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SUPER GT富士第5戦は有観客試合 迎え入れるGTレース関係者は全員、1500人にPCR検査実施

モータースポーツ振興に熱心な自動車関連企業関係者の協力

2020年9月12日~13日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GT 第4戦「2020 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE」が9月12日~13日の2日間にわたってツインリンクもてぎで開催されている。13日13時から決勝レースが行なわれているが、それに先立ちSUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下、GTA)代表取締役 坂東正明氏による定例会見が行なわれた。

 この中で坂東代表は「後半戦の第5戦富士から5000人+アルファのお客さまを入れていきたい。パドックの感染対策に関してはこれまで同様の対策を行なっていくのと同時にPCR検査を行ない最終戦まできっちり管理しながらやっていく。また、第5戦からはチームスポンサー関連のお客さまが入れるようになるほか、レースクイーンも1チーム2名まで参加できるようになる」と述べ、10月3日~4日に富士スピードウェイで行なわれる第5戦から、限定された形ながら一般観戦を可能とし、スポンサーの関係者やレースクイーンも参加できるようになることを明らかにした。

 SUPER GTレース関係者全員のPCR検査実現には「モータースポーツの振興に熱心な自動車関連企業の関係者」(坂東氏)の協力があったことを明らかにし、具体名は出さなかったもののモータースポーツに熱心な自動車メーカーの代表者が実現に協力してくれたと示唆した。

モータースポーツ振興に熱心な自動車関連企業関係者の協力で実現したPCR検査

坂東代表:昨日はあいにくの天気だったが、今日は晴れたので、なんとかこのままもってくれればいいなと思っている。前半戦、無観客の中でここまで4戦、1つ1つ積み重ねてみなさんも慣れてきてチームも対応策を着実にこなしてきた。感染症と戦いながらこれまでやってこれた。

 10月以降は来年を見据えて、オリンピックや海外戦のことを考えながら詰めていかないといけない。レースの方もGT500は新しい車両、GT300は接戦という中で毎戦新しいウィナーが誕生しており、チームもマニファクチャラーもタイヤメーカーもしっかり仕事をしていただいている。

 本来であればそれをファンのみなさまに見てもらいたかったが、Twitter、Instagram、YouTubeなどを活用してお客さまに伝えていく努力しており、メディアのみなさまのご協力を得ながら、SUPER GTや日本のモータースポーツの魅力を伝えていきたい。

──GT300、JAF-GTへの規則変更が行なわれた。こうした規則変更は中盤から終盤へ定期的に行なわれていくか?

坂東代表:GT300にはJAF-GTとFIA GT3という2つの種類の車両が混在しており、それをブランパン(SRO)が定めたGT3のBOPに日本側でJAF-GTの性能を調整するという形で性能調整を行なっている。JAF-GTはマニファクの協力を得ながら、モノ作りとして手を加えていくために、自由度があるがその分速くなっていく。

 それに対してGT3はホロモゲーションで触ってはいけないという規制で、アップデート車両が出ない限りは速くすることができない。例えば、GT3は大排気量で、重要が1300kg以下はないなどやや重く、燃料タンクは130Lと大きい。それに対してJAF側は100Lで1100kgと燃料タンクは小さく軽量だ。整合性を取るのは難しく、模索しながらやっていくしかない。

 GTAの立場としては公平にはならないが公正なルールを作るというものだ。タイヤ交換に関してのルールも、過度な競争は抑止しようという考え方で行なっているし、JAF-GT300に関しては燃料給油のリストリクターで燃料給油が遅くなるようにしている。27.5mm径の燃料リストリクターを装着してきたが、それを今回はなくした。

 タイヤ交換に関しても、4本交換の義務づけはどうかという話になったので、タイヤ交換に関しては今回は自由だとした。そこで給油スピードをだけを合わせるというのが今回の狙い。その替わりJAF-GT300に関しては25kgのウェイトハンデを載せる。我々の趣旨としてはチームにはモノ作りをやってもらいながら、ローダウンフォース、ハイダウンフォースは1年に1回というルールなどをきちんと決めてGT3とのバランスをとってキッチリ競争していく。

 タイヤに関しては、来年はタイヤ交換を義務付け、持ち込みの本数を減らす。あるいは全体の距離を短くする、ないしは逆に燃費に振って長くするというのを検討していきたい。このあたりは公正さを保ちながら、決めていきたい。

──それは今年の後半戦でもどんどん変更していくという意味か?

坂東代表:そこはあまり触れてない。というのも、レースの度にルールを甘くしたり厳しくしたりしているとチーム側も何のためにやっているのか分からなくなるからだ。

 現状としてはポイント×3kgというルールの中で、そこに25kgをさらに載せろというだけでチームが可哀想だ。例えば、埼玉トヨペットは、マークXより速くするために新しいGRスープラを作ったはずで、ルール内で速くしてきたのにそれを遅くするというのはおかしい。ただ、過渡のタイヤ競争はプロモーションの観点からもあまり好ましくない。GTAとしては抑制というのはあるが、これ以上求めるよりもきちっと評価して来年に向けて考えていきたい。

──5戦から有観客レースになるが。無観客レースをやってきた感想、今後お客さまが入っていただくレースでの対策について

坂東代表:3月からの感染症に対してのロードマップ、ガイドラインを作り上げて、前半戦、富士のテスト、2回の富士のレース、鈴鹿、もてぎとサーキットと協力しながらロードマップに従ってやってきた。

 チーム関係者一同、1350人+アルファ、1700人の状況下で動かしており、一人一人がうつなさない、感染しないという状況下でここを迎えている。これまでも後半は5戦目以降に、新たなモノを考えますと言ってきた。

 政府の発表であったり、5000人の枠というのが今後もっと解放されるというニュースもある。10月の富士では5000人のお客さまに入っていただくのを、レースオーガナイザーの管理として行なっていく。そのときにレースパドックに入っている1500人のチーム関係者、メディア関係者には昭和病院でPCR検査を明日から3日間の日程で行なう。

 この時期に行なうのは2週間前に結果を出して、もし陽性が出た場合に関しても2週間の隔離、入れ替えを行なう。パドック内に関してはそうした検査を受けた方だけが入れる形にする。2階席を含めて、PCR検査を受けていない関係者はパドックに降りられないようにする。

 F4は34台のエントリーで1チーム5名、PCR検査した監督などはそっちにいってもいい、逆に(PCR検査を受けていない)F4の関係者はパドックには入れない、導線をしっかり管理してイベントを運営していく。お客さまも1つのシートを空けて配置し、指定席にしてオーガナイザー管理で行なう。ステージなどは行なわれない、まずそれでスタートする。段階的にでてきたものがあって、富士でやってみる。

 それを踏まえて、もっと解放できるのであれば、それを踏まえてその次の鈴鹿以降にそれ以上のことを考えながらやっていきたい。これまでも積み重ねがありながらやってきている。自動車関連企業が日本のモータースポーツを応援するという枠組みで、PCR検査が受けられる。

 昭和病院の中でも別館を用意してもらい、そこで3日間PCR検査をやっていただける仕組みを作っていただいた。日本の自動車に関与するところが、日本のモータースポーツをきっちとやらないといけないというところで協力してもらった。

 また、FIAは6月の評議委員会で、FIAの国際レースでは、96時間以内にPCR検査をやれと決定した。SUPER GTもその対象になるが、JAFと話をして日本の場合保険でできる訳ではないので、こういうことをやりましたとJAFからFIAに嘆願書的なものを出してもらっている。日本の場合は、政府の見解と保険対応の部分で、毎回はできないとお話しをしてある。今後粛々と自己管理として我々日本はやっていくので、という陳情をしてある。

──1500人のPCR検査が行なわれる。かなりの資金が必要になってるが?政府などに助成金を申請したりなどはあるのか?

坂東代表:助成金などを申請して出してもらったりなどはない。まずは実施してみて、カイゼン点が見つかったりすれば次の段階でカイゼンしていこうという取り組みだ。その第一歩を踏み出そうというときに賛同者、協力者はいて、いろいろご支援や援助をいただき、1500名の検査ができるようになった。

 そこからがスタートだと思っている。日本のモータースポーツにはそうした自動車関連企業の関係者が助けてくれている。GTAとしても苦しい状況ではあるが、そうした日本のモータースポーツを振興発展させていきたい自動車関連企業がいて、我々としても踏ん張り所だが、しっかりやっていきたい。

1歩1歩前進していくSUPER GT

株式会社GTアソシエイション(以下GTA) 代表取締役 坂東正明氏

──前回のレースで14号車の関係メーカーの偉い人に相談に乗ってもらったという話が出ていたが、今回のPCR検査に関しても協力いただいたということか?

坂東代表:相談に乗っていただいた。というか、相談、愚痴、調整、まぁそんなような話し合いをしながらやってきた。

──お客さま5000人まではGTAの管理で、それを超えるお客さまはオーガナイザーの管理ということか?

坂東代表:5000人もオーガナイザーの管理。5000人から増える可能性があり、富士大会では5000人プラスアルファという可能性も模索している。ただ、これからチケットの販売なども考えていかなければならないため、確定している訳ではない。

 重要なことは、パドックでの感染対策はこれまでGTAがキッチリと管理し、それはこれまでどおり崩さず最終戦まで行くということだ。それに対してお客さまとオフィシャルの管理はオーガナイザーがやるという形になり、パドックでの対策はこれまで通りだ。

──DTMとClass1の今後に関してのやりとりがあったのか?

坂東代表:9月の後半にITR代表のベルガー氏との会議が予定されている。向こうもイベントが再開しているので、意見交換をする予定。ご存じのとおり、アウディが撤退するという状況の中、向こうもさまざまな形を模索している。GT3にするとか、GT3プラスアルファにするなどは、SUPER GTのような形にするのか、向こうのマニファクにも意見聞きながら様々模索しているところだ。

 Class1に関しては技術規則であり、我々としては一定の部分がすでにできているという認識だ。ただ、欧州のサプライヤーが提供する共通パーツなどに関しては、そのまま欧州のサプライヤーにお願いするのか、それとも設計図だけをもらって日本で製造するのか、その辺りは今後も継続してやっていく。

 その意味では日本側には何か困ったことがあるという訳ではなく、2023年まで今のルールでやっていく。もちろん、ITRと交流戦を今後もやっていきたいと思っていたが、それが1回で終わってしまうとしたらそれは残念なことだ。

──1チームの参加できる人数が増えるということで、スポンサーの関係者やレースクイーンなども第5戦以降参加できるということか?

坂東代表:第5戦からはチームの関係者を22名に増やすことになる。その中に入るスポンサーの関係者も、パドックやグリッドなどに立ち入るのであればPCR検査を受けてもらう、それがルールになり、そこの導線の引き方はしっかりやっていく。

 2階のラウンジにいるスポンサー関連のお客さまなどに関しては問診票や体温測定などに関しては協力いただくことになり、PCR検査を受けていない方はパドックやグリッドには入ることはできない。レースクイーンに関しては1チーム2名まで認めることになる。さらに多くのレースクイーンの方にお会いしたい場合は、ぜひ撮影会に行っていただきたい(笑)。

──(司会)最後に代表から一言。

坂東代表:雨が降っていると、ブリヂストンがぶっちぎってしまうと思ったが、ドライになれば各タイヤメーカーがバチバチで、異種格闘戦もあるというのがSUPER GTの面白いところだ。そうした面白さをメディアのみなさまにもお伝えいただけるよう後半戦もよろしくお願いしたい。