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スバル、新型「レヴォーグ」先行予約開始 3つの基本グレードと「アイサイトX」の有無で6グレード展開

正式発表は10月15日、技術説明パネル掲載

2020年8月20日 先行予約開始

2020年10月15日 発表予定

新型レヴォーグ

 スバルの新型ツーリングワゴン「レヴォーグ」の先行予約が8月20日、全国のスバル販売店で開始される。正式発表予定は10月15日。現行のレヴォーグは、日本専用のスポーツツアラーとして2014年6月に発売。新開発の水平対向4気筒DOHC 1.6リッター直噴ターボ「FB16」、水平対向4気筒DOHC 2.0リッター直噴ターボ「FA20」の2つのエンジンラインアップを備え、ステアリングを自動操舵するEyeSight(ver.3)を初搭載するなど、当時のスバルの技術の粋を詰め込んだクルマとして登場した。

 その後、2017年8月には「アイサイト・ツーリングアシスト」の初搭載や、1.6リッター直噴ターボの実用燃費改善など大幅改良。常にレヴォーグはスバル車の最先端技術、今後のスバル車の象徴となる機能を初搭載するクルマとして進化してきた。

 2020年にフルモデルチェンジして登場する新型レヴォーグは、新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボ「CB18」を搭載。ボディはSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)を初採用。ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)のアイサイトも、新世代「アイサイト」と「アイサイトX」へと進化。エンジンやサスペンション、4WDシステムとの協調制御を行なうドライブモードセレクトやデジタルコクピットも用意され、レベルの違うクルマ作りが行なわれている。本記事では、そんな新型レヴォーグの仕様概要をお届けする。なお、この仕様はプロトタイプ仕様であり、仕様・スペックは参考値となっている。

ステレオカメラを採用するアイサイト

1.8リッターのみというシンプルなラインアップ

 新型レヴォーグに用意されるパワートレーンは1種類。新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボ“DIT”「CB18」は、最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生。排気量は1795ccで、ボア×ストロークは80.6×88.0mm(ボアストローク比約1.09)で圧縮比10.4。無鉛レギュラーガソリン(タンク容量は63L)を用いる。JC08モード燃費は16.6km/L(WLTCモード燃費は13.7km/L)とされており、単純計算での航続可能距離は満タンで約1045.8km。1000kmを超える数字を狙った意図もうかがえるものとなっている。

新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボ“DIT”「CB18」

 現行の1.6リッター FB16が、最高出力125kW(170PS)/4800-5600rpm、最大トルク250Nm(25.5kgfm)/1800-4800rpm、ボア×ストローク78.8×82.0mm(ボアストローク比約1.04)で圧縮比11.0。燃料タンク容量60L、JC08モード燃費16.0km/L(つまり、単純計算の航続距離が996km)。FB16とCB18を比較すると、CB18はよりロングストロークタイプとしてデザインされているのが分かる。低回転域から大トルクを発生するエンジンであり、ロングツーリング性能を兼ね備えていることがうかがえる。

 なお、2.0リッター FA20は、最高出力221kW(300PS)/5600rpm、最大トルク400Nm(40.8kgfm)/2000-4800rpm。ボア×ストロークは2.0リッタースポーツエンジンに採用例がみられる、86.0×86.0mmのスクエアタイプ。JC08モード燃費も無鉛プレミアムガソリンで13.2km/Lと、高出力エンジンらしいデザイン。

 新型レヴォーグでは、現行の1.6リッター レヴォーグを発展させ、効率を上げつつ排気量を上げることで、2.0リッター レヴォーグのスポーツ性も取り込もうとしてデザインされているのが分かる。

 これに組み合わせられるトランスミッションは、新開発のリニアトロニックCVT。約8割の部品を新製しており、レシオカバレージ(変速比幅)も拡大。現行レヴォーグの3.581~0.570(変速比幅 約6.28)から、4.066~0.503(変速比幅 約8.08)へとワイド化している(最終減速比はいずれも3.900)。この新型リニアトロニックCVTは、ショートサイズのいわゆる中容量リニアトロニックタイプとなっている。

3グレード+「アイサイトX」有無のシンプルな構成

 パワートレーンが1種類のため、グレード構成もシンプルなものとなっている。基本グレードは「GT」「GT-H」「STI Sport」の3つ。それに、アイサイトXを標準搭載した、「GT EX」「GT-H EX」「STI Sport EX」があり、計6グレード構成。GT-Hは225/45R18タイヤを履く中心となるグレードで、GTは一部装備を簡素化するとともにタイヤも215/50R17と17インチ化。エントリーグレードとなる。

 STI Sportは、協調制御を行なうドライブモードセレクトが搭載され、Comfort、Normal、Sport、Sport+、Individualが切り替え可能。GTやGT-Hでは従来どおりのSI-DRIVE(2モード[I/S])になる。

 つまり、ドライブモードセレクトが搭載され、後述するアイサイトXが搭載された最先端グレードはSTI Sport EX一択となる。逆にドライブモードセレクトはいらないが(SI-DRIVEは付いている)、アイサイトXを安価に手に入れたいならばGT EXが視野に入ってくる。

 ただ、初期はフルフル装備のSTI Sport EXに人気が集中するのは間違いないだろう。

STI Sport EX 各部写真
GT-H EX 各部写真

新世代アイサイトは、アイサイトとアイサイトX

 今回の新型レヴォーグでは新世代アイサイトが1つの目玉となっているが、スバルはアイサイトの機能を3つに整理してきた。ステレオカメラユニットであるアイサイトのハードウェアはGT、GT-H、STI Sport、GT EX、GT-H EX、STI Sport EXすべて共通で同じ基本性能を持っている。

 この基本性能の部分を「アイサイト コアテクノロジー」「アイサイトセイフティプラス(運転支援テクノロジー)」と整理。アイサイト コアテクノロジーは以下のものから構成される。

アイサイト コアテクノロジー

プリクラッシュブレーキ
前側方プリクラッシュブレーキ
緊急時プリクラッシュステアリング
後退時ブレーキアシスト
AT誤発進抑制制御
AT誤後進抑制制御
ツーリングアシスト
全車速追従機能付クルーズコントロール
定速クルーズコントロール
車線逸脱抑制
車線逸脱警報
ふらつき警報
先行車発進お知らせ機能
青信号お知らせ機能
アイサイトアシストモニター

 上記のように安全に関わる根本機能は、全グレードに搭載される。

 一方、アイサイトセイフティプラスは運転支援テクノロジーと位置づけられるものと、視界拡張テクノロジーと位置づけられるものがあり、運転支援テクノロジーは全グレードに搭載される。

アイサイトセイフティプラス(運転支援テクノロジー) 全グレード搭載

スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)
エマージェンシーレーンキープアシスト
アレイ式アダプティブドライビングビーム

 視界拡張テクノロジーは、アイサイトX搭載グレード(GT EX、GT-H EX、STI Sport EX)に加えて装備されるもので、これはアイサイトX搭載車が後方に加え、前方レーダーも装備することで可能になったものだ。

アイサイトセイフティプラス(視界拡張テクノロジー) GT EX、GT-H EX、STI Sport EXに搭載

デジタルマルチビューモニター(フロント/サイド/リア)
前側方警戒アシスト

 そして、アイサイトX搭載グレードの目玉となるのが、アイサイトXテクノロジー(高度運転支援システム)になる。この高度運転支援システムは、渋滞時ハンズオフアシストなどから構成される。

アイサイトXテクノロジー(高度運転支援システム)

渋滞時ハンズオフアシスト
渋滞時発進アシスト
アクティブレーンチェンジアシスト
カーブ前速度制御
料金所前速度制御
ドライバー異常時対応システム

技術説明パネル
アイサイトX コクピット写真

 また、新型レヴォーグではデジタルコクピットが話題だが、このデジタルコクピットを構成する12.3インチフル液晶メーターは、アイサイトX搭載グレード(GT EX、GT-H EX、STI Sport EX)のみ。デジタルコクピットが欲しければ、アイサイトX搭載グレード(GT EX、GT-H EX、STI Sport EX)を選ぶ必要がある。一方、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイやドライバーモニタリングシステムはオプション装着が可能で、なかなか悩ましいグレード構成となっている。

 それぞれの価格は未発表だが、アイサイトX搭載グレード(GT EX、GT-H EX、STI Sport EX)と非搭載グレードとの価格差は税別35万円とアナウンスされており、これにはナビも含まれることからアイサイトX搭載グレードを購入しやすいような配慮がなされている。

 初期に購入される方は、アイサイトX搭載グレードがターゲットになると思われるので、グレード選択は価格ももちろんだが、ドライブモードセレクトなどの機能をどう評価するのかがポイントとなるだろう。