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渋滞の首都高が楽しくなるクルマ。スバル「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載の新型「レヴォーグ」を試乗してみた

ステアリングアシスト追従能力に感動。8月11日より一般試乗開始

2017年8月11日~20日、26日~27日 開催

六本木ヒルズ ノースタワーで開催されている「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」。「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載「レヴォーグ」を試乗できる

 スバルは六本木ヒルズ(東京都港区六本木)において「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」を8月11日より開催する。これは新型「レヴォーグ」「WRX S4」に搭載した先進安全運転支援技術「アイサイト・ツーリングアシスト」を首都高速道路の試乗によって体感できるというもの。期間は8月11日~20日、26日~27日で、試乗の申し込みは「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」から行なう。20日までの試乗についてはすでに募集が締め切られているが、当日空き枠があれば現地での試乗申し込みも可能だ。平日については、試乗できる機会があるかもしれない。

 一般試乗は8月11日より始まるが、その前日となる10日に報道向け体験会が開催されたので、その模様をお届けする。Car Watchとしては一般試乗会と同様のコースを選択したので、実際に試乗会に行くことができる人は事前情報として、東京に立ち寄る時間がない人は、参考情報としてもらえれば幸いだ。

六本木ヒルズに発売したばかりの「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載「レヴォーグ」試乗車を用意

六本木ヒルズ ノースタワーで開催
平日であれば当日試乗枠があるかもとのこと
アイサイト・ツーリングアシストの動きをイメージ
印象深い120km/h対応
アイサイト・ツーリングアシストの説明パネル
このようなテスト掲示がされていた
STI Sportバージョンのレヴォーグ
こちらはWRX S4

 試乗のために向かったのは六本木にある六本木ヒルズ。会社からは日比谷線 六本木駅利用が定番のコースなので、日比谷線を下りて六本木ヒルズの定番出口としている1c出口へ向かう。1c出口はメトロハット経由で六本木ヒルズのメインタワーである森タワーに行ける出口で自分としては近道をしたつもりだった。しかしながら「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」の会場は六本木通りに面したノースタワーにあり1b出口が最寄りの出口になる。

 ノースタワー前面がイベント会場となっており、そこには新型レヴォーグやWRX S4が飾られている。一般公開日にはスバルスターズによるガイド・プレゼンテーションも実施されるとのことで、技術説明展示と合わせて楽しめるようになるはずだ。

 アイサイト・ツーリングアシスト搭載レヴォーグの試乗コースは、大渋滞の首都高。この日はお盆休み前の5・10日ということで、激混みとなっていた。通常ならば、このような渋滞は試乗コースにまったく向かないのだが、渋滞時も完全追従・全速でステアリング操作も行なってくれるアイサイト・ツーリングアシストには絶好のシチュエーションだ。渋滞を見ながら心がウキウキしてくるのは、なんだかおかしな気分だと思った。

 記者はアイサイト・ツーリングアシストを搭載したプロトタイプに乗ったことがあり、その模様は関連記事(劇的進化を遂げたスバルの安全運転支援技術「アイサイト・ツーリングアシスト」を完全理解)で紹介したとおり。このときはテストコースの外周路だったので、完全なリアルワールドでの試乗は初めての機会になる。スバルスタッフによると、レヴォーグの試乗車が一般ディーラーに用意されるのもお盆明けとなるため、8月11日からの試乗は日本でも最速の試乗機会になるとのことだ。

 試乗コースは、先述したように首都高になる。都心環状線(C1)内回りに飯倉から乗り、浜崎橋JCT(ジャンクション)を羽田方面に向かい、レインボーブリッジへ。有明JCTを東に向かい辰巳JCTで9号深川線へ。福住で下りてすぐにUターンして折り返し、飯倉で下りるというものだ。一般試乗ではこのうち、往路の六本木~辰巳PA(パーキングエリア)までと、復路の芝浦PA~六本木まではスバル側のスタッフが運転する。往路でアイサイト・ツーリングアシストの操作方法を説明してくれるほか、慣れない都内の一般道の万が一を避けるためだ。記者はアイサイト・ツーリングアシストの操作方法は以前の試乗会でマスターしていたため、往路のスタートは自分で運転することとし、復路の芝浦PA~六本木をスタッフにお任せしてみた。

 受付をすませて、まずはスタート地点となる六本木ヒルズの駐車場に。そこには「アイサイト TOURING ASSIST」と大きく描かれたレヴォーグが。ピュアレッドのレヴォーグに乗り込み飯倉入口へと向かう。アイサイト・ツーリングアシストを搭載しD型となったレヴォーグだが、乗り心地が非常に改善されているのがすぐ分かる。このしなやかな乗り心地を味わいつつ、首都高へ乗り込んだ。

奥にあるピュアレッドのレヴォーグに試乗した
アイサイトユニットはver.3と同じ。ソフトウェアのみでアイサイト・ツーリングアシストを実現している

 C1内回りに入ると、そこはすでに渋滞が発生しており、アイサイト・ツーリングアシストを試すには絶好の状況。ステアリングホイール右側にある操作部のレーンキープスイッチとクルーズスイッチをONにし、SETスイッチを押し下げて追従を開始。SETスイッチを押し下げたときの車速がセットされるので、適宜首都高の制限速度に変更する必要がある。

飯倉から首都高 都心環状線へ
飯倉入口
渋滞がこんなにうれしいとは
アイサイト・ツーリングアシストの操作部

 首都高を走ったことがある人は分かると思うが、首都高では区間によって頻繁に制限速度が変化する。これについては同乗するスタッフが適宜指示をしてくれるとのことで、SETスイッチを上下させて速度設定を変更すればよいだろう。一般的な運転技量があれば、それほど難しくはない作業だ。

 ステアリング操作を行なってくれるレーンキープ、アクセル&ブレーキ操作を行なってくれるクルーズ機能がONになれば、メーターパネル中央にあるマルチインフォメーションディスプレイのレーンキープ表示が緑になり、クルーズ表示が白もしくは緑になる。クルーズ表示の白もしくは緑は、追従すべきクルマがなければ設定速走行の白、追従時は緑となることを示しているが、追従時は別途追従アイコンも現われる。

メーターパネル内にあるマルチインフォメーションディスプレイ。レーンキープ表示(ステアリングマーク)、その左のクルーズ表示(メーターマーク)がいずれも緑になっており、動作していることが分かる
こちらはセンターコンソール上部のMFD(マルチファンクションディスプレイ)。ステアリング表示が連動して回る。面白いとは思うが、個人的には同様な情報が違う形であちこちに表示されるのは……と悩む部分

 こうなった状態であれば、渋滞時にステアリングに軽く手をかけているだけでレヴォーグは車線を認識、もしくは前走車を認識して走って行く。レーンキープのためのステアリングアシスト操作も実にスムーズに行なわれ、ノロノロ運転のC1内回りではまったく介入する必要がなかった。

昨日まではつらかった渋滞が、今日からは楽しくなる。そんな価値感の変化を感じた。まあ、渋滞しない方がよいのだが

 途中、レインボーブリッジ手前のカーブでは1度ステアリング介入が必要だったものの、速度コントロールも無段階変速であるリニアトロニックCVTのおかげで違和感を感じることがない。車間距離設定は、3段階設定の一番近距離となる設定で走行したが、途中ギクシャクした印象はまったく受けなかった。前後方向の速度コントロールであるクルーズ機能は完成の域に達しているといってもよいだろう。

 このアイサイト・ツーリングアシストに搭載された速度制御機構は、0km/h~135km/hまで設定可能となり、実車速で120km/hまでもカバーする。首都高においては宝の持ち腐れ状態だが、新東名での制限速度引き上げ時には大きな力となるだろう。クルマの保有年数が長期化することもあり、これからクルマを購入するうえで、必須の機能になっていくかもしれない。何より数年後にクルマを手放す際に、実質的なメリットとなって還元されることだろう。

 湾岸線に入り少しペースが上がったところで辰巳PAへ。本来の交代場所ということで、いったんここで記念写真を撮った。おそらく一般試乗時もここで写真を撮る人が多いと思うが、必ず歩道から撮っていただきたい。

辰巳PAに入り、駐車場へ
そして、記念写真を1枚。試乗ではここまでにアイサイト・ツーリングアシストの操作を覚える必要がある。分からない部分は運転する前に解決しておこう

辰巳PAからは、アイサイト・ツーリングアシストの実力を楽しめる

辰巳PAを出て福住へと向かう

 辰巳PAを出るときには、左から来るクルマに注意。しっかりと安全確認して9号深川線を福住へと向かう。大抵の場合、福住の先にある箱崎JCTを先頭に渋滞が発生しており、その渋滞に巻き込まれつつの走行となった。福住直前ではカーブ時に渋滞に捕まったが、その渋滞時も先行車を認識し、やはりステアリングアシストを行ないつつ走行。渋滞区間はアイサイト・ツーリングアシストの動きを「へー」とか「ほー」とか分析しつつ走ったため、非常に楽しく過ごすことができた。

 アイサイト ver.2は「ぶつからないクルマ?」のコピーで日本車の安全性能を一気に引き上げたが、アイサイト・ツーリングアシストには「渋滞が楽しくなるクルマ」の称号を与えたい。普段であればイライラするような渋滞も、アイサイト・ツーリングアシストであれば心に余裕をもって楽しめ、この心の余裕が安全にもつながるのは間違いない。そのうえで、イザ!!というときには「ぶつからないクルマ?」の機能を発揮してくれる。アイサイト・ツーリングアシストはレベル2自動運転に分類される機能のため運転責任はドライバーにあるのだが、命を乗せて走るというクルマの運転をしっかりとサポートしてくれるのはありがたい。

渋滞してるね
福住出口手前で渋滞。再びアイサイト・ツーリングアシストの動きを楽しむ
このくらいのカーブであれば余裕で曲がっていく。過信は禁物だけど
福住出口を出て、最初の信号で折り返す
渋滞してるね
福住入口から9号深川線へ

 福住出口で一般道に出たら、すぐにUターン。福住入口から再び首都高に乗った。

 ここからはあまり渋滞していることが少なく、快適な高速運転を楽しめる。とはいえ首都高のこの区間の制限速度は60km/h。60km/hにセットして福住の南にあるカーブの連続区間を走行した。ここでもアイサイト・ツーリングアシストは完璧にと書きたいところだが、1つ目のコーナーのステアリングアシスト機能の入りが遅れ、2つ目のコーナーでは車線を越えそうになったためステアリング操作をオーバーライド(というより、まあ自分で運転しろってことですね)する必要があった。この区間はアスファルトが艦底色のような赤に着色されており、また車線も消えかけている部分があったため、あれこれ苦しかったのだろう。「運転責任は自分」をしっかり言い聞かせ、クルマにサポートしもらってもよいが、クルマに頼った運転はしないようにしよう。

この辺りがステアリングアシストが追いつかなかった部分。普通の舗装色ではないため、厳しかったのかもしれない

 そしてレインボーブリッジを越えて芝浦PAへ。芝浦PAでスバルスタッフに交代する必要があるためだが、この入口は慣れていないと分かりづらい。スタッフの指示に従い、速度を抑えて芝浦PAの駐車場へ。スバルスタッフと運転を交代した。

リアカメラからの映像を映す「スマートリヤビューミラー」。ワゴンボディのレヴォーグには便利なアイテム
記者はステアリングを軽く持つことが多いので、クルマに結構怒られた
湾岸線へと向かう。ここもアシストでクリア
そして渋滞。これが首都高だ
レインボーブリッジへ
間もなく芝浦PA。そしてまた渋滞
いろいろ分かりにくい芝浦PA入口
ここを左へ曲がる。もちろん勝手に曲がってくれないので自分で運転
芝浦PAで運転を交代

 ここからはスバルスタッフの運転で浜崎橋JCTを抜け、飯倉出口へと向かう。この浜崎橋JCTの辺りは車線が消えそうになっていたり、汚れていたりなど車線認識には厳しい状況。アイサイト・ツーリングアシストは片車線のみ認識、前走車のみ認識など認識モードを変更しながら、渋滞追従走行を行なっていく。マルチインフォメーションディスプレイに現われる認識モードをじっくり観察できるのも、運転を代わったからこそで、ここはじっくりアイサイト・ツーリングアシストの動きを見極めてみるのがよいだろう。渋滞のノロノロ運転にもかかわらず、ここでも充実した時間を過ごすことができた。

マルチインフォメーションディスプレイを見ると分かるが、左車線のみと前走車を認識して追従走行
これは前走車のみの追従走行
外はこのような感じ。左車線は車線として描かれていない
スバルスタッフの運転とアイサイト・ツーリングアシストの動作モードを見ているだけでも楽しい

 これらの試乗時間は、渋滞時で全行程約1時間ほど。往路と復路の区間でスバルスタッフが半分ほど運転するので、実質的な試乗距離は半分くらいだろう。しかしながら、アイサイト・ツーリングアシストの機能を知るには充分以上の渋滞イベント(イベントではないが、イベントと捉えるほどの楽しさがある)が発生し、車線の汚さもある。そこをアイサイト・ツーリングアシストがどう解釈し、どうクルマをコントロールするのか体感してみていただきたい。

 すでにアイサイト ver.2やver.3搭載のクルマに乗っている人はその進化に驚くだろうし、初めてアイサイト搭載車に乗る人は現代のクルマがいかに驚嘆すべきレベルに達したか確実に体感できるだろう。そしてこの環境認識を350mmの基線長を持つステレオカメラだけで実現していることに感動していただければと思う。

 なお、改めて書いておくが、この試乗は「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」申し込む必要がある。平日であれば当日枠があるかもとのことなので、期間中に六本木に立ち寄る際はチェックしてみてほしい。また、お盆明けとなる8月21日以降は全国のディーラーに量産車が用意され、試乗車も用意されていく。試乗車については、21日以降にスバルのWeb「ご購入サポート」から検索していただきたい。

写真提供:スバル、首都高走行シーンを車外や車内から