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トヨタの「KINTO」は2つのサービス。36か月愛車にできる「KINTO ONE」と、半年ごとに新車のレクサスになる「KINTO SELECT」

レクサスはES300h、IS300h、RC300h、UX250h、RX450h、NX300hを用意

2019年2月5日 発表

株式会社KINTO 代表取締役社長 小寺信也氏

 トヨタ自動車は2月5日、愛車サブスクリプションサービスを行なう新会社「KINTO(きんと)」設立に関する説明会を同社 名古屋オフィスで開催した。KINTOは2019年1月11日に設立され、代表取締役社長には小寺信也氏(トヨタファイナンシャルサービス株式会社 上級副社長)が就任。株主構成は、トヨタファイナンシャルサービス株式会社66.6%、住友三井オートサービス株式会社33.4%で、説明会には住友三井オートサービス 常務執行役員 小熊浩氏も出席した。

 KINTOが用意するサブスクリプションサービスは、プリウス、カローラ スポーツ、アルファード、ヴェルファイア、クラウンを利用できる「KINTO ONE」と、レクサス ES300h、IS300h、RC300h、UX250h、RX450h、NX300hを利用できる「KINTO SELECT」の2つ。契約期間はいずれも36か月で、KINTO ONEは同じクルマを、KINTO SELECTは6車種のレクサスを6か月ごとに乗っていく。つまり、レクサスは半年ごとに新車に乗ることになる。価格は、「KINTO ONE」のプリウスが月額4万9788円から、「KINTO SELECT」は月額19万4400円になる。

 小寺社長によると、この価格には車両代、登録時の諸費用/税金、メンテナンス、任意保険、自動車税がすべて含まれている。サービスは、「KINTO SELECT」は2月6日から、「KINTO ONE」は3月1日から東京都内のトヨタ販売店およびレクサス販売店(一部販売店を除く)でトライアルが始まり、夏以降両サービスを全国に展開していくという。また、秋にはサービスの対象車種を拡大していく。

 つまりKINTOサービス以外の費用については、「ガソリン代、駐車場代くらい。極力それ以外の出費などはないようにしたい」(小寺社長)とのこと。ただし、スタッドレスタイヤなどの特殊な装備、チェーンなど必須とも言える装備については「検討しきれていない」という。東京地区では問題になることは少ないが、全国展開の際にメニュー化されていくだろう。

 任意保険は、対人・対物が無制限、人身傷害が5000万円、車両保険が付帯して免責は5万円。ドライバーには制限がかかっておらず、18歳の免許取り立てでも、KINTOの価格に違いはない。「KINTO ONE」は個人を対象とし、「KINTO SELECT」は事業主なども対象。「KINTO SELECT」の価格を会社の経費として落とすことも可能になる。走行距離にはいずれも制限がかかっており、月の走行距離が1500kmまで。過走行になった場合は、別料金が発生する。

 小寺社長は、このKINTOのサービスの特徴的な点としてポイント制度を導入することが挙げられるという。KINTOの車両は、最低価格のプリウスを除きすべてカーナビを装備し、DCMを装備する。このDCMからのデータを、トヨタの「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」とやり取り。利用者の走行が把握でき(もちろん契約には利用者の承認も含まれている)、安全運転やエコ運転、メンテナンス履歴をポイント化。そのポイントを支払いに充てたりでき、安全に運転すれば利用価格が安くなる。安全運転やエコ運転に明確なインセンティブが働くことになる。

 また、海外勤務や免許返納ではキャンセル料が発生せず、途中解約が可能。頭金も不要なため、気軽に始めやすいサービスにしている。

 このように気軽に始めやすいサービスにしたのは、「クルマを買うのは今でも普通の人にとっても一大事。家族と相談する、両親と相談する。そこから資金計画を立てて、販売店に行って、今乗っているクルマを買い取り業者に持っていくのかどうするのか」というさまざまなステップがあるといい、このことの大変さから、「もっと簡単にクルマと付き合える方法はないのだろうか」と考えて作り上げたのがKINTOというサービスになる。

 KINTOは、「インターネットで好きなクルマを調べて、携帯電話を月々の利用料で使うように、クルマを月々で利用する」ことを念頭に設計。Webサイト「KINTO」から手軽に申し込め、料金が明確で値引き交渉も不要。そのための時間を節約できる。

「3年後、KINTOで利用したクルマが気に入った場合に買い取ることができるか?」という質問に対しては、「できない」(小寺社長)とのこと。36か月経過時は、KINTOで次のクルマに乗るなり、そこでクルマを別途購入するなり、もしくはクルマを降りるなりという選択肢が用意されている。

 気になるのは、これでトヨタは利益が上がるのかどうかということ。とくにディーラーにとってクルマの販売台数は基本的な収益のベースとなるので、KINTOのサービスと食い合いが起きないかという点について質問が飛んだ。

 小寺社長は、「通常の販売とKINTOが競合するかどうかは、お客さまの選択。お客さまの選択肢が増えるのはよいこと」という。販売店に対しても説明はしており、当初はなかなか理解されなかったが、現在は販売店側からの提案も出ているという。トヨタは、「販売店さんと組んでのモビリティカンパニーになります。将来的にさまざまな業種がこの分野に入ったときに、われわれに販売店があるのが強みになる」とし、そのようなリース設計は行なわれているのだろう。

 KINTOのクルマは、販売店から法人向けにリース業を行なう住友三井オートサービスが購入。それをKINTOユーザーにリースし、KINTOのサービス料金で収入を上げていく。販売店にとってもクルマの販売台数増につながるし、メンテナンス代もKINTOから支払われる。事務手続きの簡易化も進めば、さまざまなメリットが出てくるだろう。

 いずれにしろ、まずは東京地区で開始し、その知見を反映してサービスを全国展開していく。KINTOは、若い人、転勤などがある働く人、そして免許返納が近い人へ配慮したサービス体系としており、クルマを購入するハードルを下げるサービスであるのは間違いないだろう。詳細は、2月6日からサービスインするKINTOのWebサイトを確認していただきたい。