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ボルボ・カーズ、2020年以降全ボルボ車の最高速を180km/hに制限

死亡者または重傷者をゼロにすることを目指す「Vision 2020」の取り組み

2019年3月4日(現地時間)発表

ボルボ・カーズは2020年以降すべてのボルボ車の最高速を180km/hに制限する

 ボルボ・カーズは3月4日(現地時間)、2020年以降すべてのボルボ車の最高速を180km/hに制限すると発表した。

 ボルボが掲げる「Vision 2020」では、2020年までに新しいボルボ車に搭乗中の事故における死亡者または重傷者をゼロにすることを目指しているが、技術面だけでは死亡者や重傷者をゼロにできないとして、技術面のみならずドライバーの行動面にも焦点を当てていくという。

 ボルボ・カーズによる研究では、自動車による死亡事故や重傷事故を完全になくすには3つの課題があり、そのうちの大きな要因の1つに自動車の速度超過があるといい、スピードの出し過ぎによる危険性について強く警告している。

 スピードの出し過ぎに関する問題は、一定の速度を超えたときに車両の安全装備やクラッシャブル構造などでは事故の際の死亡や重傷という事態を十分に対処しきれない点にあるという。そのため、ほとんどの西欧諸国で制限速度が設けられているが、毎年何百万人もの人々がスピード違反をしており、米国の国家道路交通安全局(National Highway and Traffic Safety Administration)の交通事故データによると、2017年の米国における全交通死亡事故数の25%が速度超過によるもので、交通事故による死亡者数の最も一般的な要因の1つとなっている。

 また、ボルボは最高速制限とは別に、スマート・スピード・コントロールとジオフェンシング・テクノロジーをどのように組み合わせれば、将来、学校や病院の周辺での速度を自動的に制限できるかについても調査を実施している。

 なお、スピードの出し過ぎと同じくらい明確な問題(そして同じくらい解決が難しい問題)として「飲酒や薬物使用による酩酊」と、“飲酒運転と同じくらい危険なこと”として「注意散漫」を挙げ、3月20日にスウェーデンのイェーテボリで開催される特別なセーフティ・イベントで、飲酒や薬物使用による酩酊や注意散漫の問題に対する提案を発表するとした。

ボルボ・カーズ 代表取締役社長 兼 CEO ホーカン・サムエルソン氏

 ボルボ・カーズ 代表取締役社長 兼 CEOのホーカン・サムエルソン氏は、「ボルボは安全に関するリーダーです。今までも、そしてこれからも。当社の研究により、ボルボ車で死亡事故や重傷事故をなくすためにはどの部分にどんな問題があるかが明らかになりました。速度を制限することですべてを解決できるわけではありませんが、たとえ1つの命でも救うことができれば、それは価値があると言えます。ドライバーの行動を変える技術を自動車に搭載することで、スピードの出し過ぎ、飲酒や薬物使用による酩酊、注意散漫といった問題に取り組む権利や義務が自動車メーカーにあるのかどうかについて議論を進めたいと思います。ボルボがこの問いに対する明確な答えを持っているわけではありませんが、議論の中でリーダーシップを取り、先駆者になるべきだと信じています」とコメントしている。