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村田製作所×ミシュラン、「タイヤ内蔵型RFIDモジュール」を共同開発 2024年より乗用車タイヤに採用予定

2021年12月13日 発表

1×1×6mm(縦×横×長さ)という小型サイズのRFIDモジュールを共同開発

小さくても頑丈で高い通信性能を実現

 村田製作所は12月13日、ミシュランと共同でタイヤ内でも安定した通信が可能な「タイヤ内蔵用RFID(Radio Frequency Identifier)モジュール」を開発したと発表。ミシュランではこのRFIDモジュールを、まず商用車タイヤ向けに内蔵を進め、2024年頃を目途に乗用車向けへの拡大を予定しているほか、RFIDモジュールを活用したRFIDシステムを業界標準とするためのプロモーション活動にもすでに取り組んでいるという。

 両社が共同開発したタイヤ内蔵用RFIDモジュールの主な特徴は、タイヤ内蔵時に省スペースで埋め込みができる1×1×6mm(縦×横×長さ)という小型サイズ化を実現。また、走行時の衝撃や埋め込み時の負荷にも耐えられる堅牢性と、独自のアンテナ設計技術によるタイヤ内蔵時の良好な通信性能を両立させた点という。

 なお、タイヤ内蔵用RFIDモジュールは、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で2022年1月19日~21日に開催される「第14回 国際カーエレクトロニクス技術展」に出展するとしている。

RFIDモジュールのタイヤ内蔵の流れイメージ

 近年、拡大するタイヤ市場において「タイヤの安全性の保証」「製造時の物流効率化」「個々のタイヤのライフサイクルを管理すること」などが課題となっていて、各メーカーでRFIDタグの導入検討が進められている。

 ミシュランは製品管理を幅広い市場向けに展開していくために、独自でタイヤ内蔵型のRFIDタグを開発していたが、従来のRFIDタグと比較してさらなる低コスト化や通信の信頼性向上を目指し、村田製作所を共同開発を開始。村田製作所が通信市場で培った高周波技術や小型化技術、自動車市場における技術的知見などを活用し、タイヤ内蔵時でも安定した通信性能を発揮し、タイヤのライフサイクルに匹敵する耐久性を低コストで実現したRFIDモジュールを完成させた。これにより、タイヤメーカーの工場・倉庫内だけでなく、物流・アフターマーケットでのメンテナンスや品質トレーサビリティでの活用が期待されるとしている。

 ミシュランRFIDプログラムリーダーのジェローム・バランド氏は「RFIDはタイヤ管理の効率化と業務の最適化達成に重要なだけではなく、各タイヤから得られる関連データにより顧客体験の向上にもつながります。タイヤ内蔵型RFIDタグは個々のタイヤが生産してから廃棄されるまでを管理できる唯一の手段です。村田製作所との共同開発により、性能やコスト面が改善されたことで、さらに大きな市場に向けて展開することができるようになりました。すでに400万個以上ものミシュラン製タイヤに内蔵されている本製品は、今後他のタイヤメーカーでも利用できるようになるため、市場全体での採用がさらに加速するでしょう」とコメント。

 また、村田製作所のRFID事業推進部 安藤正道部長は「サプライチェーン管理が困難なものでも、RFIDソリューションを活用することでより効率的に行えるようになります。村田製作所は今後も革新的なソリューションの実現に向けた継続的な技術開発を行い、ミシュランとともにライフサイクルを通したタイヤ管理の実現、顧客体験の向上に向けて貢献していきます」と述べている。

 なお、村田製作所では、RFIDモジュールの提供だけでなく、自社のソリューション「id-Bridge(RFIDミドルウェア)」においても、ISOで規定されるタイヤ内蔵用RFIDタグへのデータ書き込みや読取試験にも対応させ、業界のタイヤ管理効率化に貢献していくとしている。