行なわれる予定の第2回合同テストのみとなる。

 また、ファンサービスの1つとして、レーシングマシンが走るコース上をバスに乗って見学する「サーキットサファリ」も計画中で、取材当日は報道陣向けにデモンストレーションが行われた。

オーバーテイクシステムのライトのアップトヨタ製のエンジンチェック用のWindowsソフトウェア


テレビ放映やフォーミュラチャレンジ・ジャパンについて
 地上波放送は、テレビ東京系で放送されているSUPER GTの番組「激走!GT」で扱われることとなった。また、CS放送の「J SPORTS」では、今年も引き続きライブ放送(一部はディレイとなる可能性あり)でオンエアされる。

 

 また、Fニッポンのサポートレースのひとつであるジュニア・フォーミュラのレースフォーミュラチャレンジ・ジャパン」の今シーズンの概要についても発表された。同カテゴリーは、「世界で活躍できる有能な若手ドライバーの発掘と育成」「日本のモータースポーツの裾野を広げ将来を支える人材の育成」を目的に、トヨタ、日産、ホンダの国内3大メーカーの協力支援のもとにJRPによって運営されているレースだ。今年はこの経済状況にもかかわらず、中国・北京出身者とウクライナ出身者1名ずつを含む暫定18名の参加を予定。平均年齢は3月3日現在で19.4歳と、ジュニア・フォーミュラらしい若さとなっている。ここでスカラシップを獲得すると、3メーカーにより2010年シーズン以降の上位カテゴリーへの道が開けるという具合だ。レースは、Fニッポンの第7戦オートポリスを除く7大会で各2戦ずつ、計14戦が行なわれる予定だ。

初日のテストの模様
 テスト初日の午後は降雪のために中止となったが、午前中は9時から1時間半ほどに渡って全13台が出走。トップタイムはTEAM TOM'S36号車のロッテラー選手がマークした1分23秒682。これは富士スピードウェイのFニッポンコースレコード1分24秒290を塗りかえる記録。FN09はエンジンパワーがアップしていることなどもあるが、初日は午前中から雪がパラつく非常に低温下であることも補足しておきたい。2位は、LAWSON TEAM IMPULのディフェンディングチャンピオン松田選手で、約コンマ1秒差。さらに、小暮選手、デュバル選手、トレルイエ選手と、名門3チームがガップリといった結果となった。その後方には、塚越選手がおり、ルーキーで最も上位。期待の08マカオウィナーの国本選手は13位。ただし、同一マシンを使用しているので当然といえば当然だが、ベテランからルーキーまでタイム差は1秒1ほどしかなく、トップ6はコンマ25秒以内にひしめく形となっている。

トップタイムをマークしたのはロッテラー選手2番手は3連覇を狙う王者の松田選手3番手は、中嶋監督の愛弟子の小暮卓史

 なお、残念ながら降雪が本格的になり、2日目は完全にテストを中止。ツインリンクもてぎでの第2回公式テストの時間を延長する形となった。13日、および14日ともに9~12時、14~17時の1日6時間、計12時間のテストが予定されている。

すっかり雪化粧の富士スピードウェイ

(デイビー日高)
2009年 3月 6日