富士通、HD映像の多重伝送が可能なリアエンターテインメント向けLSI
1394 Automotiveに準拠し、車載ネットワークとの連携でコスト削減に貢献

MB88395

2009年4月22日発売


 富士通マイクロエレクトロニクスは、HD映像の伝送が可能なコントローラーLSI「MB88395」のサンプル出荷を4月22日より開始する。サンプル価格は1700円。

 MB88395は、富士通VLSと共同で開発した車載ネットワークの国際規格である「1394 Automotive(IDB-1394)」に準拠したコントローラーLSI。同社では、後席で映像や音楽を楽しめるリアエンターテインメントシステムに組み込むことを目的としたLSIと位置付けている。

 従来製品と比較して約2倍の伝送速度となる800Mbpsでの広帯域伝送を実現している。加えて、同社が開発し従来製品に搭載している車載向け映像コーデック「SmartCODEC」を拡張し、映像圧縮率を3分の1から4分の1に向上させたほか、720pビデオモードをサポート。これにより、Blu-ray Discや地上デジタルTVなどのHD映像、カーナビの映像などを低遅延で多重伝送できる。また、著作権保護機能のDTCPもサポートする。同社によれば、1394 Automotive準拠のネットワーク上でHD映像とカーナビ映像を多重伝送できるLSIは、MB88395が世界初だと言う。

 また、1394 Automotive準拠であることから映像伝送システムを車載基幹ネットワークの共通プラットフォームとして利用可能で、CANなどの制御系LANともゲートウェイを介して連携できる。このことから、既存の車載ネットワークと比較してハーネスやスイッチ回路などの削減に貢献でき、ワイヤーハーネスの使用量を最大70%削減可能で、システム全体のコストも最大約30%低減。車体重量の軽量化も可能となることから、年間1万km走行する車なら、年間10kgのCO2を削減できるとしている。

車載情報系ネットワークに求められる機能SmartCODECのHD対応への機能拡張HD映像伝送の対応によるシステムの簡略化のイメージ
MB88395によるコスト削減のイメージMB88395を利用したハイエンドシステムのイメージ1394 Automotiveによる車載ネットワークの連携イメージ
同社の1394 Automotive準拠LSIのロードマップ同社が予測する車載ネットワーク規格の動向MB88395を利用したシステムのデモ。左がMB88395によるHD映像、右が従来製品によるSD映像


(編集部:)
2009年 4月 22日