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水素カローラはGRヤリス超えの300馬力を実現するのか? 佐藤恒治TGRプレジデントは「300馬力はがんばりますよ。がんばります!!」

トヨタ自動車 GAZOO Racing Company プレジデント 佐藤恒治氏。TGRラリーチャレンジ豊田にて

進化し続けるカーボンニュートラルカー「水素カローラ」

 岡山国際サーキットでスーパー耐久シリーズの最終戦が11月13日~14日の2日間にわたって開催される。2021年シーズンのスーパー耐久では、ST-Qクラスに水素燃焼エンジンを搭載する32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 concept(以下、水素カローラ)が参戦することが大きな話題となっているが、その進化の速さも注目を集めている。

富士24時間レースでモリゾウ選手が給水素 水素社会の幕開けを見る

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1326374.html

 水素カローラは5月21日~23日に開催された富士24時間レースで急遽デビュー。世界的にもあまり見かけることのない「給水素」作業を繰り返しつつレースに挑んだ。結果はいろいろなトラブルに対応しながら完走。水素を燃焼させて走るクリーン自動車は、その可能性の一端を見せた。

 次に登場したオートポリス戦で水素カローラは燃焼の最適化や軽量化など数々のアップデートを実施。トルクについては15%のアップデートを実現したと発表された。そして、鈴鹿では水素カローラのベースとなったGRヤリス同等のパワーへアップデート。GRヤリスに搭載されるスポーツエンジン、最高出力200kW(272PS)、最大トルク370Nm(37.7kgfm)を発生する直列3気筒 1.6リッター直噴ターボ G16E-GTS型ガソリンエンジン同等を実現した。

 この水素カローラのすごいところは、インジェクターなどわずかな部品を変更するだけで、水素燃焼を実現しているところだ。ピストンもシリンダーもG16E-GTS型のものを使っており、従来の内燃期間をわずかな改造だけで(水素タンクなど燃料供給系を除けば)、水素燃焼できるものにしている。

 岡山の前戦となる鈴鹿戦において、トヨタ自動車 GAZOO Racing Company プレジデント 佐藤恒治氏は、次戦の岡山ではGRヤリス超えについて触れていた。

 その佐藤プレジデントに、TGRラリーチャレンジ豊田を開催していた鞍ヶ池公園で遭遇。週末行なわれる岡山での水素カローラアップデートについて聞いてみた。

水素カローラは、GRヤリス超えの300馬力を実現か!!

 鈴鹿において佐藤プレジデントはGRヤリスの馬力を10%くらい超えたいとしていた。これは300PS相当(正確には、220kW=299.12PS)になり、とてもインパクトのある数字になる。ずばり佐藤プレジデントに「岡山では300馬力を超えますか?」と質問してみたところ、「行きますよ、行くつもりで開発中です」とのこと。「まさに開発中です、まだ1週間ありますから!!」と力強く答えてくれた。

 そしてカーボンニュートラルについては、「選択肢は増やしていかなければならない。そういう努力が仲間を作っていくのです」「仕掛けとか仕込みとかはゼロです。意思ある仲間が集まるのです」「それをぜひ見てほしい、300馬力はもうがんばりますよ。がんばります!!」と、とにかくがんばるという強い思いが伝わってきた。

 水素を燃焼させて、しっかりパワーやトルクを引き出すだけでも大変なはず。しかも、このプロジェクトは4月23日午後にいきなり発表され、そこから24時間レースに出場、怒濤のようにパワーを上げてきた。「がんばります」の一言では実現できない高い壁もあったと思うのだが、その答えは岡山での水素カローラのラップタイムに現われるだろう。

 また、「仕掛けとか仕込みとかはゼロです。意思ある仲間が集まるのです」という発言には、すでに水素燃焼エンジンの開発を表明した川崎重工業に続いて新たな仲間が現われるようなことを示唆しているのだろうか?

 すでに岡山ではグリーンラインをまとった謎のマツダ「MAZDA2」が練習走行に現われており、日本自動車工業会 豊田章男会長(モリゾウ選手)が4月22日に語った「私たちのゴールはカーボンニュートラルであり、その道は1つではない」が具現化したものか気になるところだ。

 300馬力を実現した(のか?)水素カローラとともに、仲間の存在を楽しみにスーパー耐久戦の岡山を迎えたい。

TGRラリーチャレンジ豊田でのひとコマ。左はモリゾウ選手のコドライバーを務めた全日本ラリーチャンピオンの勝田範彦選手、右はWRCラリードライバー勝田貴元選手