岩谷産業、純水素型燃料電池を搭載した移動式電源車を開発
「アースデイ東京2009」でデビューし、2011年度に商品化予定

開発した移動式電源車

2009年4月16日発表


移動式電源車と水素トレーラー
 岩谷産業は4月16日、純水素型燃料電池を搭載した移動式電源車を開発したと発表した。

 この電源車は、純水素型燃料電池を利用して発電し、電源供給ができる車両。三菱ふそうトラック・バスの「キャンター」がベースで、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「新利用形態燃料電池標準化等技術開発」の助成により開発した。なお、車両自体はディーゼルエンジンで走行する。

 発電能力は、発電端出力が8.5kW以上、発電効率がLHV基準で45%、起動指令後から1分以内に電力供給が可能で、AC100V、AC200V、DC360Vの同時利用が可能。6畳用家庭用エアコン18台程度、40インチワイド液晶テレビ70台程度、携帯電話約3000台分のフル充電が可能な程度の電力を供給できると言う。発電時の騒音や振動、CO2排出がほとんどないため、屋内やトンネルのような閉ざされた場所、イベントや住宅街での夜間工事、災害時の非常用電源など、広い用途で利用できるとしている。

 発電に利用する水素は、電源車とあわせて開発した水素トレーラーに備蓄し、新開発の水素供給システムで電源車に供給する。水素トレーラーは35MPaの高圧水素タンク9本を搭載しており、100Nm3以上の水素が備蓄可能で、16時間以上の連続運転を実現。また、一般的な配管継手を介して水素容器を接続し、水素の供給も可能。供給源の自動切換も行うため、大型の水素容器や貯蔵設備と併用することでより長時間の連続運転が可能だと言う。

 電源車は、4月18日~19日に東京都の代々木公園で開催される環境イベント「アースデイ東京2009」で初めて使用され、ステージの音響システム用電源を供給する。以降、関西国際空港を中心とするエリアで用途開発を進めると共に、実用化へ向けた改善を行い、2011年度には商品化を目指すとしている。


(編集部:)
2009年 4月 17日