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アイシン精機、世界最大級を誇るデザインの祭典「ミラノデザインウィーク2017」出展概要説明会

「自動運転」「コネクテッド」「ゼロエミッション」の取り組みを作品で表現

2017年3月1日 開催

「ミラノデザインウィーク2017」の出展作品を手がけるデザイナーの吉泉聡氏
アイシン精機株式会社 広報部 部長の待田貞徳氏

 アイシングループであるアイシン精機は3月1日、4月4日~9日(現地時間)にイタリア ミラノで開催される世界最大級のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク2017」の出展概要を紹介する説明会を開催した。

 出展概要の紹介の前に、まずアイシン精機 広報部 部長の待田貞徳氏からアイシングループの紹介が行なわれた。アイシングループは自動車部品やエネルギー・環境関連機器を手がける「アイシン精機」、ブレーキローターやタービンハウジングといった鋳鉄部品などを製造する「アイシン高丘」、ブレーキパッドやクーリングファン、各種樹脂成型部品などを手がける「アイシン化工」、オートマチックトランスミッションやナビゲーションシステムを手がける「アイシン・エィ・ダブリュ」、マニュアルトランスミッションやトランスファーを手がける「アイシン・エーアイ」、ブレーキシステムを手がける「アドヴィックス」など主要6社で構成されるサプライヤーグループとなる。

 アイシン精機として自動車メーカー並みの評価体制を持っているのも特徴で、「部品単体ではなく、自動車メーカーおよびユーザーの視点で車両を評価する」ことをポリシーとして、愛知県豊田市の藤岡試験場、北海道中川郡の豊頃試験場、米国ミシガン州のファーラビル・プルービンググラウンドとともに、電磁波がもたらす電子機器への影響、排出ガスがもたらす環境への影響、高温環境下でも製品が作動するかといった世界の特異環境を再現できる試験室を有している。

 グループの主たる得意先はトヨタグループ(2015年度の売上高比率は62.3%)となるが、日産自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、スズキ、フォルクスワーゲン グループ、PSA、ボルボ、BMWとの関わりも深めており、これら自動車メーカー全体での2015年度の売上高比率は34.4%となっている。

アイシングループの沿革
アイシングループ主要6社の事業内容
グループの売上の中心になるのはドライブトレーン関連
グループで世界20カ国、197社のグローバルネットワークを形成
自動車メーカー並みの評価体制を構築する
先端研究機関をグローバルに展開

 そうしたアイシングループの1社であるアイシン精機がミラノデザインウィークに出展を始めたのは2014年から。そもそもミラノデザインウィークへ出展するに至った経緯としては、同社のルーツであるミシン造りにおける“美”へのこだわりが根底にあり、デザインを追求する企業としてミラノデザインウィークに出展し、同社の持つ「発想力」「開発力」「デザイン力」がどう評価されるかチャレンジしたかったからという。

 過去3年間は同社が手掛けるミシン、ベッド、ソファといった住生活にかかわる分野からの出展内容が多かったが、2017年は部品メーカーであることをアピールするべく「自動運転」「コネクテッド」「ゼロエミッション」の3つの技術領域への取り組みを表現する展示を行なう。

会場には2016年のミラノデザインウィークに出展されたミシン「OEKAKI50」が展示されていた
2014年のミラノデザインウィーク出展内容
2015年のミラノデザインウィーク出展内容
2016年のミラノデザインウィーク出展内容
2017年ミラノデザインウィークの出展テーマ

 出展テーマはモビリティの新しい時代を拓き、人とクルマの新たな関係をリードしていくことを目指す「The next frontier in mobility」とし、会場全体をデザイナーの森ひかるさんが手掛けるとともに、デザイナーの吉泉聡氏、デザインエンジニアの吉本英樹氏、映像クリエイターの阿部伸吾氏という3名の外部クリエイターによる作品を展示。アイシン精機社内にも製品デザイナーが存在するが、「外部デザイナーによる表現の仕方から新しいアイデアが出てくるのではないかと期待している」と、待田氏はその起用理由について説明する。作品を作るのが外部クリエイターであることから、事前に同社の取り組みや製品について説明され、そこからテーマに沿った作品作りが行なわれている。

 なお、デザイナーの吉泉聡氏は同社の「自動運転」領域への取り組みを作品を通じて表現。自動運転を実現するためには、“認知”“判断”“操作”を的確に行なうセンサーやコンピュータ、車両を正確に操作するための「車両運動統合制御」が重要な技術であり、同社も「車両運動統合制御」を重要な取り組みの1つと位置付ける。吉泉氏は磁性流体技術を用い、「美しいクルマの動き」を「気配」(液体が張られたプール状のうえを、あたかもクルマが通り過ぎていくようなタイヤの軌跡が出て、さまざまな動きをするというもの)として感じさせることで「車両運動統合制御」を表現するという。

 また、2016年に続いての参画となるデザインエンジニアの吉本英樹氏は「コネクテッド」領域への取り組みを表現。現在、人とクルマ、クルマとインフラ、クルマとクラウドがつながる「コネクテッド」化が進んでいることから、同社はこれまで培ったナビゲーションなどの位置情報技術やドライバーモニターなどの乗員センシング、車体部品の制御技術を組み合わせた「おもてなし」サービスの提供を検討している。この取り組みについて、吉本氏は「繭」のような形状をクルマに見立て、人とクルマの新たな関係性を表現する。

会場と展示スペースについて
出展内容について
展示レイアウト
会場入り口はアイシン精機のシンボルカラーであるブルーを使用
参画クリエイター
会場ではデザイナーの吉泉聡氏の出展作品をダウンサイズしたものを展示。タイヤの軌跡が立体的に現れていた