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ウェットグリップ「a」の新世代ハイパフォーマンスラジアル、横浜ゴム「ADVAN FLEVA(アドバン・フレバ)」説明会

コンパウンドの進化が可能にしたスポーツ性能との両立

8月から販売が始まる、ハイパフォーマンス・スポーティー・タイヤ「ADVAN FLEVA V701」

 横浜ゴムが8月から発売する、ハイパフォーマンス・スポーティー・タイヤ「ADVAN FLEVA V701(アドバン・フレバ・ブイナナマルイチ)」。一般的にスポーツラジアルタイヤに分類される“走り”の性能を重視したタイヤとなるが、特筆すべきはスポーツ性能を重視しながら、JATMA(日本自動車タイヤ協会)が定めた低燃費タイヤのラベリング性能で、最高性能のウェットグリップ「a」を195/55 R15 85V~265/30 R19 93Wの全24サイズで獲得していることにある。

 このアドバン フレバの説明会が開催されたので、本記事で紹介していく。実際の走りの性能、レビューについては、後日お届けする日下部保雄氏のレビューを参考にしていただきたい。

ADVANブランドが実現するスポーツ性能

 横浜ゴムはモータースポーツ用タイヤやパフォーマンス系ラジアルタイヤをADVANブランドで展開しており、高性能タイヤの代名詞としても知られている。その横浜ゴムは、WTCC(世界ツーリングカー選手権)の公式タイヤとなっているほか、2016年シーズンから日本最高峰のレースシリーズであるスーパーフォーミュラに復帰。ワンメイク供給を行なっている。

 また、タイヤのコンペティションが行なわれているSUPER GTシリーズにもADVANレーシングタイヤを供給。300馬力相当のGTマシンが争うGT300クラスではチャンピオンタイヤの常連であるほか、500馬力相当のGTマシンが争うGT500クラスにおいても、2015年シーズンは第4戦富士で優勝。2016年シーズンは、7月24日に開催されたSUPER GT第4戦SUGOでタイヤ無交換作戦で優勝。タイヤ無交換作戦で優勝できたことは、ADVANレーシングタイヤの性能によるところが大きいだろう。

横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部 部長 政友毅氏は、ADVANの歴史を紹介
ADVANは1978年から始まる
ADVANの歴史を彩ったスポーツタイヤ。衝撃的な非対称パターンの「ADVAN HF Type-D」などは覚えている人もいるだらう
ADVAN HF Type-Dの開発風景
近年のADVANタイヤ
WTCCの公式タイヤとして、激しいバトルのツーリングカーレースを支える
2016年からはスーパーフォーミュラもADVANレーシングタイヤが公式タイヤとなった

 そのADVANブランドの最新タイヤがフレバ V701になる。フレバはまったくの新シリーズで、欧州高性能車をターゲットとした「ADVAN Sports V105」、サーキットユースを意識した「ADVAN NEOVA AD08R」、静粛性や振動吸収性能を志向した「ADVAN dB」とは異なるコンセプトを持つ。そのコンセプトは“ハンドリング”であるとし、「クルマを操る楽しみを多くの人へ届ける」ものとなっている。

 対応車種も幅広く、コンパクトカーからセダン、ミニバン、スポーツカーなど。サイズも発売当初は全24サイズだが、拡大していく予定という。

ADVANタイヤの現在のラインアップ
ハイパフォーマンスカーの純正タイヤとしても採用されるADVAN Sports V105
コンフォート性能を極めるADVAN dB
サーキット性能を追究したADVAN NEOVA AD08R

 ちなみに、フレバのネーミングは「FLExible」(パフォーマンスコンセプト、しなやか・順応性のある)と、「oVAtion」(商品成功への願い、大喝采・熱烈な歓迎)からの造語で、サーキットユースのタイヤの定番となっているNEOVA(NEO+oVAtion)との関連性が設けられている。

 開発の背景としては、欧州コンパクトスポーティカーなど「スポーティに運転を楽しみたい」というニーズがあるという。エコタイヤでは物足りない、サーキット性能はいらない、うるさいタイヤはちょっと、といったニーズに応えていくものになる。

1番に重視したのはハンドリング性能

 このフレバが重視したのは「ダイレクトな操作感 -Emotional Handling-」「魅力的なパターンデザイン」「高いウェット性能」「摩耗後の静粛性悪化の抑制」という。それらを実現する技術として、「トレッドプロファイル」「トレッドパターン<ピッチ配列>」「トレッドパターン<デザイン>」「トレッドコンパウンド」「グレーディング・性能データ」がある。

フレバのコンセプト
コンセプトなどについて説明を行なった、横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部 製品企画1グループ 藤本廣太氏
フレバのターゲット
フレバのコンセプトイメージ
目指すところ
名前について
プロジェクト背景
プレミアムな欧州車に対応していく
ユーザーニーズへの対応
スポーツカーのトレンド変化
ターゲット性能
ポジショニングマップ
開発サイズ

 トレッドプロファイルは、ハイパフォーマンスカー向けタイヤであるADVAN Sports V105を踏襲。路面との接地圧をできるだけ均一化しているとのことだ。

 トレッドパターンについては、センター部とショルダー部で異なるピッチ配列を採用。ハンドリングの応答性に影響するセンター部には大きなブロックを配置するなどしたほか、ショルダー部には溝を多く配置して排水性向上やノイズ抑制を実現。基本的なパターンデザインは方向性トレッドパターンを採用しており、回転方向指定がされたタイヤになる。

 このトレッドパターンに、「ナノブレンドゴム」という最新のコンパウンドを採用。このコンパウンドは、耐摩耗性ポリマー、シリカ、低燃費ポリマー、オレンジオイルなど横浜ゴムの最新技術が投入されている。その結果、前述したウェットグリップ「a」という高いウェット性能に加え、低燃費性能(低転がり抵抗)、耐摩耗性能を高レベルで実現したという。

技術説明を担当した、横浜ゴム株式会社 タイヤ第一設計部 設計1グループ 小山範巌氏
フレバの採用技術
トレッドプロファイル
トレッドパターン <ピッチ配列>
トレッドパターン <デザイン>
非貫通ラググルーブ
トレッドコンパウンド
ラベリング制度による位置づけ
性能データ

 JATMAが低燃費タイヤのラベリング制度を2010年1月に開始してから、各タイヤメーカーは相反する性能である低燃費性能とウェットグリップ性能の両立を図るため、激しい開発競争を続けてきた。その結果、毎年のように新製品が投入され、横浜ゴムでいえばBluEarth(ブルーアース)シリーズは進化を続けてきた。

 フレバ V701は、それらで培った技術と、ADVANレーシングタイヤやネオバに代表されるハイグリップタイヤの技術をバランスさせたタイヤになる。ハイパフォーマンスラジアルとしての剛性感やドライグリップ性能を持ちながら、ウェットグリップ性能と低燃費性能を兼ね備えており、「サーキットは走らないけどスポーツ心を持ってクルマを走らせたい」という人にとっては最適な性能を持つタイヤになるだろう。