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スバル、ブレーキ検査など完成検査業務で不適切行為。社外チームの調査結果公表

2018年9月28日 発表

株式会社SUBARU 代表取締役社長 中村知美氏

 スバルは9月28日、同社群馬製作所における不適切な完成検査に関して、第三者の社外チーム(長島・大野・常松法律事務所)による調査結果を公表。同報告書により、燃費・排出ガスの抜き取り検査、最終組立工程に続いて実施する全数検査「ライン完成検査」において、公表済みの不正行為に加えて、新たな不適切行為があることが判明した。

 燃費・排出ガスの抜き取り検査に関しては、トレランスエラー時間の書き換え、温度および湿度エラーに関わる測定結果の書き換えなど4つの項目。完成検査業務に関しては、ブレーキ検査における不適切行為、舵角検査における不適切な検査など、6つの項目で不適切行為があると指摘された。

1.燃費・排出ガスの抜き取り検査に関する不適切行為

(1)トレランスエラー時間の書き換え
(2)温度および湿度エラーに関わる測定結果の書き換え
(3)測定端末におけるデータの書き換え等
(4)その他、不適切な測定プロセスの運用

2.燃費・排出ガスの測定以外の完成検査業務に関する不適切行為

(1)ブレーキ検査における不適切行為
(2)舵角検査における不適切な検査
(3)スピードメーター指針誤差の検査における検査方法の違反
(4)サイドスリップ検査における検査方法の違反
(5)ずさんな計測値の記録および管理
(6)その他の問題点・不適切行為

同日に行なわれている記者会見の様子

 完成検査における不適切行為について、同社は「これらは検査の実施方法に関する記録が残らない検査項目であって、事実の把握においては検査員の記憶によるほかなかったため、不適切行為が行なわれていた期間や当該行為の対象となった台数を正確に把握することはできませんでした」としている。

 また、報告書ではこれらの不適切行為が行なわれた理由・動機の原因・背景として「完成検査に係る工程処理能力に対して、過大な業務量が検査員に課されていたこと」「不適切行為を抑止し、早期に察知する内部統制に脆弱さがあり、検査員が容易に不適切行為に及びうる環境が存在したこと」「完成検査業務を担う部門の組織上の特性等を背景に、検査員の規範意識が著しく鈍磨していたこと」「完成検査工程の現状・課題に対する経営陣の認識、及びその改善に向けた関与が十分でなかったこと」が指摘された。

 今回の調査結果について、同社は下記4つの対策を掲げ「具体的事実を挙げて厳しく指摘されたことを極めて重く受け止め、その原因分析、提言に基づいて同社の再発防止策を抜本的に見直し、実効性のある対策を実行します」とした。

1:経営陣による品質保証(完成検査を含む)へのコミットメント強化、その一環として、完成検査部門を製造部門から移管し、検査業務の独立性を確保

2:完成検査プロセスの全面的な分析によるプロセスと業務量の抜本的な見直し

3:検査における不正・不適切行為の抑止・早期発見に向けた内部統制システムの運用の見直し

4:絶対不正に手を染めない強い規範意識の醸成