フォーミュラ・ニッポン第2戦鈴鹿リポート
雨の中開催された第2戦は、ロイック・デュバルが優勝

鈴鹿サーキットで開催されたフォーミュラ・ニッポン第2戦は、あいにくの雨となった。写真はスタート直後の1コーナー。トップはブノワ・トレルイエ、2位にロイック・デュバル、4位にルーキー塚越広大

2009年5月16日、17日開催



 2009年フォーミュラ・ニッポン第2戦の決勝レースが5月17日鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市稲生町)で開催された。雨の中スタートした全43周で争われる決勝は、予選3位のロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)がスタートで2位にポジションアップ、ポールポジションから飛び出したブノワ・トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)を28週目にオーバーテイク、そのまま逃げ切り優勝した。2位はブノワ・トレルイエ、3位には予選2位のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が入り、外国人選手が表彰台を独占した。

 日本人選手では期待の若手、平手晃平(ahead TEAM IMPUL)が4位、平手と接戦を続けたルーキー塚越広大(HFDP RACING)が5位入賞を果たした。昨年、一昨年と2年連続チャンピオンの松田次生(LAWSON IMPUL)、小暮卓史(NAKAJIMA RACING)や、立川祐路(CERUMO/INGING)のベテラン勢はリタイヤに終わった。

 予選、決勝の2日間で行われたフォーミュラ・ニッポン第2戦は変わりやすい天気に翻弄された。初日のフリー走行はセッション中にドライからウェットに、予選は豪雨、決勝日も朝のフリー走行はドライコンディションだったが、決勝1時間前から雨が降り出し、グリッド上でセッティングを変更するチームもあったほど、難しいコンディションの中でスタートした。

 スタートはポールポジションのブノワ・トレルイエが1コーナーをトップで駆け抜けた。予選2位のアンドレ・ロッテラーがスタートに失敗し3位、予選3位のロイック・デュバルが2位にポジションアップした。4位には予選7位の塚越広大がジャンプアップ、5位には平手晃平、6位に予選で9位と出遅れた松田次生が続いた。予選5位の小暮卓史と予選8位の立川祐路はスタートでエンジンストールし、オフィシャルの押し掛けで後方から追い上げることとなった。

決勝序盤、トップを快走するブノワ・トレルイエ2位でトップを追走するロイック・デュバルアンドレ・ロッテラーは終始3位をキープ

 ディフェンディングチャンピオンの松田次生は平手晃平を抜き、塚越広大に迫ったが、7週目の2コーナーでコースアウト、第1戦に続きリタイヤとなった。トップ争いはレース序盤を終えたあたりから肉薄、ロイック・デュバルがスプーンカーブで姿勢を乱してコースを外れ一時的に間隔が広がったが、28週目のヘアピンの立ち上がりから併走しスプーン入口でブノワ・トレルイエをパスしトップに立った。

7週目の2コーナーでコースアウトした松田次生20週目の2コーナーでリタイヤした大嶋和也トップ争いは10週にわたり繰り広げられた。ポイントリーダーはオーバーテイクシステムのLEDが赤く光る
4位に入った平手晃平5位に入ったルーキー塚越広大
リチャード・ライアン、伊沢拓也のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは6、7位となった優勝し、手を上げながらウィニングラップを走るロイック・デュバル
表彰台は外国人選手が独占した表彰式ではコースが観客に開放された

 日本人選手の中では若手の活躍に注目が集まった。2年目の平手晃平とルーキー塚越広大の4位争いは、平手晃平がピットインでタイヤ交換せず、給油のみでコースに戻る戦略が功を奏し4位に上がった。初戦で2位に入った伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)が7位、石浦宏明(Team LeMans)が8位、昨年、マカオF3で優勝した国本京佑(Team LeMans)が9位となった。小暮卓史と立川祐路は、17週目のヘアピンで小暮卓史が追突し、2台ともコースアウト、大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM'S)も20週目の2コーナーでコースアウトしリタイヤとなった。

 第3戦はツインリンクもてぎで5月30日、31日に開催される。若手選手のさらなる活躍と日本人ベテラン勢の巻き返しが注目されそうだ。

 フォーミュラ・ニッポン第2戦で行われたサポートイベントも紹介しよう。ピットウォークは土日とも実施され、マシンを間近で見ることができる人気イベントだ。選手達もピット前に並び、気軽にサインや撮影に応じてくれる。土曜の予選後にはフォーミュラ・ニッポンでは初めてキッズピットウォークが行われた。子供連れなら無料で参加可能となっている。

ピットウォークは多くの観客が参加したサインに応じるブノワ・トレルイエピットウォークではマシンを間近で見ることができる。今回はほとんど使用されなかったオーバーテイクシステムのLED

 ピットウォーク開催時にメディカルセンターの前では、コースドクターとコースオフィシャルによるドライバー救出の訓練も公開された。昨年マシンのコクピットからドライバーを救出する様子を解説付きで実演し、多くの観客が足を止めていた。

メディカルセンターの前で行われたドライバー救出訓練

 ピットウォークと同時に「ヒストリックF1デモ走行」も開催され、マーチ761(1976年)、ロータス101(1989年)、レイトンハウス911(1991年)が鈴鹿の東コースを疾走した。ロータス77(1976年)も走行を予定していたが残念ながらマシントラブルで展示のみとなった。

東コースを2周したヒストリックF1マシン
マーチ761、1976年にロニー・ピーターソンがドライブしイタリアGPで優勝している1989年にネルソン・ピケと中嶋悟がドライブしたロータス101
1976年にマリオ・アンドレッティがドライブしたロータス77。富士スピードウェイで開催された日本で初めてのF1レースで優勝している
1991年にイワン・カペリがドライブしたレイトンハウス911

 グランドスタンド裏のGPスクエアでも松田選手と平手選手のトークショーや、小学生以下の子供向けにコクピット体験試乗などさまざまな催しが開催されていた。

松田選手と平手選手のトークショーは雨にもかかわらず多くのファンが集まった子供向けのイベントはコクピット体験試乗やキッズピットウォークなど積極的に企画されている

 ピットビル2階のホスピタリティラウンジでは「鈴鹿サーキットコレクションホール ~鈴鹿を走ったマシンたち~」と題した展示が行われ、マクラーレン・ホンダ、ティレル・ホンダなど往年のF1や2輪の名マシンを見ることができた。

ホスピタリティラウンジでは「鈴鹿サーキットコレクションホール ~鈴鹿を走ったマシンたち~」が開催されたマクラーレン・ホンダMP4/5B。1990年にアイルトン・セナが乗ってシリーズチャンピオンを獲得
マクラーレン・ホンダMP4/6。1991年にセナが乗ってシリーズチャンピオンを獲得ティレル・ホンダ020。1991年に中嶋悟がドライブラルトホンダRH-6-84。1984年ヨーロッパF2選手権で11戦9勝を飾った
2輪のコーナーにも多くの名車が展示されたホンダRC145。1962年ロードレース世界選手権11戦中10勝を飾り、125ccクラスでタイトルを獲得ホンダNSR500。1997年世界選手権ロードレースでミッ・クドゥーハンが乗りチャンピオンを獲得した

 フォーミュラ・ニッポンは、SUPER GTと並ぶ国内のビックレースだ。どちらのレースも多くのイベントが開催され、レース以外でも楽しめる企画が満載となっている。今回の鈴鹿でも、特に子供向けのイベントが充実しているのが印象的であった。

 

(奥川浩彦)
2009年 5月 18日