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日産、“1億円超えのGT-R”「Nissan GT-R50 by Italdesign」を東京 銀座ショールーム「NISSAN CROSSING」で公開

すでに受注好調!? 購入希望の声は「想定していた台数を上まわっています」

2018年10月15日~11月25日 展示

日産自動車とイタルデザインが共同開発したプロトタイプ車「Nissan GT-R50 by Italdesign」と、日産自動車株式会社 専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイサ氏

 日産自動車は10月15日、東京 銀座のブランド発信拠点「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」において、イタルデザインと共同開発したプロトタイプ車「Nissan GT-R50 by Italdesign」を報道陣に公開した。同モデルは10月15日~11月25日の期間に一般公開される。

 Nissan GT-R50 by Italdesignは、7月に開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で世界デビュー。GT-Rとイタルデザインがそれぞれ2019年、2018年に迎える生誕50周年を記念するモデル。現時点ではプロトタイプとなるが、限定生産する可能性を示唆しており、「限定生産最大50台」「価格は約1億1700万円から(90万ユーロを10月15日現在で換算した金額)」とアナウンスされている。

専用のエクステリアを採用するNissan GT-R50 by Italdesign。ボディサイズは4784×1992×1316mm(全長×全幅×全高)。現時点で正式に販売するというアナウンスはないが、販売が決定した暁にはメンテナンスは日産ハイパフォーマンスセンター(GT-Rの特別教育を受けた“GT-Rマイスター”を配置したショールーム)で行なう予定。また、補修部品について、部品によってはイタルデザインが直接ユーザーに届けるサービス(同社では“フライング・ドクター”と呼んでいて、他のモデルでは実施済み)を用意するという
外観の随所にゴールドが配色されるとともに、大型の可変式リアウイングを装着。空力性能ではCピラー後端から走行風を採り入れ、テールランプ奥に用意されるダクトから空気を抜くというギミックを持つ。タイヤはミシュラン「パイロットスーパースポーツ」(フロント:255/35 R21、リア:285/30 R21)、キャリパーはブレンボ製(フロント:6ピストン、リア:4ピストン)

 2018年モデルの「GT-R NISMO」をベースとし、ニスモ製のV型6気筒DOHC 3.8リッターツインターボエンジンはGT3車両用の大容量・大口径ツインターボと大型インタークーラーを装着。耐久性の高いクランクシャフト、ピストン、コネクティングロッド、ベアリングに加え、高流量ピストンオイルジェット、大容量燃料噴射装置を採用し、カムシャフト、イグニションシステム、吸排気システムに改良を施すことで最高出力720PS/7100rpm、最大トルク780Nm/3600-5600rpmを発生する予定。

 エクステリアでは前後にゴールド(エナジェティックシグマゴールド)のパネルを設定するとともに、ボンネット上のパワーバルジ、ドアミラーにもゴールドが配色され、フロントフェンダーの特徴的なエアアウトレットはゴールドカラーの嵌め込みを備えた「サムライブレード」を採用。車両後方には大型の可変式リアウイングを装着するのも特徴になっている。

 また、足まわりでは21インチの専用デザインホイールに、フロントが255/35 R21、リアが285/30 R21というサイズのミシュラン「パイロットスーパースポーツ」を組み合わせる。赤く塗装されたブレンボ製ブレーキはフロント6ピストン、リア4ピストンのキャリパーを採用し、「Bilstein DampTronic」を採用する新開発サスペンションを装備する。

エンジンフードを取り外すと……
ニスモ製のV型6気筒DOHC 3.8リッターツインターボエンジンが出現。最高出力720PS/7100rpm、最大トルク780Nm/3600-5600rpmを発生する予定

 インテリアではセンターコンソール、インパネ、ドアの内張りに2種類のカーボンファイバーを組み合わせ、シート素材には黒いアルカンターラとイタリア製レザーを採用。ハブとスポークをカーボンファイバー製としたフラットボトムデザインの専用ステアリングの表皮にもアルカンターラを用いている。

Nissan GT-R50 by Italdesignのインテリア。「トラック」「スタンダード」という2種類を用意しているとのことで、今回展示されたモデルはトラックバージョン。ステアリング位置は左のみの設定で、右ハンドル仕様の予定は現段階ではないとのこと

購入を希望する声は「想定していた台数を上まわっています」

プレゼンテーションを行なった日産自動車株式会社 専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイサ氏

 10月15日には日産自動車 専務執行役員 グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイサ氏がプレゼンテーションを実施した。

 アルバイサ氏は冒頭、Nissan GT-R50 by Italdesignが誕生した背景について紹介。両社が出会うきっかけとなったのが、2017年のジュネーブショーで公開されたイタルデザインの新ブランド「Italdesign Automobili Speciali」の第1弾モデル「Zerouno」を日産に紹介したことから始まったとし、「なぜスーパーカーを作っていないわれわれ(日産)にこのモデルを見せたのか聞いたところ、『将来的にスペシャルなモデルを一緒に作ろう』」との話があったという。その後、2018年にイタルデザインが、2019年にGT-Rがそれぞれ生誕50周年を迎えることから両者のタッグが2017年4月に決まり、同年11月にはデザインが決定、2018年7月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界初公開された。

 アルバイサ氏は「GT-Rはスーパーカーですが、ランボルギーニのような美しいボディラインを持っているわけではなく、“塊感”のある日本的なモデルです。Nissan GT-R50 by Italdesignをデザインしているときに、GT-Rの角ばっているところやサイズを維持しながらイタリアと日本の融合を図りたかったのです」とベースとなるコンセプトについて述べるとともに、エクステリアではゴールドの加飾や専用エアロ、ワイドなフェンダー、低い車高を特徴とし、「ゴールドの部分がクルマの“ハート、ソウル”を、グレー(ボディカラーのリキッドキネティックグレイ)の部分が“スキン”を表現しています」と紹介を行なった。一方、インテリアについては「トラック」「スタンダード」という2種類が用意されるとのことで、今回公開されたNissan GT-R50 by Italdesignはトラックバージョンになる。

 アルバイサ氏は最後に、「生産台数はまだ決定していません。ただ、大変人気が高く、われわれが想定していた台数を上まわっています」と、購入を希望する声が予想を超えていることを報告してプレゼンテーションを終えている。

 この後、質疑応答が行なわれたのでその模様を記載する。

質疑応答に対応するアルバイサ氏

――ゴールドのカラーリングの意味合いを教えてください。

アルバイサ氏:熱を反射させるという意味だけでなく、Nissan GT-R50 by Italdesignはわれわれの歴史を祝うという意味もあります。そのため今回はアイコニックなカラーリングを用いました。お客さまがクルマを購入するとき、パレットから選んでいただけるようにしようと思っていまして、有名なレーシングカーの歴史を振り返るようなものもありますし、もしくはお客さまに自由にカラーリングを選んでいただいてもいいです。

――内装に「トラック」「スタンダード」があるとのことでしたが、外装でも違いはあるのですか?

アルバイサ氏:いえ、エクステリアに違いはありませんが、ウィングを調整したいという方もいるかと思いますので固定式、調整式(展示されたモデルは調整式)の2種類があります。

――今回公開されたモデルは市販されるものと同じと考えてもよいですか?

アルバイサ氏:エアロが多少変更される程度で、基本的には同じです。グリル、ヘッドライト、ボディ、ウィングなどは同じような形になります。インテリアはビスポークになりますので、形状は同じですが材質などはお客さまの好みによって変えられます。

――エアインテークなど特徴的な形状ですが、具体的な(Cd値の違いなど)数値はありますか? またセイコーウオッチとのコラボモデルのいきさつなどについて教えてください。

アルバイサ氏:エアロダイナミクスについては、具体的な数値はないのですが高性能なモデルになるのでダウンフォースなどの要求はあると思います。クルマの車高が低くなる、幅が広いなどベースモデルと比べてサイズの違いがありますので、これらによって性能は違うと思っています。

 また、セイコーウオッチとのコラボモデルについては、セイコーは日本を代表するブランドだと思っています。セイコーと日産は日本の産業革命を象徴するような企業だと思っていて、ある意味“兄弟・姉妹”とも言えます。なので自然と“何かやろう”と思っていたのですが、セイコーさんから「特別な時計を作りたい」「GT-Rの歴史を一緒に祝福したい」と企画をいただきました。われわれには日本の歴史、日本のモノづくりの関連性があり、彼らと一緒に祝福したいと私自身も思ったのです。

――空力性能は風洞実験などはやっていますか? また右ハンドル仕様は想定されていますか。

アルバイサ氏:イタルデザイン側に計画があればそれを確認いただければと思います。風洞実験は現段階では行なわれていません。また、ステアリング位置についてはNissan GT-R50 by Italdesignは限定50台の生産予定ですので、このような形(左ハンドル)でも運転したいと思えるようなコンフォタブルなドライバーの方に購入いただくことになると思います。