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トヨタ、米国の先進安全技術研究センター(CSRC)で自動運転やコネクティッドカー向けの技術研究開始
北米にある8つの機関とのパートナーシップ
2017年8月3日 13:07
- 2017年8月2日 発表
トヨタ自動車は8月2日、米国の先進安全技術研究センター(Collaborative Safety Research Center:CSRC)において、新たな研究プロジェクトの内容を発表した。
自動運転やコネクティッドカーといった先進技術の安全性研究に取り組む5カ年計画のプロジェクト「CSRCネクスト」において、北米を代表する8つの研究機関とのパートナーシップの下、11件の研究プロジェクトを新たに立ち上げた。
11件の新たな研究プロジェクト
・危険回避操作時の人間の動作と筋肉の動き(若年層ボランティアによる研究)
・予防安全・衝突安全技術の統合的安全性評価
・衝突回避操作時の乗員姿勢の動的変化
・車載緊急病状検知システム開発に向けた研究
・アダプティブ・ヘッドライト・システムのメリット評価
・通常時・制御時の運転に関する研究 自動運転~手動運転の移行について
・路外逸脱テスト手法の開発
・ドライバー間のコミュニケーション分析「運転時のやりとり」
・周辺環境認識技術および評価指標
・ドライバー間のコミュニケーション理論 社会的インタラクションの強化
・実環境における人間中心の自動運転:全体的認識とパフォーマンス指標
今回の研究プロジェクトでは、先進技術が交通安全に幅広く与える影響や、人間とクルマとの相互の関係について重点的に研究する。
具体的な研究課題として、緊急自動ブレーキなどの予防安全技術と衝突安全技術の統合、人間の感覚に合った先進技術の開発、ドライバーの状態の検知、実際の交通環境における運転データの研究に役立つ分析データの活用などがあるとしている。
CSRCの所長であるチャック・グーラッシュ氏は「自動運転とコネクティッドカーの技術の進化に伴う、交通社会の変容は今始まったばかりである。CSRCは世界に名だたる研究機関と協力し、その研究成果を公表している。CSRCが今回の研究プログラムを通じて、先進的なモビリティ・ソリューションや、安全かつ便利な未来の交通社会の実現に向け、貢献していくことを誇りに思う」とコメントしている。
プロジェクト名 | 内容 | パートナー |
---|---|---|
危険回避操作時の人間の動作と筋肉の動き(若年層ボランティアによる研究) | テストコース上で障害物を急ハンドルや急ブレーキで避ける際の、乗員である大人・子供の応答(挙動および筋肉活動)について定量化する。 | フィラデルフィア小児病院(Children's Hospital of Philadelphia) |
予防安全・衝突安全技術の統合的安全性評価 | 将来の総合安全システム(ISS)導入後の安全に関する残課題を見積もる。ISSは、予防安全技術(車両、歩行者、自転車に対する自動ブレーキや車線維持アシストなど)と衝突安全技術(先進エアバッグ、カーテンシールド・エアバッグ、ルーフ強度、歩行者保護アクティブフードなど)で構成される。 | バージニア工科大学(Virginia Tech) |
衝突回避操作時の乗員姿勢の動的変化 | テストコースにおける緊急自動ブレーキ(AEB)作動時および衝突回避操作時の乗員姿勢の変化について研究する。 | ミシガン大学交通研究所(University of Michigan Transportation Research Institute) |
車載緊急病状検知システム開発に向けた研究 | 不要なノイズに紛らわされることなく、心筋梗塞および心筋虚血の発症を確実に検知・予測する技術の開発を行なう。院内で、あるいは運転中に、心臓病を発症した患者から収集した心電図データを用いて、機械学習モデルとして解析し、運転中の重篤な心臓病の発症を検知・予測する。 | ミシガン大学救命救急研究センター(University of Michigan Center for Integrative Research in Critical Care; MCIRCC) |
アダプティブ・ヘッドライト・システムのメリット評価 | 歩行者や自転車を検知するアダプティブ・ヘッドライト・システムについて、事故被害者の低減という観点で、人間の反応特性や予想される効果を定量化する。ドライバーおよび歩行者/自転車シミュレーターによる研究を活用する。 | アイオワ大学-高度運転シミュレーター(University of Iowa-National Advanced Driving Simulator) |
通常時・制御時の運転に関する研究 自動運転~手動運転の移行について | 人間による運転と自動運転との切り替え時のドライバーの行動に関する有益なデータを分析し、提供する。 | アイオワ大学-高度運転シミュレーター(University of Iowa-National Advanced Driving Simulator) |
路外逸脱テスト手法の開発 | 路外逸脱時の警告・支援制御システムについて、テストコースでの性能評価シナリオおよび手法を開発する。 | インディアナ大学-パーデュー大学インディアナポリス校 交通・予防安全研究所(TASI) (Indiana University-Purdue University Indianapolis, Transportation Active Safety Institute (TASI)) |
ドライバー間のコミュニケーション分析「運転時のやりとり」 | ドライバーが、ほかの道路ユーザー(歩行者やほかの車両など)と実際どのようにコミュニケーションしているかについて、最先端のコンピューター・ビジョン技術を利用して明らかにする。 | マサチューセッツ工科大学エイジラボ(Massachusetts Institute of Technology Age Lab) |
周辺環境認識技術および評価指標 | 視覚センサーにより走行シーンを認識する技術を、機械学習を応用して開発する(車両、歩行者、自転車、道路標識、建物、縁石など)。 | マサチューセッツ工科大学エイジラボ(Massachusetts Institute of Technology Age Lab) |
ドライバー間のコミュニケーション理論 社会的インタラクションの強化 | 交差点でドライバー同士がどのようなコミュニケーションを行なうか、理論的かつ数学的な枠組みを開発し提供する。 | ウィスコンシン大学(University of Wisconsin) |
実環境における人間中心の自動運転 :全体的認識とパフォーマンス指標 | 自動運転と人間による運転(手動運転)との移行に関し、コンピューター予測モデルを開発し提供する。予測モデルには、人間の動的および知覚的行動に由来する要因と、交通シナリオおよび交通環境に由来する要因を含む。 | カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego) |