ハイブリッドカー需要が大容量バッテリー市場を牽引
富士経済の調査より

 富士経済は、大容量2次電池市場の調査結果を発表した。

 自動車や電動工具など大型製品向けの2次電池の市場調査で、調査対象は自動車/輸送機器分野12製品、電力貯蔵/負荷平準化分野6製品、家電/DIY機器分野4製品、産業用機械/工作機械分野13製品の合計4分野35製品。

 これによると大型2次電池市場全体の規模は次のとおり。


 2008年度見込2011年度予測2014年度予測(2008年度比)
ニッケル水素電池903億円1631億円2078億円(230.1%)
リチウムイオン電池145億円514億円946億円(652.4%)
電気2重層キャパシタ27億円73億円111億円(411.1%)
その他2061億円2103億円2186億円(106.1%)
合計3136億円4321億円5321億円(169.7%)

 電池の種別で見ると、リチウムイオン電池は現状でも53%を自動車/輸送機器分野が占めるが、2011年以降にハイブリッドカーへの採用が本格化し、同分野が大幅にそのシェアを伸ばす。一方で家電/DIY機器分野でもリチウムイオン電池の採用が進み、同電池全体のシェアが大幅に拡大する。

 ニッケル水素電池では、自動車/輸送機器が90%を占めているが、今後もハイブリッドカーでの需要が拡大する。一方でリチウムイオン電池への転換も進み、長期的には成長が鈍化すると予測する。

 電気2重層キャパシタはハイブリッドカーの電子制御ブレーキの非常用電源として急拡大している。2009~2010年にかけてはアイドリングストップ機構付き自動車のスターターとしても本格的に採用され、長期的にはアイドリングストップ機構の需要がハイブリッドカー需要を上回ると見る。

 搭載製品別では、ハイブリッドカーの需要が最も大きい。ハイブリッドカーの生産台数が2008年度に44.5万台、2014年度で118万台が見込まれるのに対し、電気自動車はそれぞれ200台、1万4700台と圧倒的に規模が小さい。電気自動車は価格が高いうえに航続距離が短く用途が限定され、インフラ整備も必要なため、一般ユーザーへの普及には時間がかかると見ている。


 2008年度見込2011年度予測2014年度予測
ハイブリッド自動車(乗用車)748億円1626億円2237億円
電気自動車2億円123億円251億円
建設機械1億円6億円44億円

 ハイブリッドカー向け市場を電池別に見ると、当面はニッケル水素充電池が主流であるもの、2010年以降にリチウムイオン電池と競合し、長期的にはリチウムイオン電池が上回ると推測している。

ハイブリッドカー向け2次電池市場
 2008年度見込2014年度予測2008度年比
ニッケル水素電池734億円1947億円265.3%
リチウムイオン電池273億円
電気2重層キャパシタ14億円17億円121.4%
その他0.5億円0.1億円
合 計748億円2237億円299.1%

(編集部:田中真一郎)
2009年 3月 5日