「セグウェイ」日本販売代理店のセグウェイジャパンが設立説明会
日本市場に本格参入。安全性をアピールした販売や実験を行い、法改正を求める

日本市場で販売されている主なセグウェイ

2009年5月14日開催


 電動2輪車「セグウェイ」の日本販売などを手がけるセグウェイジャパンは5月14日、同社設立についての説明会を開催した。説明会には、同社代表取締役の大塚寛氏のほか、米国Segwayのプレジデント&CEOのジム・ノロッド氏が出席した。

 セグウェイジャパンは、2008年12月に設立されたセグウェイの日本正規総販売代理店。セグウェイは、ジャイロセンサーによる自律制御機能によって転倒せずに走行できるほか、アクセルやブレーキの操作なしに体重移動だけで発進や停止ができる電動2輪車。最高速度は約20km/hで、1回の充電で約39km走行可能。バッテリーのみで駆動するため、環境性も優れている。米国では、2003年~2007年にかけて累計4万台以上が販売されている。

 日本国内では道路交通法により公道でセグウェイの使用が認められていないため、私有地のみで利用する法人向け販売のみを行っており、日本向けには2006年に発表された第2世代モデルを販売。日本SGIでの販売も含めて、国内ではこれまで「東京ビッグサイト」や「パシフィコ横浜」などでの警備、「十勝千年の森」や「ハウステンボス」などでのガイドツアーで採用されているほか、2009年5月9日~10日に富士スピードウェイで開催された「フェラーリ・フェスティバル・ジャパン2009」といったイベントなどでも使用されている。日本での累計販売台数は約1000台で、2009年度は300台の販売を目標としている。

基本モデルの「セグウェイ PT i2」(98万1750円)オフロードモデルの「セグウェイ PT x2」(105万5250円)セグウェイ PT x2のゴルフ向けパッケージ(118万1250円)
ハンドル中央にはメーターなどを装備セグウェイのステップ。日本語の警告が表記されている

セグウェイジャパン代表取締役の大塚寛氏
 セグウェイの日本販売は2006年10月より日本SGIが行っていたが、4月1日をもってセグウェイをはじめとしたロボット業務をセグウェイジャパンに移管している。セグウェイジャパンの資本金は1000万円で、今後増資も予定。大塚氏によればセグウェイジャパンは日本SGIのセグウェイ事業部門をスピンアウトした企業ではあるものの、Segwayおよび日本SGIとの資本関係はないが、販売代理店は日本SGIと同様にクレセント、キヤノンマーケティングジャパン、JA三井リースが担当する。

 セグウェイの販売以外としては、移動体ロボットの販売のほか画像処理技術や、人物の感情の変化を検知できる感情認識技術などロボット技術の開発・提供を行う「ロボット事業」。法人などを対象に、セグウェイをはじめとした移動体ロボットのシステム導入をコンサルトする「グリーンコンサルティング事業」なども手掛けるとしている。

 セグウェイジャパンの事業展開について大塚氏は、「21世紀は、近距離移動体が充実する世の中になると思う」と前置きした上で、「セグウェイは次世代の近距離移動体としての注目度はすごいものがあるが、この産業を文化として根付かせるためには、サービスモデルをどんどん構築してアピールしたい」とコメントした。このほか、短期間の計画では、9月27日まで開催される横浜開港150周年イベント「開国博Y150」や、2010年11月にに横浜市で開催予定のアジア太平洋経済協力(APEC)などでのPRや実験を計画している。

 セグウェイの販売展開では、現在横浜市などの環境モデル都市に指定されている都市などで実証実験を実施しており、これらを踏まえて複数自治体にツアーなどの目的で利用できる特区を申請することを検討している。大塚氏は、「ゲリラ的に販売するのではなく、国や行政と安全性や実証データーを検証し、道路交通法に基づいた指導をいただき改善しつつ、法改正を求めていきたい」と、2013年を目標にセグウェイの公道走行が可能となるよう道路交通法の改正を求めていく方針を表した。その上で、これまでの法人への販売時やその後も定期的に安全講習などを実施していることを紹介し、「限られたエリアでモラルを意識した人に価値を提供することで、安全の担保を見せることができる」と、セグウェイの安全性の積極的なアピールが法改正に繋がるとする考え方を示した。


セグウェイジャパンの会社概要日本SGIからセグウェイジャパン設立までの事業活動セグウェイジャパンの主な事業
セグウェイの概要日本国内での導入事例ロボット事業の概要
公道走行が可能となるまでの計画横浜市のみなとみみらいを例としたセグウェイの可能性や、赤レンガ倉庫前でのレンタル事業イメージなどを紹介。本社を横浜市中区としたのは「環境モデル都市に指定されていることや、多くの産業の発祥地であることから」だと言う
移動体ロボットのプラットフォーム「RMP」シリーズの販売も手がける説明会では、RMPシリーズの「RMP-200」と画像認証技術を組み合わせ、セグウェイに乗る人をカメラで認識して自動追随させるデモを実施。「セグウェイのツアー参加者がRMP-200に荷物を載せ、自動で追随させるサービスモデルもできる」としている

Segwayプレジデント&CEOのジム・ノロッド氏
 また、ノロッド氏が米国をはじめとした海外でのセグウェイの販売状況などを説明した。ノロッド氏によれば、2008年に開催された北京オリンピックでは約100台が警備用途に導入されたほか、米フロリダ州の「ディズニーワールド」でもツアーで利用されていると言う。日本導入については、大塚氏と同様に道路交通法の改正による公道走行の許可を求め続ける方針を、ドイツでは法改正によりセグウェイが公道走行可能となり、個人向け販売台数が大幅に増加したと言う事例を挙げて示した。

 加えて、2009年4月に公開した、GMとSegwayで共同開発している2輪車「P.U.M.A.(Personal Urban Mobility&Accessibility)」などを紹介。P.U.M.A.については、プロトタイプの開発の大半をSegwayが行っており、公開されたモデルはセグウェイのパーツや技術、特許を流用することで90日間で開発できたとのこと。また、オートバイ型の電動2輪車「スティールダスト」を開発していることを明らかにし、1~2年のうちに製品化したいとの方針を示していた。


世界のSegwayの拠点海外でのSegwayの主な事業2009年4月に公開した「P.U.M.A.」
オートバイ型の電動2輪車「スティールダスト」P.U.M.A.の4輪車モデルのデザインスケッチセグウェイやP.U.M.A.が日常的に走行できる未来の社会を描いたイメージ画


(編集部:)
2009年 5月 14日