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仏ミシュラン、“2030年のル・マン耐久レース”をテーマにした国際デザインコンペ「2017ミシュラン・チャレンジ・デザイン」結果発表

1位は「Infiniti Le Mans 2030」

2016年11月21日(現地時間)発表

「2017ミシュラン・チャレンジ・デザイン」で1位に輝いたTao Ni氏(中国)の「Infiniti Le Mans 2030」

 仏ミシュランは11月21日(現地時間)、自動車の国際デザインコンペ「2017ミシュラン・チャレンジ・デザイン」の入選作品を発表した。

 ミシュラン・チャレンジ・デザインは2001年から開催されているデザインコンペで、ル・マン24時間レースのプロモーターであり主催者であるACO(フランス西部自動車クラブ)と共同で実施。自動車メーカーのデザインリーダーが審査員を務めていることもあり、「最も権威ある世界的なデザイン・コンペティションの1つ」に位置付けられている。

 2016年は「ル・マン2030:勝利へのデザイン」がテーマ。世界80カ国から1600点以上の応募があり、その中からオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、チェコ、インド、ポルトガル、ロシアなどの個人やデザイナー・チームが手掛けた作品10点を選出。1位にはTao Ni氏(中国)の「Infiniti Le Mans 2030」が選ばれている。

2位はDaniel Bacelar Pereira氏(ポルトガル)の「Bentley 9 Plus Michelin Battery Slick」
3位はKurt Scanlan氏(カナダ)の「Cierzo C1」

 今回のミシュラン・チャレンジ・デザインについて、ACO会長であるピエール・フィオン氏は「クルマの性能を試される伝統あるル・マン24時間レースは、最大の技術革新の場となっています。ミシュラン・チャレンジ・デザインは、ル・マン24時間レースの重要なパートナーの1つであるミシュランと共に推進している革新的プロセスに合致するものです。2030年のル・マン24時間レースに出走するクルマを占うという意味でも、応募作品のクオリティを見れば、審査が難航したことは容易に想像できます」とコメント。

 また、北米ミシュランの直需マーケティング副社長であるトム・ローチ氏は、「2030年のル・マン耐久レースをテーマとした2017ミシュラン・チャレンジ・デザインの入選作品には、革新的な特長が数多くみられ、参加作品のクオリティには目を見張るものがありました。受賞者の皆さんが耐久自動車レースの世界最高峰、ル・マン24時間のために作り上げた、魅力的で示唆に富むデザインを高く評価します」と述べている。

Michelin Challenge Design(5分29秒)

審査員コメント

Chris Chapman氏(ヒュンダイアメリカ・テクニカルセンター)

「数年前に審査員を務めた時と比較して、作品の質が一段と向上しています。このコンペティションは世界から注目を集めています」

永島譲二氏(BMWグループ・デザイン)

「作品のクオリティに大変驚きました。平均レベルそのものが非常に高くなっています」

Tom Peters氏(ゼネラルモーターズ)

「作品の創造性には驚異的なものがあります。クオリティのレベル、発想、テクノロジーの理解と解釈、そしてデザインの美しさをどのようにまとめるか。それが世界中から集まってくるところがル・マンたる所以なのです」

Gilles Vidal氏(PSA・プジョー・シトロエン)

「初めて審査員として参加しましたが、とても素晴らしかったです。才能のレベルが非常に高く、心から感銘を受けました。ハイレベルな専門技術と創造性、思考を備えた実に見事な作品が40~50点ありました」

Craig Metros氏(フォード・モーター)

「多くのデザインで包括的なアプローチが取られていました。車両からレーシングスーツ、レースの様子やグラフィクスまでを含めてストーリーを紡いでいます。単なるレースカーだけにとどまりません」

Bertrand Barre氏(グループ・ゼブラ)

「非常に素晴らしかったです。作品は丹念に作られ、感動的に仕上がっています。テーマは難解でしたが、レースを本当の意味で再考した一部の作品レベルにとても驚いています。意欲的です」

Dave Marek氏(ホンダR&Dアメリカズ)

「ミシュラン・チャレンジ・デザインでは、自動車にまつわる特定のテーマについて世界的な動向をうかがい知ることができます。作品の多くがレースのブランドを向上させる方法を示しつつ、代替的な手法を模索していました。デザインコンペの本質には人的側面も含まれます。ドライビングの楽しさは決してなくなりません」

Richard Plavetich氏(日産デザインアメリカ)

「応募作品の良いところは、長い説明は一切せず、イメージにストーリーを語らせていることです」

Stewart Reed氏(審査委員長、アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン)

「今年の応募作品が、これまでで最もクオリティが高く、素晴らしいものだったということは審査員全員が認めるところです。私たちは特出した創造性と芸術性を備えた作品を求めると同時に、車両開発の未来に関わる新しい技術を取り込んだものを、と考えていました。この場合の技術は新素材やシャーシダイナミクス、新しい動力伝達系、軽量構造、空気力学ですが、これらのトピックにすべて触れる提案が多数見受けられました」