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NISMOがレストアしたR32 スカイラインGT-R、購入希望者向けにプライベート・プレビュー開催中

オークションを運営するBH AUCTIONの落札予想価格は?

2021年3月3日~31日 オークション実施

公開されたNISMOがレストアしたR32 スカイラインGT-R(ガンメタ)

NISMOがレストアしたR32 スカイラインGT-Rの実車公開

 NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は、同社がレストアしたR32 スカイラインGT-R(正式名称は「NISMO restored car PROTO/R32 SKYLINE GT-R」)をBH AUCTIONの東京ショールーム(東京都千代田区永田町)で展示している。

 現在、オークションを運営するBH AUCTIONはこのR32 スカイラインGT-Rのプライベート・プレビューを完全事前予約制で実施しており、購入希望者は実車確認後に3月31日までの期間限定での入札方式(ロングタームオークション)で購入が可能。また、今回の入札には最低落札額が設定されており、最低落札額に満たない場合は入札者全体での最高額を入札した場合でも、購入権利(落札権利)は発生しないとのこと。

 NISMOは、2017年11月から製造廃止となっていた純正部品の復刻販売を行なう「NISMOヘリテージ」を日産自動車との共同プロジェクトとして実施してきた。その活動の中で、NISMO直営店で提供してきたメンテナンス、チューニングの知見や技術を土台とした「NISMOが考えるレストア車」を新たに定義。それが2020年12月に発表したレストアビジネス「NISMO restored car」となる。

 NISMO restored carの基準として「性能の可視化」「新車レベルの性能に近づける」を掲げており、視覚的に綺麗にするレストアという一般的な考え方/手法を超え、全ての領域で「性能も可視化した形でレストアする」という新たな概念で行なうという。

BH AUCTIONの東京ショールーム

 NISMO restored carでは大きく「ボディ」「エンジン」「内装」「完成検査」の4項目に分けてレストア作業が行なわれる。

 まずボディでは、日産の実績もベースにしたNISMO基準で「ホワイトボディねじり剛性測定」と「ボディ寸法測定」を含めた修復を行なう。ボディにゆがみがあったり劣化が確認されたりした場合は修正を行ない、良好なバランスを維持。そして劣化したシーリングの再塗付後、車体全てを希望色で再塗装する。

 エンジンは全分解してオーバーホールとバランス取りを実施後、ベンチ台上での性能測定とラッピングを行ない、新車時レベルの性能が出るかどうかをチェック。エンジンはオプションでNISMOチューニング仕様へアップデートすることも可能という。また、駆動系では作動確認・点検・分解洗浄・オーバーホール・消耗劣化部品の交換・塗装を行なうほか、制動系ではオプションとして希望の部位構成部品の追加交換にも応える。

NISMOによって生まれ変わったR32 スカイラインGT-R。1つひとつの部品の輝きもさることながら、ドアノブを引いた際やドアを閉めた音からも「ああ、新車のときってこんな感じだったのね」ということが実感できる。劣化すると見た目で古さを感じさせるウィンドウモール類も新しい。新車装着されていたタイヤはブリヂストンの「ポテンザ RE71」だが、レストア車では「ポテンザ RE-71R」をチョイス
スカイラインと言えばの丸形テールランプ、「GTR」バッヂもきれいなコンディション。マフラーのタイコ部は独特の焼き色を見せている
名機RB26DETTエンジンもまるで新品の輝き
エンジンルームのバルクヘッド側に貼られるプレート。NISMO restored carであることが分かる。ちなみに本モデルのシリアルナンバーは「0」で、プロトタイプ0号車という位置付け
エンジンにもシリアルナンバーが振られる
30年も経つとボンネットインシュレーターがボロボロになったり、エンジンヘッドカバーやサージタンクの塗装が剥離してしまうが、さすがレストア車は完璧な仕上がり

 内装ではクリーニングを行なうほか、R35 GT-Rで使われる表皮を用いてインテリアをトータルコーディネートした張り替え、プラスティック部位の塗装リペアといったオプションも用意。今回公開されたR32 スカイラインGT-Rの内装は、これらオプションの施工も実施されている。

 そして最後の完成検査では、シャシダイナモメータでの性能測定後、NISMOのテストドライバーまたはプロドライバーによるチェック走行で性能の最終確認を行なうという。

R35 GT-Rで使われる表皮を用いてトータルコーディネートされたR32 スカイラインGT-Rのインテリア

落札予想価格は?

注目したいのは全部品の状況が写真付きで分かるメンテナンスシート

 レストアを行なう事業者としては新参になるNISMOだが、当初はこれだけ細かな項目のレストアを行なう予定はなかったという。しかしやるからには、ということで全方位で実施することを決定。今回のR32 スカイラインGT-Rのレストアに関わったのは、NISMOスタッフとしてはエンジン1人、シャシー1人、内装1人となるが、当然ながらそのほかにも多数の業者が携わり、約3年を費やして車両を完成させたという。NISMOとしても初めてのレストア経験だったこともあり、「かなりの歳月をかけてしまった」とのことだが、今回の経験を活かして今後は約半年から1年の間で車両を完成させる目標を掲げている。

 この大がかりなレストアの内容もさることながら、注目したいのはメンテナンスシートが用意され、個々のパーツを交換したのか、塗装したのか、はたまた無交換なのかなど全部品の状況が写真付きで分かるようになっていることだ。現在、中古車市場に出まわっているいわゆる第2世代GT-R(R32/R33/R34)では、これまでのメンテナンス状況などが分かる記録簿が付いていないモデルも見受けられる。それだと現在のコンディションが把握しにくく、購入希望者も買っていいのか判断が付きにくい。その点、これだけ詳細なメンテナンスシートがあればオーナーも安心して付き合っていくことができるだろう。

 今回出展されているR32 スカイラインGT-Rの最低落札価格は非公開となっているが、BH AUCTIONによる落札予想価格は4500万円~5500万円とされている。この価格には、熟練メカニックによるポート段付修正・ピストンコンロッドの重量合わせ・クランク&プーリー一体バランス取りといった超精密作業と高性能パーツを組み合わせたNISMO「R1エンジン」の正常進化モデルとして登場した「R2エンジン」&専用ECUも付属する形になる。

「R2エンジン」&専用ECUも付属
ガラスケースに収まる書類がメンテナンスシート

 また、BH AUCTIONが発行する「GENTLEMAN DRIVERS vol.09」(発行元:BH AUCTION、販売元:三栄)にて、特別付録として「NISMO restored car R32 SKYLINE GT-R BOOK」を制作。3月2日に全国の主要書店およびAmazonなどのECサイトで本誌との合本にて発売されている。

 こちらは全144ページにわたるハードカバーの豪華本となり、星野一義氏や松田次生選手など第2世代GT-Rに縁のある人物のインタビューやインプレッションをはじめ、restored car開発現場の裏側などの情報が多数掲載されているとのこと。出展車両に興味がある方は、こちらも活用いただきたい。

BH AUCTIONが発行する「GENTLEMAN DRIVERS vol.09」

 なお、NISMO restored carでは今回のR32以外にR33/R34 スカイラインGT-Rも手掛けているとのことで、そちらも楽しみに待ちたい。新車に近い第2世代GT-Rを手に入れる数少ないチャンス、あなたならどう活かしますか?

入札参加申し込み窓口

株式会社 BH AUCTION 「NISMO restored car / R32 Proto」入札参加申し込み窓口
電話番号:03-5511-2777
メール:info_nismo_restored_proto@bhauction.jp