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【SUPER GT 最終戦もてぎ】GT500は、100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)がチャンピオン

山本選手はSFとダブルタイトルを獲得し、スーパーライセンス獲得へ

2018年11月11日 決勝開催

100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)と、同点首位だった1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が激しいチャンピオン争いを繰り広げた。山本尚貴/ジェンソン・バトン組がシリーズチャンピオンに輝いた

 SUPER GT最終戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL」(以下、最終戦もてぎ)が、11月11日~12日の2日間にわたってツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)において開催された。

 13時30分から行なわれたレースのGT500カテゴリーでは、ポールからスタートした8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)がポールトゥーウインで見事優勝した。2台が同点首位で迎えたチャンピオン争いは、予選2位からスタートした100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)が、同点首位だった1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が終盤1秒差で激しく追い上げてくるのを振り切って3位に入り、GT500のドライバータイトルを獲得した。2009年のF1王者のジェンソン・バトン選手にとっては、今年から初参戦してチャレンジしたSUPER GTで初参戦、初戴冠。

3位でゴールし、シリーズチャンピオン獲得を喜ぶジェンソン・バトン選手
高橋国光監督(左)、山本尚貴選手(右)も駆けつけ、チャンピオン獲得を祝う

 そしてチームメイトの山本尚貴選手にとっては、先々週のスーパーフォーミュラ最終戦で獲得したスーパーフォーミュラとのダブルタイトル。スーパーフォーミュラとSUPER GTのダブルタイトルを獲ったドライバーは初めてで、その前身となるフォーミュラ・ニッポンと全日本GT選手権を入れても、本山哲選手(2003年)、リチャード・ライアン選手(2004年)以来となる偉業となった。

 これにより、山本尚貴選手はF1に参戦するのに必要なスーパーライセンス・ポイントを40点として、スーパーライセンスを申請する資格を得ることになった。

スーパーフォーミュラとSUPER GTのダブルタイトルを獲得した山本尚貴選手
速さと強さを見せつけた100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)
決勝戦は本田技研工業株式会社 八郷隆弘社長(中央右)も応援に駆けつけた。第1戦も八郷社長は応援に来ており、いずもNSX-GTが優勝。さらにはチャンピオンを獲得した

スタートから8号車 ARTA NSX-GTがレースをリード、100号車は常に1号車の前を維持する

13時半に決勝スタート。交通安全啓発活動のパレードラップから始まった
R35 GT-Rパトカーと初代NSXパトカーはランデブー走行を行なった
ポールポジションの8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)が序盤からトップを走行した

 GT500のスタートは、全車ほぼ順位どおりでスタートしていった。スタートで飛び出したのは、ポールポジションをとった8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)。8号車は2位の100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)に大きく間を取ってスタートして1コーナーに入っていくことに成功した。3位は64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)で、NSXが1-2-3体制を維持したまま序盤は展開していった。

 その後ろにレクサス勢のトップの38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明、BS)が4位、レクサス勢の2位で同点でチャンピオンを争っている1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)は序盤で予選5位よりスタートした17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)を抜いて5位に上がった。その後、17号車 KEIHIN NSX-GTはボンネットが浮き上がってしまうというトラブルが発生し、ピットインせざるを得なくなって、最後尾に後退してしまった。その後はGT300に詰まる度に差は縮まるが、8号車、100号車、64号車、38号車、1号車のトップ5の順位は変わらずにレースが進行していった。

最終的に2位に入った38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明、BS)。レクサス勢のトップを走行した

 その均衡が破れたのは19周目、トップの8号車 ARTA NSX-GTがピットインし、タイヤ交換と給油を終え35秒の作業時間でピットアウトしていった。その2周後に64号車 Epson Modulo NSX-GT、38号車 ZENT CERUMO LC500が相次いでピットインすると、ランキング1位の100号車と2位の37号車が1位と2位にそれぞれ浮上した。1位と2位の差は23周目に8.2秒と徐々に開いていっている状態。最終的には30周目に100号車が入ったときには、2位の1号車との差は約9秒差でピットに入ると、同時に1号車もピットに入るというランキング1位、2位が同時にピットに入った。

100号車は1号車と同時ピットイン

 両車ともほぼ同じストップ時間でピットアウトしたが、コースに戻ると100号車は64号車の後ろの4位、1号車は19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組、YH)の後ろ8位でコースに入った。100号車は64号車を抜き3位に浮上、1号車も19号車を抜いて7位に上がったが、この状態であれば100号車がチャンピオンという状況になる。

アグレッシブに前を攻め続けたバトン選手、追いすがる1号車を振り切って初戴冠へ

100号車を追走する1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)。抜けばチャンピオンという状況を作り出し、緊張感のあるレースが続いた

 ところがここからが誰もが驚く展開になっていった。ジェンソン・バトン選手が操る100号車 RAYBRIG NSX-GTはそのまま(3位)の状態でもチャンピオンだが、2位を行く38号車 ZENT CERUMO LC500にみるみる迫り、何度かテールツーノーズで何度もコースからは悲鳴のような驚きの声が上がるほどの接近戦で、F1でも見たことがないような、バトン選手のアグレッシブな走りには注目が集まった。そして1号車もその後、36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組、BS)、6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組、BS)、64号車 Epson Modulo NSX-GTを次々にオーバーテイクし、100号車の後ろに迫ってきた。この結果、100号車と1号車、コース上で前を走った方がチャンピオンというレースになった。

 残り10周の段階で、3位100号車と4位1号車の差は約1.7秒。チャンピオン争いはこの3位争いで勝った方がチャンピオンになるという状況に。そしてその後この2台は1秒以内という完全にテールツーノーズでチャンピオン争いが展開されるという、誰がシナリオを書いたのかという状況になり、サーキットは全員が固唾を飲んで見守るという緊迫感のあるレースになった。

 残り5周で、3位を行く100号車と4位を走る1号車の差は0.5秒差と、何かがあれば抜かれるという状況に。だが、最後の最後にはバトン選手が平川選手を1.5秒引き離して最終ラップに入り、そのままバトン選手がドライブする100号車が1号車を約1.5秒引き離して3位に入り、今年から参戦しているバトン選手はもちろんのこと、チームメイトの山本尚貴選手、そしてチーム・クニミツにとっても初めてのチャンピオン獲得となった。山本尚貴選手は2週間前にスーパーフォーミュラのチャンピオンも獲得しており、ダブルタイトルの獲得となった。これにより、山本選手はF1をドライブするためのスーパーライセンスを取得するのに必要なポイントが両カテゴリー合計で40になり、スーパーライセンスを得る資格を得たことになる。

 レースを優勝したのは8号車 ARTA NSX-GTがポールトゥーウインとなった。2位は追い上げた38号車 ZENT CERUMO LC500、3位は100号車 RAYBRIG NSX-GT、4位は1号車 KeePer TOM'S LC500、5位は19号車 WedsSport ADVAN LC500、6位は6号車 WAKO'S 4CR LC500となった。

後半38号車 ZENT CERUMO LC500に追い上げられたが、8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)がポールトゥーウイン
GT500 決勝結果
順位カーナンバーマシンドライバータイヤタイム周回数
18ARTA NSX-GT野尻智紀/伊沢拓也BS1時間31分09秒25253
238ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS1時間31分11秒05853
3100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/ジェンソン・バトンBS1時間31分17秒34853
41KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS1時間31分18秒92453
519WedsSport ADVAN LC500国本雄資/山下健太YH1時間31分32秒42353
66WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィストBS1時間31分44秒94953
723MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI1時間31分45秒41953
839DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉BS1時間31分49秒98353
93CRAFTSPORTS MOTUL GT-R本山哲/千代勝正MI1時間31分50秒05553
1024フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠YH1時間31分53秒71053
1112カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/ヤン・マーデンボローBS1時間31分54秒47853
1264Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL1時間31分57秒11353
1336au TOM'S LC500中嶋一貴/関口雄飛BS1時間32分10秒06353
1416MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH1時間32分16秒77653
1517KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS1時間32分38秒73553
GT500のポイントランキング(シリーズポイントランキング、編集部集計)
順位カーナンバードライバーRd1Rd2Rd3Rd4Rd5Rd6Rd7Rd8合計
1100山本尚貴/ジェンソン・バトン15215-82161178
21平川亮/ニック・キャシディ11411318-20875
48野尻智紀/伊沢拓也-321-101512171
738立川祐路/石浦宏明312384681559
336関口雄飛-86125-15-55
536中嶋一貴--6125-15-47
617塚越広大/小暮卓史21--41325-45
923松田次生/ロニー・クインタレッリ6205-44-443
839ヘイキ・コバライネン-15-20-13342
106大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト86-155-2541
1219国本雄資/山下健太2--112-11632
1112佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー-585-11--29
1339小林可夢偉---20-13327
1424ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠5-2-654123
1516武藤英紀/中嶋大祐1--7-8--16
1639坪井翔-15------15
173本山哲/千代勝正414--3-214
1836ジェームス・ロシター-8------8
1964ベルトラン・バゲット/松浦孝亮--12--1-4