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SUPER GT第5戦富士、12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがポール・ツー・ウインでブリヂストン装着車今季初優勝

GT300もブリヂストン装着の55号車 ARTA BMW M6 GT3が優勝

2016年8月7日 決勝開催

12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、BS)

 SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300kmレースが8月6日~5日の2日間にわたり、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。本記事から、ドライバー名、チーム名に加え、タイヤメーカーを表記していく。表記は、MI:ミシュラン、BS:ブリヂストン、YH:横浜ゴム、DL:ダンロップ(住友ゴム工業)。

 路面温度が50度を超えるという過酷な路面環境で行なわれた真夏の富士のレースだが、レースはスタートこそ順位どおりにスタートしたものの、序盤で前戦優勝の24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田 真孝組、YH)がエンジントラブルでリタイヤ、ランキング3位だった37号車 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組、BS)がウイング脱落で周回遅れに、15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/オリバー・ターベイ組、BS)がサスペンショントラブルでリタイヤと、序盤で各メーカーとも1台ずつを失い、かつ18周目にはGT300車両から部品が脱落してコース上に落ちてしまったためその回収のためにセーフティカーがでるという波乱の展開となった。

 その後は、2位を走っていたS Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)が1コーナーでのスピン、クラッシュにより脱落したことを除けば、上位勢は安定したレースを展開し12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、BS)が見事優勝した。2位は17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)、3位は100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)が入った。

 GT300はポールポジションからスタートした55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組、BS)が、2位からスタートした21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組、DL)を0.106秒差で抑えきり優勝。3位は2戦連続の表彰台となる61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)。

路面温度が50度を超える厳しい環境での真夏の富士のレース、予選上位のGT-R勢が序盤を支配

 今年2度目となる富士スピードウェイでのSUPER GTのレースは、5月に行なわれた第2戦よりも路面温度が高めな50度前後とかなり厳しい環境で行なわれることになった。静岡県警の白バイ、パトカーに先導されたパレードラップの後、フォーメーションラップが行われ、その後スタートが切られた。

GT500のスタートシーン

 GT500のスタートは静かに切られ、予選順位の順で1コーナーへ飛び込んでいった。レースは予選1位の12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、BS)、予選2位のS Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)が飛び出し、ウエイトハンデが84kgと非常に重い予選3位の1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)を先頭に3位集団が形成されるという展開になった。

 レースでは序盤に各メーカーとも1台ずつを失う展開になった。前戦優勝の24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組、YH)がエンジントラブルでリタイヤ、ランキング3位だった37号車 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組、BS)がウイング脱落で周回遅れに、15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/オリバー・ターベイ組、BS)がGT300車両との接触によるサスペンショントラブルでリタイヤとなったのだ。

 レースは徐々に12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが、2位の46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)を引き離し、2位に5秒、3位以下に10秒の差をつけて独走状態に入った。このまま12号車が1人旅かと思った19周目に、GT300車両から外れたボンネットがコース上に落ちるというトラブルが発生し、セーフティカーが入って回収することになった。それにより、12号車が築いた差はなくなり、仕切り直しとなった。

 前回の富士のレースでも12号車はレースをリードしながら、セーフティカーで差がなくなり厳しい戦いになったことが頭をよぎったが、今回の12号車は安定しており、リスタートでもジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が差をつけて見事なスタートを切り、再び2位との差をつけることになった。

46号車の脱落で楽になった12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがポールツーウイン、NSX勢が2位と3位に

 レースがちょうど折り返し点を迎える33周前後に各車がピットインを終えると、再び12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがトップ、2位はS Road CRAFTSPORTS GT-Rになっていた。3位は、ホンダ勢同士の争いを制していた100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)が、17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)を従えて表彰台圏内に。1号車はピットストップおよびアウトラップでホンダ勢2台に先行させる展開で5位に下がった。

 千代勝正選手に替わった46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-Rが開幕戦、第2戦と同じように追い上げがされるのかと考えられたが、36周目の1コーナーで千代選手が操る46号車はスピン状態のまま1コーナー外側のタイヤバリアに激突。千代選手は車両を降りて無事が確認されたものの、これでトップを追うはずだった46号車はリタイアになってしまった。

S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)

 これで、トップの12号車はクルージングに入り、2位に上がったNSX 2台との差を常に25秒程度に抑えてそのままゴールに向かって突き進んだ。2位を走っていた100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTだが、51周目に塚越広大選手が操る17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに抜かれ3位となった。結局トップ3台はそのままゴールし、優勝は12号車 カルソニック IMPUL GT-R、2位は17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT、3位は100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTという表彰台の顔ぶれとなった。

17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)
100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)

 4位に入ったのは予選3位からスタートした1号車 MOTUL AUTECH GT-R。全車中で最も重い82kgというウエイトハンデがありながら見事な走りで4位に入り、ポイントを50に伸ばすことになった。これにより、1号車 MOTUL AUTECH GT-Rは次戦第6戦鈴鹿1000kmにおいてウエイトは規定一杯の100kgという現行車両では前人未踏の重さとなる。今シーズンの1号車は開幕戦と第2戦が優勝、中止となった第3戦を挟んで第4戦が9位、第5戦が4位と安定して結果を残しており、3年連続チャンピオンにさらに近づくことになった。

 以下、5位は追い上げた36号車 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組、BS)、6位は8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組、BS)となった。

1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)、次戦からは現行規定では前人未踏の規定いっぱいの100kgのウエイトハンデを搭載
36号車 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組、BS)
GT500の結果(暫定結果)
順位号車車両ドライバータイヤハンデ(kg)周回時間
112カルソニック IMPUL GT-R安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラBS14661:51'53.223
217KEIHIN NSX CONCEPT-GT塚越広大/小暮卓史BS10661:52'18.647
3100RAYBRIG NSX CONCEPT-GT山本尚貴/伊沢拓也BS4661:52'21.873
41MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI84661:52'22.163
536au TOM'S RC F伊藤大輔/ニック・キャシディBS22661:52'24.054
68ARTA NSX CONCEPT-GT松浦孝亮/野尻智紀BS10661:52'29.953
738ZENT CERUMO RC F立川祐路/石浦宏明BS32661:52'39.060
839DENSO KOBELCO SARD RC Fヘイキ・コバライネン/平手晃平BS68661:52'42.240
96WAKO’S 4CR RC F大嶋和也/アンドレア・カルダレッリBS46661:52'48.533
1019WedsSport ADVAN RC F関口雄飛/国本雄資YH22661:53'26.444
1164Epson NSX CONCEPT-GT中嶋大祐/ベルトラン・バゲットDL2641:51'56.460
1237KeePer TOM'S RC Fジェームス・ロシター/平川亮BS60591:52'52.064
R46S Road CRAFTSPORTS GT-R本山哲/千代勝正MI30341:02'37.104
R24フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R佐々木大樹/柳田真孝YH441151'51.596
R15ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT武藤英紀/オリバー・ターベイBS8101:45'22.664

GT300は、ポールスタートの55号車 ARTA BMW M6 GT3がアウディの追い上げを0.106秒差で振り切って優勝

 GT300のスタートも、GT500と同じように多くの車両が予選順位どおりに入っていく静かなスタートになった。序盤にレースを盛り上げたのは31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組、BS)。予選6位からスタートした31号車は予選5位の4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)をストレートでオーバテイクするなどの速さを見せ前を追いかけた。

 また、その前を行く、予選4位からスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)も、予選3位からスタートした51号車 JMS LMcorsa 488 GT3(都筑晶裕/新田守男組、YH)を抜くなどして、序盤ではそうした順位変動が起きた。

GT300のスタートシーン

 しかし、レースを最初から最後まで支配したのは、ポールポジションからスタートした55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組、BS)と2位からスタートした21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組、DL)の2台。この2台はいずれも序盤で3位に浮上した61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTを引き離しマッチレースを展開した。ストレートで何度も21号車が55号車に対して追い抜きをかけるが、抜くまでには至らずテンションの高いレースが展開された。

GT300で優勝した55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組、BS)
2位の21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組、DL)
3位に入った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)

 ピットストップが終わってみると、55号車が2位の21号車に対して5秒近い差をつけてトップ、その2台に3位の61号車が2~3秒差で続くという展開になった。そのまま終了かと思われたレース終盤、21号車が徐々にトップの55号車との差を縮め始めた。とうとう最終ラップにはテールツーノーズになり、そのままゴールに向かって両車は激しい競争を続けた。結局最終ラップでの激しい追い上げをしのぎきり、フィニッシュラインではわずか0.106秒という差で55号車が逃げ切りトップでゴールした。2位は21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSで今季初表彰台、3位はSUBARU BRZ R&D SPORTで前戦スポーツランドSUGOのレースに次いで2戦連続の表彰台となった。

GT300のトップ争いは最終ラップまでテールツーノーズで続いた。最終的には0.106秒差でゴール

以下4位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/平峰一貴選手、YH)、5位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGとなった。

GT300の結果(暫定結果)
順位号車車両名ドライバータイヤハンデ(kg)周回タイム
155ARTA BMW M6 GT3高木真一/小林崇志BS32621:52'46.623
221Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/藤井誠暢DL16621:52'46.729
361SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL22621:52'57.385
488マネパ ランボルギーニ GT3織戸学/平峰一貴YH14621:53'15.571
54グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH38621:53'15.577
63B-MAX NDDP GT-R星野一樹/ヤン・マーデンボローYH54621:53'19.836
711GAINER TANAX AMG GT3平中克幸/ビヨン・ビルドハイムDL32621:53'30.391
826TAISAN SARD FJ AUDI R8密山祥吾/元嶋佑弥YH-611:51'55.070
90GAINER TANAX GT-Rアンドレ・クート/富田竜一郎DL18611:51'58.168
1018UPGARAGE BANDOH 86中山友貴/山田真之亮YH22611:52'02.224
1151JMS LMcorsa 488 GT3都筑晶裕/新田守男YH26611:52'07.577
1248DIJON Racing GT-R高星明誠/青木孝行YH2611:52'22.990
1325VivaC 86 MC土屋武士/松井孝允YH66611:52'23.865
145マッハ車検 MC86山下潤一郎/影山正美YH-611:53'12.440
1530TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH4611:53'13.851
1650ODYSSEY SLS安岡秀徒/久保凜太郎YH-611:53'14.087
1760SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田章/吉本大樹YH-611:53'17.173
1863DIRECTION 108 HURACANエイドリアン・ザウグ/横溝直輝YH-611:53'27.974
1987triple a ランボルギーニ GT3細川慎弥/佐藤公哉YH6611:53'29.315
207Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒聖治YH24601:52'17.864
219GULF NAC PORSCHE 911阪口良平/吉田広樹YH-591:52'09.393
22111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT植田正幸/鶴田和弥YH-591:52'44.065
2365LEON CVSTOS AMG-GT黒澤治樹/蒲生尚弥YH40561:43'46.265
2433Excellence Porsche山野直也/坂本祐也YH-531:52'02.633
2531TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/中山雄一BS40461:52'24.416
R2シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH-2553'05.271
R22アールキューズ SLS AMG GT3和田久/城内政樹YH-1526'27.867
R360RUNUP Group&DOES GT-R柴田優作/田中篤YH-1046'43.742