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SUPER GT 坂東代表、第5戦からお客さまを入れる計画「5000人がマックスになると思う」

2020年8月23日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GT第3戦 鈴鹿が8月22日~23日の2日間にわたって、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されている。23日は決勝レースが行なわれているが、それに先立つ午前中、SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏はによる代表会見が行なわれた。

 板東代表は、「GTAとしてはできるだけ観客を入れたレースをやっていきたい。そのことを関係各所と協力して実現していきたい」と述べ、後半4戦で計画されている有観客レース開催に強い意志を持って取り組んでいくことを強調した。

4輪交換義務付けは第2戦富士だけではない可能性

──それでは冒頭坂東代表より一言。

坂東代表:今回は鈴鹿に場所を変えて第3戦、テストも含めると富士で3回連続で行ない、コロナ対策もチームや関係者一同熟知した形で鈴鹿に来ている。オフィシャルに関してはオーガナイザー管理だが、人任せにならないように自分たちでコントールしながらやっている。なによりも自分たちが自覚を持つことが大事。

 こうした状況が早く収まることを願うとともに、多くのファンを迎え入れる手法を考えていかないといけない。政府の制限で5000人の上限などがあるが、より多くのお客さまに見ていただける環境を作っていきたい。それと同時に今力を入れているTwitterやInstagramなどの取り組みも続け、さまざまな形でより多くの方に見ていただける環境を作り上げていきたい。

──三重県も独自の規制を行なうと発表している。鈴鹿市などの地元自治体との話し合いなどは行なっているのか?

坂東代表:GTAとしては行なっていない。というのも、鈴鹿市はサーキットの街であり、鈴鹿市や三重県などの地元自治体としてはかなり強いパイプを持っているからで、その部分はサーキット側にお任せし、その中で地元自治体と共有できるものは共有している。今回は各チームとも人員を16名から18名に増やしているが、宿泊先での対策やゲートでの検温などの取り組みを行なっており、それらに関してはサーキット経由で地元自治体に報告している。

 また、これまで我々がやってきた独自のガイドラインやロードマップなどはサーキット経由して地元の自治体にお渡ししており、もてぎの第4戦までは同じ体制でやっていく。

──政府の方では9月からイベントには緩和の動きがあるが、4戦までは無観客は決定ということか?

坂東代表:そうだ。

──海外からドライバーが来日する際の規制があるが、GTAとしては国に対して何か働きかけをしているか? また、外国人ドライバーが来日できない場合に、若手にチャンスが与えられることがある、それに対してコメントはあるか?

坂東代表:ご存じのとおり、今回からヘイキ・コバライネン選手が入国でき参加することができるようになった。GTAから法務省に対しては嘆願書の提出を行なっている。だが、スポーツ関係の関係者が海外から入国する場合でも特別扱いされる訳ではなく、8月5日からは特段の事情の場合には入国制限も緩和されると聞いているので、嘆願書を提出するということをしている。ただし、その場合でも向こうから出るときのPCR検査、入国できた場合でも14日間の隔離などに対してはきちんと対処していただいている。今回のコバライネン選手もそうした国が定めたプロセスをきちんと守ってここに至っている。今後徐々に緩和されると思うが、政府の所管に従ってやるということだ。問診票や検温などの我々が定めているプロセスにもしっかり従っていただいて参加してもらう、メカニックに関しても同様の扱いだ。

 そうした外国籍のドライバーが入国できない場合には、若手が代役としてドライバーとして起用されることが多々見られた、FIA F4あがりの若手ドライバーにそうしたチャンスを与えられることは本当に好ましいことだ。しかもそうしたドライバーがきっちり結果を出しており、FIA F4の付加価値があがり、成果が出てきていると考えている。

──第2戦の富士ではタイヤ4本の交換が義務付けられたが、今回はそれが施行されなかった。第2戦でのチームのリアクションや、今回は施行されなかった理由は?

坂東代表:第2戦でそうした規則が施行されたのは、タイヤ開発競争の側面と安全性の側面という2つを考慮した結果だ。タイヤ4本交換義務付けは、タイヤメーカーにも確認を取りながら施行したものだ。そこで安全性の確認は取れた。そして今後はコストや環境のことも考えながらやらないといけない。

 現在は試行錯誤の中で前半戦はみんな300kmという距離の中で、いろいろなものを加味しながらレースを面白くしていく必要がある。そうした取り組みの中で鈴鹿ではそこは自由という規則になっている。

 今後に関しては過度の開発競争が行なわれるなら、それを是正する方向で制限を加えていくことになる。コストの問題なので、金額は我々には分からない。このため、使えるモノを制限する形で是正することになる。ルール上の規則として決めていく必要があり、タイヤ4本交換、持ち込み本数のマーキングなどで対処することになるだろう。

 この間の4本交換義務付けで行なったレースの結果をうけて、スポーツ部会でも話し合い、タイヤメーカーとエントラントで話あった中で、今回意向は義務付けないという形になった。今後は状況を確認しながら技術とプロモーションの観点からこれを考えていきたい。ルールをコロコロ変えるのは好きではない。タイヤメーカーも公式な場では本音は言ってくれず「GTAに従います」としか出てこない。しかし、特にGT300だが、1つのメーカーが勝ち過ぎて、しかもそれが買えないタイヤだというのなら今のままでいいのかという議論は当然出てくる。レースなので公平性はないけど、ルールとしての公正は保つようにしていかなければいけない。

──4輪交換義務付けは富士特有のルールという訳ではない?

坂東代表:そのとおりだ。スポーツ部会としては今後やらないと決定しており、ブリテンも出ている。しかし、私はそれには異議ありと思っている。今後も状況を注視し、環境や距離数などを見ながら考えていかないといけない。

──GT300の予選の方式、A、Bに分けている。小さなサーキットなどで台数が多いことに対する対処として始まったと思うが、今シーズンはずっとその形式だが、基本今シーズンはこのままいくのか?

坂東代表:今の現行としては時間の部分が大きい。サポートレースがないので、より多くの車両が映像として映るような状況が、時間の許す限り合った方がいいと考えてこうなっている。しかし、今後、サポートレースが始まると、状況は変わってくるが、それでも今シーズンはこの形で行きたいと考えている。来季に関しては可能であればそうしていきたいが、さまざまなことを考慮しながら決めていきたい。

有観客のレース実現に向けて強い意志でやっていく、ただしステップバイステップで確実に

──ドライバーと順位を表示するLEDが前戦富士で試験導入され、今回の鈴鹿ではFCYのテストが公式練習後に行なわれた。それについての坂東代表の見解を教えてほしい。

坂東代表:蛍光灯のスイッチ商品を買ったつもりだったんだけど、蛍光灯がつかなくてね……(筆者注;坂東代表のジョーク、品質に対する不満を表現しているのだと思われる)。

 FCYに関しては何度かテストして見たが、メインストレート上では問題なく、設置したアンテナもきちんと動作している。しかし、コースの場所によっては3,2,1(筆者注:FCYが解除されるときにレースコントロールから示される解除までのアナウンス)がきちんと受信できているクルマと若干遅れているクルマがあったりしているが、概ね1秒ぐらいに収まっている。

 今後はオンボードカメラなどをチェックしてそうした細かい部分の調整が必要になる。特に西コースに行ったときに、それがうまくいかないなどの状況も発生しているので、そのあたりは今後調整していく。実際アンテナを10本建てているのだが、それがお客さまが入ったときにどうなるのかそれも今後の課題となる。

 LEDに関しては色はもう少しなんとかならなかったのかと考えている。もうちょっと全部買う前にモノを見てから買えよ……と社内的な手続きについてだが、もう少しまともな色のLEDを調達してほしかったと思っている。ただ、直すとなると買い直しになってしまうので、完成してちゃんと動くとなったら次の年度の予算を使うなどしてお客さまが見やすい状況を作り上げていきたい。

──第5戦からサポートレースをはじめ、お客さまを入れる計画だが青写真は?

坂東代表:ちょっとしょっぱい話なのだが、F4では1チーム4名で30台、合計120名のスタッフを受け入れる形で考えている。富士でこの後、F4の集まりがあるので、SUPER GTのチームと同じように問診票や検温などをやってもらう話をする。すべてはGTAのコントロール下で動かす。また、ダンロップのテストが木金と入るのでその時間なども考えながら行なう。

 お客さまに関しては5000人がマックスになると思う。見に来ていただいて三密を避けるのと、限定で入っていただくとして値段をつり上げる訳にいかないので、チケットの値段をどうするのかなどは今後詰めていく。グリッドウォークやパドックパス、ピットウォークなどに関しては難しく、その中で付加価値をどうやって作っていくかをオーガナイザーと話している状態だ。

──現状、SUPER GTにとってドライバーと同じようにキャストとして活躍してもらっているレースクイーンが参加できていない状況だ。今後の見通しなどがあれば教えてほしい。

坂東代表:繰り返しになるが、現状ゲートのところで検温したりなどをすべてマンパワーでやっている状況。問診票なども処理できるソフトウェアなどがあればいいのだが、それもないので手作業で処理している状況だ。レースクィーンに関しても同じような状況。チームがどこまでコントロールできるのか、結局はその議論だ。ナーナーで入っていただいてというのでは困る。そこは段階的にやっていくしかない。すでにチームと関係者1350名の管理でも、我々のマンパワーではやれる限界に近いなかでやっている。

 GTAとしてはお客さまに入ってきていただいて満足して欲しいとずっと言い続けており、お客さまに来ていただけないことを残念に思っている。しかし、そこはキッチリ対処していかなければならないので、現在の形になっている。レースクィーンの皆さんやスポンサーに対してもそうだ。仮にお客様に入っていただいても、その収入は我々には入ってこないが、やはりGTAとしてはスタンドを満員にしたい。それなのに入っていただけないというのはGTAとしてはとても辛い。が、とにかく継続してスタッフには動いてもらっており、1つ1つコントロールしてやっていきたい。

 昨日だが、たまたま14号車の関係の自動車メーカー(筆者注:トヨタ自動車のこと)の偉い方(筆者注:坂東氏は明言しなかったが豊田章男氏のことだと思われる)が「たまたま」いらっしゃっていてお話しをした。この間の富士にもいらっしゃっていたので、マンパワーでやっててとても辛いという話をして、PCR検査の話などをした。そうした自工会の協力も含めていくつかの方法論をご提案いただいたりしている。スタッフがマンパワーでやっていることを大変だなということを感じていただいたりしていた。そういう方の協力を得ながら、お客さまに来ていただける方策を見つけて行きたい。

 レースクィーンの「みんな」もいろいろ大変だと思うけど、参加できる日が来るように、我々の一員として自己管理をしながら、生活してほしい。

──最後に坂東代表より一言

坂東代表:第1戦、第2戦とたかのこのホテル様に冠スポンサーになっていただいた。お客さまが入っていただけない状況なので、そのことを理解してもらってそのような形を取っていただいた。そして今回の第3戦では同じように藤巻グループさまが名古屋が地元というご縁もあって冠スポンサーになっていただいている。多分もう1戦行なわれるお客さまを入れた形の鈴鹿のレースでもご検討をいただいている。

 もちろんオートバックスさまをはじめとしたシリーズスポンサー各位にご協力をいただいた上でのことだが、本当にご協力いただけることは助かっている。何せ我々はここを借りて支払いをするだけだからだ。そうしたスポンサー各位のご協力により、かなり借り入れの金額を減らすことができている。そうした皆さまに協力していただき、8戦をなんとかやる、そして後半の4戦に関してはお客さまに入っていただく形でなんとかやっていきたい。

 今日のレースも天気も予想されていた雨ではなく、嬉しいところとそうではないところがあると思うが、昨日の予選でGT500のポールポジションがダンロップだったのは本当にびっくりした。ここでは過去に勝ってるとはいえ、伊沢だし(笑)、何か持っているのか(笑)。万が一これがこのまま行ったらとても面白いことになりそうだ。