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JR東日本✕日立✕トヨタ、燃料電池ハイブリッド試験車両「HYBARI(ひばり)」開発 2022年3月ごろ実証試験開始予定

鉄道技術と自動車技術を融合して試験車両を開発

2020年10月6日 発表

燃料電池ハイブリッド試験車両「HYBARI」

 JR東日本(東日本旅客鉄道)、日立製作所、トヨタ自動車は10月6日、燃料電池ハイブリッドの試験車両「HYBARI」(ひばり/HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)を連携して開発することに合意したと発表した。試験車両を連携して開発することにより、鉄道の環境優位性のさらなる向上とサスティナブルな社会の実現を目指すとしている。

 試験車両は、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載。愛称名の「HYBARI」は、「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージして名称を決定。HYには水素(HYdrogen)の意味とともに、HYBでハイブリッド(HYBrid)の意味を込めたとしている。

ロゴ
前面イメージ
側面イメージ

 車両のデザインは燃料電池の化学反応から生まれる水を、碧いしぶきと大地を潤すイメージでとらえ、スピード感と未来感を持たせた車両デザインを採用。試験車両の「HYBARI」のロゴは、春の訪れを告げるひばりと合わせて、大地に春の息吹を吹き込むように、車両に新しいエネルギーを吹き込むイメージをデザインした。

ハイブリッド車両(燃料電池)試験車両の車両構成
燃料電池ハイブリッドシステムの仕組み

 試験車両の車両形式はFV-E991系、2両×1編成。主回路用蓄電池として120kWh容量のリチウムイオン電池を2個搭載。水素貯蔵ユニットは最高充填圧力70MPa(大気圧の約700倍)で、水素貯蔵容量は51L×5本×4ユニット。最高速100km/h、加速度は2.3km/h/s、航続距離は約140km(最大)の性能を持つ。

 燃料電池ハイブリッドシステムの仕組みとしては、水素タンクに充填された水素は燃料電池装置へ供給され、空気中の酸素との化学反応により発電を実施。主回路用蓄電池は、燃料電池装置からの電力とブレーキ時の回生電力を充電。ハイブリッド駆動システムは、燃料電池装置と主回路用蓄電池の両方からの電力を主電動機に供給して、車輪を動かす制御を行なう。

 それぞれ、燃料電池装置の開発はトヨタが、ハイブリッド駆動システムの開発は日立が担当する。

 試験車両の開発に向けた連携では、JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術、日立はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、そしてトヨタは燃料電池自動車 MIRAIや燃料電池バス SORAの開発で培った燃料電池の技術を有しており、3社が持つ鉄道技術と自動車技術を融合し、自動車で実用化されている燃料電池を鉄道へ応用することで、自動車より大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御を目指したハイブリッド車両(燃料電池)試験車両を実現させるという。

試験車両の開発に向けてJR東日本、日立、トヨタが連携

 今後、実証試験を2022年3月ごろ開始予定、試験区間は、鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原)、実証試験の実施にあたっては神奈川県、横浜市、川崎市の協力を得て、環境整備をしていくとしている。

実証試験の概要。開始時期:2022年3月頃(予定)、試験区間:鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原)