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スズキ「ハスラー」で気軽なデイキャンプを楽しんできた

ミニマルな装備でもアウトドアレジャーは楽しめる

 いま人気のキャンプは、泊まりはもちろんのこと日帰りのデイキャンプでも現地で使用する道具が多くなりがち。遊びとはいえ、現地で快適に過ごしたいということで物がたくさん運べて移動が便利な「クルマ」の存在は欠かせないのである。

 ただ、モノを増やしていった結果、展開する手間、しまう手間、帰ってからの手入れの手間なども同時に増えてくるし、増えた道具の置き場の確保も容易ではない。また、道具主体のスタイルに付きものの「つぎつぎ湧く物欲」もやっかいなものでもある。

 そんなことから見直されてきているのがミニマル(最小限)な装備で楽しむアウトドアレジャーだ。装備を絞れば不便さを感じたり、やれることが限定されるのだけど、アウトドアでは不便もまた魅力。それに装備が軽いと準備、撤収が素早く済むのだけど、この「時短さ」に魅力を感じる人は多い。

 そして今回、スズキ「ハスラー Jスタイルターボ」を拝借してミニマルで気軽なアウトドア遊びを楽しんでくることにした。

借り出したのはスズキの軽ワゴン「ハスラーJ STYLEターボ」。駆動方式は4WD。価格は182万3800円。ボディサイズは3395×1475×1680mm(全長×全幅×全高)。エンジンはR06A型水冷直列3気筒インタークーラーターボで、トランスミッションはCVT。ボディカラーはフェニックスレッドパール ホワイト2トーン
ハスラーJスタイルは専用メッキフロントグリル、メッキフォグランプガーニッシュ、フロントバンパーガーニッシュ、HUSTLERアルファベットエンブレムが付く
リアバンパーガーニッシュ付き。カラーはスチールシルバーメタリック。そのほか、Jスタイル専用装備としてルーフレールとメッキドアハンドルが付く
Jスタイルはインテリアも専用装備が付く。インパネはカラーガーニッシュ付き。カラーはブルーイッシュシルバー
シートはレザー調&ファブリックシート表皮。カラーはブラウン&ダークブルー
インテリアトリムもブルーイッシュシルバーカラー。ドアトリムはレザー調でドアハンドルがメッキとなる
後席はスライド可能。最も下げた状態での足下はかなり広い
ラゲッジルーム。右側はシートをいっぱいに前に出した状態。左が後ろいっぱいの状態
後席を倒すとこのように広いラゲッジとなる。テントやシュラフ、道具ケースなど入れても余裕のスペースだろう
Jスタイルターボにはデュアルカメラブレーキサポート、後退時ブレーキサポート、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、車線逸脱抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、標識認識機能、ACC(アダプティブクルーズコントロール)、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、全方位モニター用カメラという内容のスズキの安全技術、スズキ セーフティ サポートが装備されている
R06A型水冷直列3気筒インタークーラーターボエンジン。最大出力は47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクは98Nm(10.0kgfm)/3000rpm。使用燃料は無鉛レギュラーガソリン

富士山の湧き水を湧かしたお湯でカレー麺をいただくミッション

 内容的にはデイキャンプなのだけど、「キャンプ」と名がつくと気軽な感じがしない。そこで浮かんだのが「ピクニック」という言葉だ。

 このピクニックとは散歩の延長上にあるアウトドアレジャーなので、表現的なイメージは近い。そこでピクニック的な規模であることを意識して遊び方を考えてみた。

 出かける先は山あいが希望だったので候補は神奈川、静岡、山梨から検討。そして絞り込んだのが山梨県の富士五湖周辺。エリアが広い富士五湖周辺であれば、紅葉シーズンであっても「ソロ」ならではの静かな環境を確保できる場所があるだろうという考えだ。

 そして肝心の内容だけど、ピクニック的な気軽さ&身軽さということから、現地ではお湯を沸かしてカップ麺を食べるというレベルに抑えることにした。あまった時間は湖でも見ながらぼ~っとしてもいいし、景色がいいだろうから風景とハスラーの撮影でも……という具合。

 富士五湖と言えば知る人ぞ知るカレー麺の聖地なので、持っていくのはカレー麺以外ありえない(!?)わけだが、それだけでは何かもの足りない。そこで思いついたのが「水」に凝ること。富士五湖へ行くときに立ち寄ることができる「道の駅なるさわ」は、富士山からの湧き水を汲めるスポットとして知られているので、今回は道の駅なるさわに立ち寄って湧き水を汲む。そしてその湧き水を沸かして湖畔でカレー麺をいただくのだ。

トートバッグに収まる程度の装備で気軽に楽しむアウトドア遊び。フットワークが軽いハスラーらしい遊び方だ。富士五湖のどこかでカレー麺をいただく楽しいミッションとなった
サービスエリアにて。ハスラーのACCは初体験だったが、加速へ移るタイミングがスムーズなところが印象に残った。車間設定も高速道路では実情に合うような印象
ACCセット時はディスプレイにあるクルマの画の横にアイコン+SETの文字+車速が表示される。追尾するクルマがあればクルマの画が立体的に表示される
設定はステアリング右のスイッチで行なえる

 筆者は日常から660ccターボの軽自動車で移動しているが、軽自動車に乗り換えてからの高速道路移動はACCを80~100km/hにセットして左車線を走るのが基本となった。左車線はペースが一定の大型トラックが多いので、それについていけば安定したペースで走り続けることができるのだが、これがとても楽。前後に対する「警戒」のような気の配りが減るので、気持ち的な負担が断然軽くなる。

 移動時間については軽自動車、とくにワゴン、バン系はターボモデルであっても「急ぐ」みたいことは苦手であるし、ACCを使うとそもそも「急ごう」という意識が起きないので大型の後ろは居心地がいい。つまり筆者にとってACCは便利なだけでなく、気持ちに余裕を生む機能なのだ。

 そんなACC好きな筆者がハスラーのACC走行を体験してみたところ、減速が少し強い印象を受けたがあとは自然。前走車を追い越すときの車線変更時、メーカーによっては車線変更後の加速への移行が加速始めのタイミング、加速の度合いとも控えめなものもあるが、ハスラーのACCは人が操作した状態に近いレスポンスで動作している印象。「もどかしい」と感じる部分が少なかった気がする。

 それと80~100km/hの巡航であれば車内に入ってくる騒音も十分抑えられているので、オーディオで音楽を聞くのも同乗者と会話するのもいい環境と言える。ただ、路面が荒れているところになると途端にタイヤノイズが大きく聞こえることがあったが、路面の荒れは仕方がない。

メーカーオプションの全方位モニター用カメラは対応ナビゲーションとあわせる前提。スタート時はクルマの周辺の状況をグルリとクルマのまわりの状況を映してくれる。アウトドアフィールドでは杭や大きい石など気がつきにくいことも多いのでこの機能は使える
後退時のサポート画面。これもアウトドアフィールドでは便利。障害物の察知だけでなく「あとちょっと下がると道がない」みたいな状況も把握しやすい
ナビ画面。高速道路中の表示でよかったのが目的地設定をしていない状況でも現在位置からインターごとの距離と到達時間が表示されること。これは参考になった
河口湖インターチェンジへ向かったが、出発間際にオートバイ駐輪スペースに1980年代のスズキのオフロードバイク「ハスラー250」がやってきた。あとから思えばすぐ停車してハスラー同士の2ショットを撮らせてもらえばよかった

 紅葉シーズンでもあったので国道に下りてもクルマは多め。インターからは河口湖、西湖が行きやすいがどこも混んでいる予感。そこで富士五湖では河口湖インターから遠く、いちばん小さい精進湖へ向かうことにした。調べてみると湖畔に下りられる有料キャンプ場があったがこれも具合がいい。管理されたキャンプ場であればお湯を沸かすためのコンロ使用も問題ないのだ。

 その前に大事な用事、道の駅なるさわで湧き水を汲む。休日は順番待ちが発生するとのことだが、この日はひと組が先客でいただけ、少し待つだけで無事汲むことができた。

道の駅なるさわにある富士山の湧き水が汲めるスペース。富士山周辺らしく溶岩を使用した水汲み場となっている
こちらが湧き水。ガイドによると地下300mから汲み上げているとのこと。道の駅の営業時間内のみ汲むことができるようだ
持参したボトルに汲む。カレー麺と食後のお茶くらいなら足りるかな
敷地内には日帰り温泉施設もある。食事もできる。今回は寄らなかったがいずれいってみたいところ

 湧き水を汲んだあとは国道139号線を朝霧高原の方向へ走る。そして途中甲府方面に抜ける道へ右折すると精進湖が見てくる。

 筆者は他の富士五湖には行ったことがあるが精進湖に来たの初めてだ。確かに面積は小さいようだが、そのぶん綺麗な景色がギュッと凝縮されている感じでむしろ好印象。ここで「機能や内容がコンパクトなボディにぎゅっと詰まったハスラーと同じ」みたいに書くといかにも「狙って行った感」アリアリだけどそんなことはない。でもまあ、湖に沿う道を走りながらそんなことが自然にアタマに浮かんだのは事実だ。

精進湖には湖畔まで下りられる場所がいくつかあるがすべて火を使うことが禁止されている。そこで精進湖キャンピングコテージさんが管理しているキャンプサイトを利用させてもらうことにした。ここは火の使用が許可されている
湖畔に下りる道の前にある精進湖キャンピングコテージさん。こちらで受け付けをする。今回はデイキャンプでお願いした
キャンプ場はフリーサイト。場所によっては湖の向こうに富士山が見える。当日はその場所は他の利用者でいっぱいだったし、富士山は雲で隠れていたので、空いている湖畔にハスラーを駐めた
使用するのはたったこれだけなのでパッと用意できた。この身軽さはキャンプと言うよりピクニック感覚。これがやりたかった
道の駅なるさわで汲んだ湧き水をヤカンへ移し、コンパクトコンロで沸かす。水の量が少ないので沸くのも早い
そしてカレー麺へ注ぐ。アウトドアでカップ麺を食べるときは汁を残さないため、お湯の量を家で食べるより少な目にしている
湖畔の石を載せて3分待つ。同じようなことをする場合、箸は忘れずに持っていくこと。以前、忘れた経験からのアドバイスだ
カレー麺だけではちょっと足りないので、コンビニでソーセージも買っておいた
少量の水を使ってボイルする。たったこれだけでとても美味しく食べられる。ビジュアル的に微妙だったので写真はないが、カレー麺の残り汁につけて食べるのもまたイイ
ありきたりだけど、こういう場所で食べるとやっぱり美味さがアップ。湧き水が美味しかったか? ということは正直分からなかったが、食べる場所だけでなく水にも凝ったという満足度はあった。この手の1人遊びはそういうノリでいいと思う
最後にパックのお茶を入れて締め。コーヒーだとカレー麺後の口にちょっとあわない
食べてしまうともうやることがない。精進湖を眺めながらボケッとしながら過ごしたり湖畔を歩いたり。そんな時間もまたいいのだ
ラゲッジの高さは片付けをするのにちょうどいい。これくらいの荷物だとシートをいちばん下げた状態のスペースも足りる。こんなふうに「なにかをするためになにかをする」ということがないのも気楽でいい
テールゲートがあるので天気が崩れてもラゲッジは屋根付き作業場になる。ローチェアでは低すぎる場合、ラゲッジに腰掛けるのもアリ。端に座れば開いたスペースがテーブル代わりにもなるから、荷物がより減らせる。ただコンロを使うときはフロア保護のため小さめの防火マットなど敷いた方が安心
キャンプ場は道が未舗装だったり滑りやすかったりすることが多い。また、勾配もきついことがあるので、キャンプでの利用が多くなりそうなら、車両価格が少々高くても4WDモデルを選んでおくのはオススメ

 ということで「ハスラーで出かけて、湧き水を汲んで湖畔でお湯を沸かしてカレー麺をいただく」というミッションは完了。移動に関しては前記したようになんの不満はないというか、静粛性のよさやACCのフィーリングのよさなどから満足度は高いと感じた。でも、湖畔道路の荒れた路面では乗り心地が荒い感じにもなるので、そう言う道に出くわしたときには車速と走行ラインに気を使ったほうがよさそうだ。とはいえハスラーに関して気になるところはそんなところしかなかったので、筆者のなかでハスラーは「いいクルマ」である。

 それと取材を終えて帰宅したあと、ボディが少しホコリっぽくなっていたので手洗いで洗車したのだが、そこで気がついたのがボディの造形の凝りよう。ハスラーのデザインは無骨な四角い面で構成されているように見えるけど、タオルで拭きながらボディを触っていくとかなりビックリ。

 例えば窓の部分は他の面からかなり大胆に奥へ凹ませた造形だし、ボンネットも実は起伏がハッキリあるなど巧みに曲線が取り入れてある。グリルやライトベゼル、バンパーも立体的でそれら全体がエクステリアの質感を上げていることに気がつく。販売店に行くことがあったら展示車や試乗車のボディを見るだけでなく「触る」ことで、もう見慣れた感のあるハスラーの魅力を再確認してみるのも面白いと思う。

凝った形状であることはアタマでは分かっていたが、実際に触ってカタチを体感すると「お~」と思うくらい立体感のある造形だった
富士山の近くに来ているので富士山とハスラーの写真が撮りたかった。そこで夕方近くまで麓周辺をうろついた。ずっと雲がかかっていた富士山だったが、頂上付近が一瞬顔を出したときにやっと撮ることができた