ニュース
【SUPER GT第7戦タイ】予選結果。GT500ポールは19号車 WedsSport ADVAN RC Fが獲得
GT500デビューの牧野任祐選手は15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTで予選2位
2016年10月8日 20:49
- 2016年10月8日~9日 開催
「2016 AUTOBACS SUPER GT Round7 BURIRAM SUPER GT RACE」(以下、SUPER GT第7戦タイ)が、タイのブリーラム市内にあるチャン・インターナショナル・サーキットで10月8日~10月9日の2日間で開催されている。今年で3回目になるチャン・インターナショナル・サーキットでのタイにおけるSUPER GTのレースだが、3回目とあってすっかり現地に定着しており、昼に行なわれたピットウォークでは多くの観客が詰めかけるなど熱心なファンで賑わっていた。
GT500は19号車 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組、YH)が同チームとしては初めてポールポジションを獲得した。そしてこの日のもう1組のヒーローは、予選2位になった15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組、BS)だ。牧野選手はこのレースがデビューレースだが、この日のフリー走行で初めてGT500車両に乗りわずか20周しただけという厳しい条件の中で予選2位のタイムを出しており、大きな注目を集めた。
GT300は25号車 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組、YH)が、今シーズン3回目のポールポジションを獲得した。今シーズンの同車はポールポジションの獲得はあるが優勝はまだなく、明日のレースでは今シーズン初優勝を目指して戦うことになる。
GT500、ポールは19号車 WedsSport ADVAN RC Fが獲得。2位に入った15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの牧野選手に注目が集まる
熱帯気候のタイでの開催ということで、温度や路面温度が高いことが予想されていたのだが、気温は30℃、路面温度38℃、湿度62%とタイにしては涼しい気候になった。しかも、予選前には雨が降りそうな天気に変化。サーキットからも確認できるような近さで雨が降っていたのだが、結局レース終了まで雨は降ってこずドライ路面での予選となった。
GT500の予選1回目(Q1)は15台のうち、8台がQ2に進めるノックアウト予選として行なわれた。降雨が予想されたものの、チーム側は雨は降ってこないと読んでいたようで、最初の5分はすべてのクルマがピットにとどまっていた。残り10分の段階で、横浜ゴム勢の2台(19号車 WedsSport ADVAN RC F 関口雄飛/国本雄資組、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R 佐々木大樹/柳田真孝組)が真っ先にコースに飛び出すと、残りのクルマも徐々にコースへと飛び出していった。
Q1でトップタイムをマークしたのは6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)。この時点でのコースレコードとなる1'24.462を大嶋和也がマークし、1位でQ1を通過した。Q1のハイライトは残り1分の段階で、15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組、BS)がセクター1で6号車のタイムを上回る速さで走り、そのまま行けばタイム更新かと思われたが、コースの後半でスピンして、タイム更新ならず。それでもそれ以前に7位のタイムをマークしており、予選Q2へ進むことができた。
選手権上位の3台である1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MH)、38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組、BS)、39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)などはいずれもQ1で脱落になった。
Q1の上位8台が進出したQ2は、僅差の戦いになった。コース上だけでなく、ピットロードでも熱い戦いが行なわれており、64号車 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット、DL)の前に、突然46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)が飛び出して危うく衝突寸前になるなどのトラブルも発生していた。
そうした波乱の予選でコースレコードとなる1'24.307をマークしてポールポジションを獲得したのは、19号車 WedsSport ADVAN RC F。この大会の2週間前に行なわれたスポーツランドSUGOのスーパーフォーミュラのレースで、大活躍を見せた関口雄飛選手の活躍はこのレースでも続いており、これまで優勝も、ポールもなかったLEXUS TEAM WedsSport BANDOHチームにうれしい初ポールポジションをもたらした。この日の朝に行われたフリー走行でも、横浜ゴムのアドバンレーシングタイヤを装着する19号車と24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがワンツーで終えており、このサーキットとの相性はかなりよさそうだ。
これに続いて、この日のもう1人のヒーローとなったのは、15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTをQ2で2位に導いた牧野任祐選手。牧野選手は、オリバー・ターベイ選手に替わってGT500のドライバーとして抜擢された19歳の新鋭。昨年のFIAーF4レースでシリーズ2位になり、今年は全日本F3選手権に参戦し、ホンダの若手ドライバーの中では最上位の結果をもたらしたホンダ期待の若手だ。ターベイ選手が、今週末に開幕を迎えるFormula-Eに集中したいということもあり、牧野選手が急遽抜擢されることになった。
牧野選手は、このレースの練習走行の時間までGT500の車両を走らせたこともなく、かつチャン・インターナショナル・サーキットを走るのは初めて。そんな環境で練習走行で20周程度を走っただけで、いきなり予選Q2を任されることになり、その大きな期待に応えて、トップとわず0.033秒差の予選2位という素晴らしい結果を出した。これにより、15号車は明日予選2位からスタートすることになるため、初出場、初優勝というプロフェッショナルなGT500のシリーズでは滅多に起きないような偉業も十分有りそうな雲行きだ。
3位はGT-R勢としては最上位となる12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、BS)、4位は8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組、BS)、5位は46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)となった。
GT500の予選結果
順位 | カーナンバー | 車両 | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | WedsSport ADVAN RC F | 関口雄飛/国本雄資 | YH | 40 | 1'24.789 | 1'24.307 |
2 | 15 | ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT | 武藤英紀/牧野任祐 | BS | 10 | 1'24.872 | 1'24.340 |
3 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | 安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | BS | 56 | 1'24.906 | 1'24.446 |
4 | 8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | 松浦孝亮/野尻智紀 | BS | 26 | 1'24.585 | 1'24.483 |
5 | 46 | S Road CRAFTSPORTS GT-R | 本山哲/千代勝正 | MI | 56 | 1'24.835 | 1'24.593 |
6 | 6 | WAKO’S 4CR RC F | 大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ | BS | 70 | 1'24.462 | 1'24.809 |
7 | 37 | KeePer TOM'S RC F | ジェームス・ロシター/平川亮 | BS | 60 | 1'24.784 | 1'24.937 |
8 | 64 | Epson NSX CONCEPT-GT | 中嶋大祐/ベルトラン・バゲット | DL | 2 | 1'24.802 | 1'24.968 |
9 | 17 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT | 塚越広大/小暮卓史 | BS | 44 | 1'24.985 | - |
10 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | ヘイキ・コバライネン/平手晃平 | BS | 82 | 1'25.117 | - |
11 | 38 | ZENT CERUMO RC F | 立川祐路/石浦宏明 | BS | 90 | 1'25.140 | - |
12 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 山本尚貴/伊沢拓也 | BS | 36 | 1'25.256 | - |
13 | 24 | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R | 佐々木大樹/柳田真孝 | YH | 44 | 1'25.339 | - |
14 | 1 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田次生/ロニー・クインタレッリ | MI | 100 | 1'25.455 | - |
15 | 36 | au TOM'S RC F | 伊藤大輔/ニック・キャシディ | BS | 70 | 1'25.560 | - |
GT300、25号車 VivaC 86 MCが3回目のポール。2位にはQ1落ちの危機から這い上がった3号車 B-MAX NDDP GT-R
GT300の予選はスタート時から波乱含みとなった。好調のJAF-GT300勢の中で、ポイントが取れていないため軽量で今回の優勝候補の一角にもあげられていた2号車 シンティアム・アップル・ロータス(高橋一穂/加藤寛規組、YH)が、フリー走行での接触により、アップライトが壊れてしまい、交換パーツがないとのことで、出走できなくなってしまった。交換パーツがないとのことなので、決勝で走れない可能性も高そうだ。
26台(2号車が出走できなかったので実際には25台)の中で14台が予選2回目(Q2)に進める予選1回目(Q1)において、トップタイムをマークしたのは、31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組、BS)の中山雄一選手。この時点でのコースレコードとなる1'32.884をマークしてトップでQ1を通過した。これとは対照的に、やはり優勝候補の一角だと考えられており、2年連続このコースでのレースを制している3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組、YH)はまさかの15位で、Q1落ちが決まった。テレビには予選終了後クルマを降りてがっくりと肩を落とす星野一樹選手が大写しになった。しかし、その後7号車 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー/荒聖治組。YH)がベストタイムをマークした周回で4輪脱輪していたとしてベストタイムが抹消されたため、結局3号車が14位に繰り上がってQ2へ滑り込みで進むことになった。
Q2で圧倒的なトップタイムをマークしたのは、25号車 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組、YH)の松井孝允選手。同僚の土屋選手が「あんなタイムが出されて悔しい」と表現するような驚異的な1'32.102をマークして、見事にポールポジションを獲得した。2番手は、予選Q1落ちをギリギリ免れた3号車のヤン・マーテンボロー選手で、3位は昨年のチャンピオン車0号車 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/富田竜一郎組、DL)で、4位は18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/山田真之亮組、YH)、5位は55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組、BS)となった。
なお、明日のレースはタイ時間15時(日本時間17時)からスタートの予定。日本時間14時スタート予定のF1日本グランプリとは重ならない時間になっており、日本グランプリが終了してから約1時間後にスタートとなる予定だ。
GT300の予選結果
順位 | 号車 | 車両 | ドライバー | タイヤ | ウエイトハンデ(kg) | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | VivaC 86 MC | 土屋武士/松井孝允 | YH | 66 | 1'33.508 | 1'32.102 |
2 | 3 | B-MAX NDDP GT-R | 星野一樹/ヤン・マーデンボロー | YH | 68 | 1'33.803 | 1'32.797 |
3 | 0 | GAINER TANAX GT-R | アンドレ・クート/富田竜一郎 | DL | 48 | 1'33.520 | 1'32.949 |
4 | 18 | UPGARAGE BANDOH 86 | 中山友貴/山田真之亮 | YH | 46 | 1'33.390 | 1'32.981 |
5 | 55 | ARTA BMW M6 GT3 | 高木真一/小林崇志 | BS | 74 | 1'33.290 | 1'33.077 |
6 | 88 | マネパ ランボルギーニ GT3 | 織戸学/平峰一貴 | YH | 36 | 1'33.791 | 1'33.183 |
7 | 11 | GAINER TANAX AMG GT3 | 平中克幸/ビヨン・ビルドハイム | DL | 40 | 1'33.752 | 1'33.200 |
8 | 31 | TOYOTA PRIUS apr GT | 嵯峨宏紀/中山雄一 | BS | 76 | 1'32.884 | 1'33.363 |
9 | 4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口信輝/片岡龍也 | YH | 66 | 1'33.801 | 1'33.672 |
10 | 65 | LEON CVSTOS AMG-GT | 黒澤治樹/蒲生尚弥 | YH | 48 | 1'33.726 | 1'33.781 |
11 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口卓人/山内英輝 | DL | 94 | 1'33.695 | 1'33.810 |
12 | 87 | triple a ランボルギーニ GT3 | 細川慎弥/佐藤公哉 | YH | 6 | 1'33.709 | 1'33.025 |
13 | 63 | DIRECTION 108 HURACAN | エイドリアン・ザウグ/横溝直輝 | YH | - | 1'33.794 | 1'34.364 |
14 | 35 | Arto 86 MC | ナタウッド・チャルンスカワタナ/ピッティ・ビロムパクディ | YH | - | 1'33.736 | 1'36.759 |
15 | 28 | Vattana BMW M6 GT3 | モルガン・ハーバー/チョンサワット・アサワヘム | MH | - | 1'33.889 | - |
16 | 7 | Studie BMW M6 | ヨルグ・ミューラー/荒聖治 | YH | 24 | 1'33.921 | - |
17 | 51 | JMS LMcorsa 488 GT3 | 都筑晶裕/新田守男 | YH | 26 | 1'34.038 | - |
18 | 9 | GULF NAC PORSCHE 911 | 阪口良平/吉田広樹 | YH | - | 1'34.042 | - |
19 | 30 | TOYOTA PRIUS apr GT | 永井宏明/佐々木孝太 | YH | 4 | 1'34.106 | - |
20 | 21 | Hitotsuyama Audi R8 LMS | リチャード・ライアン/藤井誠暢 | DL | 58 | 1'34.171 | - |
21 | 33 | Excellence Porsche | 山野直也/ヨルグ・ベルグマイスター | YH | 10 | 1'34.291 | - |
22 | 22 | アールキューズ SLS AMG GT3 | 和田久/城内政樹 | YH | - | 1'35.024 | - |
23 | 111 | エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT | 植田正幸/鶴田和弥 | YH | - | 1'35.390 | - |
24 | 60 | SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 | 飯田章/吉本大樹 | YH | - | 1'35.575 | - |
25 | 50 | ODYSSEY SLS | 安岡秀徒/久保凜太郎 | YH | - | 1'35.638 | - |
- | 2 | シンティアム・アップル・ロータス | 高橋一穂/加藤寛規 | YH | - | ノータイム | - |