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トヨタ 豊田章男社長、鈴鹿で各チームを激励 「こういう厳しいときだからこそモータースポーツを続けなければ」

モリゾウとしては、「音とニオイが最高!!」

2020年8月23日 開催

SUPER GT第3戦 鈴鹿に登場したトヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏。背広の豊田社長でもなく、レーシングスーツのモリゾウ選手でもなかったため、記者も気がつくのが遅れた

 SUPER GT第3戦 鈴鹿が8月23日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された。このSUPER GTには、トヨタ自動車 GRスープラ、本田技研工業 NSX-GT、日産自動車 GT-R、スバル BRZなどをベースとしたレーシングカーが出場し、日本でもっとも観客動員数の多いモータースポーツイベントとして知られている。ただ、そんなSUPER GTも、コロナ過の問題で前半戦となる第1戦から第4戦までは無観客で開催。第3戦鈴鹿も無観客で開催された。

 その第3戦鈴鹿の決勝スタート前イベントに、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏がサプライズ参加。豊田章男氏は自身がニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど本格的なレーシングドライバーとしても知られており、その際はモリゾウというドライバーネームを用いている。

 記者は、豊田章男氏が背広を着ているときは豊田社長、レーシングスーツを着ているときはモリゾウ選手と認識しているのだが、スタート前イベントに登場(というか、普通に歩き回っていた)した豊田章男氏はTシャツに黒のトレーニングパンツ、そして運動靴という、社長でも選手でもないスタイル。非常に活動しやすい姿で現われていた。「その姿は、モリゾウ選手ですか? 豊田社長ですか?」と聞いたところ、ちょっと考えて「モリゾウかな、でもいきなり社長になるかもよ(笑)」とコメント。夏の熱い日差しの中、SUPER GTに参戦した各エントラントに対して、声をかけ激励していた。

左から、豊田社長、ホンダ モータースポーツ部長 清水宏氏、ホンダ ブランドコミュニケーション本部長 兼 広報部長 渡辺康治氏。「トヨタとホンダでがんばっていこう!!」とエールを贈っていた
61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTチームとともに記念写真
ARTAの土屋圭市エグゼクティブ・アドバイザーにいきなりあいさつ。土屋さんもびっくり
トムスの舘信秀会長と歩きながらレース談義?
39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraのヘイキ・コバライネン選手、脇阪寿一監督と記念写真
38号車 ZENT GR Supraの立川祐路選手、石浦宏明選手とともに
2019年のSUPER GT 500クラスチャンピオン、大嶋和也選手にもエールを贈る
坪井翔選手が来るのを待って記念写真

 豊田氏は、第2戦の富士にも激励に来ており、2戦連続のサプライズ登場となる。「レースの雰囲気はどうですか?」と聞いたところ、「やっぱり、この音とニオイは最高だよ!!」とモリゾウ選手としてコメント。しかしながら、無観客のスタンドを見て「多くのお客さまと本当は一緒にレース観戦を楽しみたい」と少し寂しげな表情で語ってくれた。

 また、「これは社長としての発言になるけど」と前置きし、「こういう厳しい状況だけど、こういう厳しい状況だからこそ、モータースポーツイベントをしっかり続けなければいけない。努力しなければいけない」と力強く語り、第5戦から有観客試合になり、多くの人と一緒にレースを観戦できるようになるのが楽しみとのこと。

 立ち去り際に、ホンダのモータースポーツ部長 清水宏氏、ブランドコミュニケーション本部長 兼 広報部長 渡辺康治氏を見かけると、すすっと近寄って「トヨタとホンダでがんばっていこう!!」と声をかけているのが印象的だった。

 豊田章男社長は世界最大級の自動車会社の社長として、そして日本有数の企業の社長として非常に厳しい経済状況への対応を行なっている毎日であるのは間違いない。しかしながら、真夏の強い日差しの下、レースに顔を出して各チームに丁寧に声を掛け、ドライバーと記念写真を撮りつつ励ましている姿は、豊田社長のモータースポーツへの思いが強く表われていた。豊田社長がよく語る「カーガイ」、それも飛び切りのカーガイそのものに見えた。

真夏の暑い日差しの中、豊田社長が手に持っていたのは、モリゾウ仕様にステッカーチューンしたハンディファン