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鈴鹿サーキット、世界各国のGT3・GT300車両が戦う新レース「鈴鹿10時間耐久レース(仮称)」を2018年8月最終週に開催

賞金総額は1億円。鈴鹿1000kmは2017年が最終開催

2017年3月4日 発表

新レース「鈴鹿10時間耐久レース(仮称)」を発表する株式会社モビリティランド 取締役社長 山下晋氏(左)、SROモータースポーツグループ Founder&CEO ステファン・ラテル氏(右)

 鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドは3月4日、世界各国のGT3・GT300車両が戦う新レース「第47回サマーエンデュランス 鈴鹿10時間耐久レース(仮称)」を2018年8月最終週となる8月23日~26日(決勝開催は26日 日曜日)に開催すると発表した。

 8月の最終週は、伝統的に鈴鹿1000kmレースが開催されてきたが、この鈴鹿10時間耐久レースは鈴鹿1000kmを継承して開催される新レースとなる。ブランパンGTシリーズなど世界各国で活躍するGT3車両、SUPER GTに参戦するGT300車両、スーパー耐久のST-XクラスなどのGT車両が参加するGT世界統一選の位置づけになる。

 この鈴鹿10時間耐久レースの開催に伴い、鈴鹿1000kmレースは2017年8月26日~27日開催のSUPER GT第6戦が最終開催となる。鈴鹿におけるSUPER GTはこの鈴鹿1000kmがシーズン唯一の鈴鹿戦となっているが、SUPER GTの鈴鹿戦は鈴鹿10時間耐久レースとは別に開催されることになる。

 この鈴鹿10時間耐久レースについて、ファン感謝デー開催中の鈴鹿サーキットにおいて発表会が開催された。

「まずは魅力的なレースを開催すること」と山下社長

 鈴鹿10時間耐久レース発表会には、モビリティランド 取締役社長 山下晋氏、ブランパンGTシリーズなど各国のGTシリーズを統括するSROモータースポーツグループ Founder&CEO ステファン・ラテル氏が参加。新レースに関する概要を説明した。

 山下社長はこの鈴鹿10時間耐久レースを開催するに至った背景を、鈴鹿1000kmに対する思いから解説。鈴鹿1000kmは鈴鹿サーキットで最も長い開催の歴史を持つレースであり、歴史の中ではオイルショックによる中止、東日本大震災によるレースフォーマットの短縮などあったものの、鈴鹿サーキットにとって大変思い入れのあるレースだという。

 そのレースは46年以上前に始まり、当初はさまざまな車両が混走していたものの、現在はSUPER GTの1戦となり、GT500、GT300という車両のレースになっている。1000kmという耐久レースの側面はあるものの、車両の高性能化により「天候に恵まれると、6時間を切る5時間台のレースとして開催されている。2輪の8耐(鈴鹿8時間耐久レース)と比べるとドラマや変化が少ないということが言えなくもないレースになっている」(山下社長)と語り、耐久レースの原点を思い描いた結果、世界中のFIA-GT3車両が参加できる、日本のGT300などが参加できる鈴鹿10時間レースになったという。

 この10時間レースの開催にあたっては、SUPER GTを運営するGTアソシエイション 代表取締役の坂東正明氏に相談。坂東氏からも賛同を得、会場では板東氏のビデオメッセージが流れた。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏。ビデオメッセージで鈴鹿10時間耐久レースへの全面賛同を表明した

「GTアソシエイションは、従来からの目指しているSUPER GTのグローバル化の一環として。このレースがGT300の東南アジア統一戦ともつながるよう、努力と協力をしてまいります。また、2018年から新たな取り組みとなるSUPER GTの鈴鹿ラウンドは、SUPER GTシリーズとしても、ファンの皆さんに新たなる興奮と感動をお届けできるよう、そして、大勢のお客さまにご来場いただけますよう、モビリティランドと一緒に、今後作り上げていきたいと思っております」(GTアソシエイション 板東氏)。

 このビデオが流れあと、来日したSROモータースポーツグループ Founder&CEO ステファン・ラテル氏が発言。「鈴鹿サーキットは歴史的な価値に加えて、そのオーガナイズでヨーロッパ、アジア、アメリカから高い評価を受けている」とし、「鈴鹿10時間レースの発表をできることを光栄に思います」と、鈴鹿サーキットが世界に持つ価値を強調。SROは、鈴鹿10時間耐久レースが価値ある大会に育つよう、世界中のチャンピオンやブランパンGTシリーズのトップチームが参加できるよう協力していくという。

 鈴鹿10時間耐久レースは、10時30分スタート、20時30分ゴールを予定しており、これは「ゴール前2時間程度のナイトレースが見込め、東京や大阪からも日帰りで楽しめる時間」(山下社長)とのこと。賞金はこの種のレースとしては高額な総額1億円を考えているとした。

 オートバイの鈴鹿8時間耐久レースでは、決勝開催に向けてさまざまなサポートレースを用意。8耐レースウィークという形で鈴鹿の街はお祭り気分で盛り上がっていく。

 鈴鹿10時間耐久レースについても、鈴鹿市と話をしており、鈴鹿の住民に迷惑をかけない形で、どう盛り上げていくか検討中とのこと。また、多くの参加台数を確保するには、世界で行なわれるGTレースのスケジュール調整が欠かせないが、それについてラテルCEOは、「来年のスケジュールで、“なんと偶然にも”ブランパンGTシリーズ・アジアが夏に富士スピードウェイで開催される」と語り、富士に参加したチームが鈴鹿10時間耐久レースに参加できるよう、海外からのチームが船や航空機で機材を輸送できるよう協力していく。

 総額1億円という賞金は100万ドルや100万ユーロに達しないため為替状況による増額などは考えているのかという質問もあったが、それについて山下社長は「総額1億円という金額は、今、私が決断できる最大金額」としたうえで、発表した以上、1億円以下になることはないという。ラテルCEOは、「大事なのはイベントのプレステージで、スパであってもそれほどの賞金ではない。この鈴鹿で走るプレステージをもって参加してもらえればと思っています」と、数々の伝説となる戦いを繰り広げてきた鈴鹿のプレステージが世界において高いことを再び強調した。

 また、鈴鹿10時間耐久レースの位置づけについてという質問については、「まずは我々のレースが魅力的なレースになること。世界選手権であることにこだわっていない」(山下社長)と語り、いかに鈴鹿10時間耐久レースが世界にとって、日本にとって、鈴鹿市にとって魅力的なイベントになるか社員で知恵を絞っているという。鈴鹿サーキットのフルグリッドは50台、そのフルグリッドが決勝で埋まり、予選ではそれを超える台数のエントリーがあることを目指しているという。

 数々のドラマが繰り広げられてきた鈴鹿1000kmが2017年で終わるのはさびしいが、鈴鹿10時間耐久レースとして世界最強のGTを争うレースとして生まれ変わるのには期待したい。なお、略称としては、オートバイの鈴鹿8時間耐久レースが“鈴鹿8耐”として親しまれているので、鈴鹿10時間耐久レースは“鈴鹿10時間耐久”または“SUZUKA 10h”にしていきたいとのこと。SUPER GTの鈴鹿戦がどうなるかについては、今年の鈴鹿1000kmまでに発表するとのことだ。

会見終了後がっちり握手。鈴鹿サーキットの世界に対するステータスの高さを活かし、世界中からさまざまなGT車両が集まる鈴鹿10時間耐久レースの成功を期待したい